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【第2章 理不尽賢者ローズマリーとリガイア共和国】
【スライムの恐怖】
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あたしの本名は時計坂桜、今はリーダーをやっていた暴走族のチーム名狼図魔龍鰔ローズマリーからとって、ローズマリーと名乗っている。あたしは前にいた世界で敵対する姑息な敵対暴走族に嵌められ単車事筑波山の崖から落ちたらしい、が気が付くとこの某大作ファンタジー小説に出てきそうなエルフやドワーフがいる、そして魔法の類まである不思議な世界に迷い込んでしまった。知り合ったエルフのお婆さんが言うには何らかの使命があるのではないかということなのだが、いつも北の気に食わない禍々しい雰囲気を感じている。
今は昔とんでも魔法で海とつながっていた湖が干上がった大塩湖の近くのリガイア共和国の南東部に来ている。
あたしは生れてこの方怖いと思ったことがない。某特撮ヒーローにあこがれてお面を被って小学校の4階からジャンプした時も重力でヒュンッとする感覚が楽しいと思い頭に怪我ができたが何の恐怖も抱かずに生きてきた。だが、あたしは一昨日恐怖の念に駆られる出来事を生まれて初めて体験するのだった。
「この森は全くモンスターがいねえな、まったくつまらないぜ」赤髪の戦士エンデュミオンがぼやく。
「良いことじゃないか、モンスターと戦いたいと思っているのはお前ひとりだぞ」
「うるせえよ、ルーンのでこ助が!そのまま禿げ晒せ」
「き、貴様のような天然パーマに言われたくはない」
「誰が天パーだって、勝負するか? 最近手合わせしてねえしな」
「良いだろう。しかし結果は見えている。俺の勝ちという結果がな」
「よっしゃ、泣かせてやるからな」
歳若く喧嘩っ早い二人はガチンコの殴り合いをし始めていた。
傍観者のあたしとセレーナはどっちが勝つか賭けをしていた。私はエンデュミオンに大銀貨一枚セレーナはルーンベルトに小金貨一枚を賭けていた。
「あんたも普通なら愛するパートナーを応援するだろうに鬼だね」
「エンデュミオンは単純だから……まあ言い換えると純粋だから、勝負の駆け引きは苦手なのよ。緩急が使い分けられていないの」恋人だから分かる相手の性質だろうか?
取っ組み合いはすでに始まっておりセレーナの予想を裏切ってエンデュミオンが攻勢に出ていた。
どうなるかなあと思いながら尿意がしたのでちょっと離れたところに行くとセレーナに伝え森の少し奥に入った。用は足せた。帰ろうと思ったら何かが足に絡みついて離れない蔦とかだろうか?
もう少し力を入れようとしたら今度は腕にも何かが絡みついていた。よく見るとそれはスライムだった。調べると『人食スライム』と出た。ヤバイ。魔法で焼き払わなければ。
「ファイア……!」口までスライムの触手が覆う。そして厄介なことに普通のスライムもどんどん集まってきた。そうか、この人食スライムが食べ残した生き物の死体の残りから魔力を吸収するために現れたのだ。まるで禿鷹だな。余裕がなくなってきた。逃げなきゃ、転移の秘魔法を使えばと……集中力を上げようとしたらスライムたちが一斉に纏わりついてきた。敏感な部分……わきの下とか腹とかを這いずられて笑いが止まらず集中力はかけらも上がらなかった。そしてついには脇の下から何も着けていない肌の部分に触手が入ろうとしていた。誰か早く異変に気付いて助けに来て!
