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【第2章 理不尽賢者ローズマリーとリガイア共和国】
【理不尽賢者とケンカ祭りⅢ】
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「眠いよ、母上~むにゃむにゃ」
「師匠逃げないで! 助けてよ!」
セレーナは毛布を引っぺがして2人を叩き起こそうとした。
「母上は?」とまだ寝ぼけているルーンベルトと「女に殺される!」とまだ