このままこの拷問のようなものが延々と続くさまを想像すると生れて初めて恐怖の念が生まれた。その魔法、山をも消し飛ばし、素手で魔王軍の幹部とやり合えるこのあたしが恐怖を、しかもスライムに、抱いている等とは誰にも知られたくない。
「ローズマリー、何処にいるの? 勝負は私の勝ちよ」というセレーナの声が聞こえる。不味い。どうしよう。気付かれてしまう。駄目だ。それだけは! ローズマリーはありったけの根性を見せ転移の秘魔法で元居た場所に戻った。涙目だったのですぐ拭いた。
「なんだ、戻っていたのね。それにしてもローズマリー、肩にスライムがついているわよ」
「ひえー!」私は半狂乱になり炎系最上位魔法バーニングエクリプスでそこらの大森林を消滅させてしまった。エンデュミオンとルーンベルトはその爆風で吹き飛ばされ二人ともノックダウンしてしまった。
スライム許すまじ。しかし怖い。今度から戦闘中にスライムを見つけたらできるだけ遠くに逃げようと心に誓ったのであった。
今は昔とんでも魔法で海とつながっていた湖が干上がった大塩湖の近くのリガイア共和国の南東部に来ている。
あたしは生れてこの方怖いと思ったことがない。某特撮ヒーローにあこがれてお面を被って小学校の4階からジャンプした時も重力でヒュンッとする感覚が楽しいと思い頭に怪我ができたが何の恐怖も抱かずに生きてきた。だが、あたしは一昨日恐怖の念に駆られる出来事を生まれて初めて体験するのだった。
「この森は全くモンスターがいねえな、まったくつまらないぜ」赤髪の戦士エンデュミオンがぼやく。
「良いことじゃないか、モンスターと戦いたいと思っているのはお前ひとりだぞ」
「うるせえよ、ルーンのでこ助が!そのまま禿げ晒せ」
「き、貴様のような天然パーマに言われたくはない」
「誰が天パーだって、勝負するか? 最近手合わせしてねえしな」
「良いだろう。しかし結果は見えている。俺の勝ちという結果がな」
「よっしゃ、泣かせてやるからな」
歳若く喧嘩っ早い二人はガチンコの殴り合いをし始めていた。
傍観者のあたしとセレーナはどっちが勝つか賭けをしていた。私はエンデュミオンに大銀貨一枚セレーナはルーンベルトに小金貨一枚を賭けていた。
「あんたも普通なら愛するパートナーを応援するだろうに鬼だね」
「エンデュミオンは単純だから……まあ言い換えると純粋だから、勝負の駆け引きは苦手なのよ。緩急が使い分けられていないの」恋人だから分かる相手の性質だろうか?
取っ組み合いはすでに始まっておりセレーナの予想を裏切ってエンデュミオンが攻勢に出ていた。
どうなるかなあと思いながら尿意がしたのでちょっと離れたところに行くとセレーナに伝え森の少し奥に入った。用は足せた。帰ろうと思ったら何かが足に絡みついて離れない蔦とかだろうか?
もう少し力を入れようとしたら今度は腕にも何かが絡みついていた。よく見るとそれはスライムだった。調べると『人食スライム』と出た。ヤバイ。魔法で焼き払わなければ。
「ファイア……!」口までスライムの触手が覆う。そして厄介なことに普通のスライムもどんどん集まってきた。そうか、この人食スライムが食べ残した生き物の死体の残りから魔力を吸収するために現れたのだ。まるで禿鷹だな。余裕がなくなってきた。逃げなきゃ、転移の秘魔法を使えばと……集中力を上げようとしたらスライムたちが一斉に纏わりついてきた。敏感な部分……わきの下とか腹とかを這いずられて笑いが止まらず集中力はかけらも上がらなかった。そしてついには脇の下から何も着けていない肌の部分に触手が入ろうとしていた。誰か早く異変に気付いて助けに来て!
このままこの拷問のようなものが延々と続くさまを想像すると生れて初めて恐怖の念が生まれた。その魔法、山をも消し飛ばし、素手で魔王軍の幹部とやり合えるこのあたしが恐怖を、しかもスライムに、抱いている等とは誰にも知られたくない。
「ローズマリー、何処にいるの? 勝負は私の勝ちよ」というセレーナの声が聞こえる。不味い。どうしよう。気付かれてしまう。駄目だ。それだけは! ローズマリーはありったけの根性を見せ転移の秘魔法で元居た場所に戻った。涙目だったのですぐ拭いた。
「なんだ、戻っていたのね。それにしてもローズマリー、肩にスライムがついているわよ」
「ひえー!」私は半狂乱になり炎系最上位魔法バーニングエクリプスでそこらの大森林を消滅させてしまった。エンデュミオンとルーンベルトはその爆風で吹き飛ばされ二人ともノックダウンしてしまった。
スライム許すまじ。しかし怖い。今度から戦闘中にスライムを見つけたらできるだけ遠くに逃げようと心に誓ったのであった。
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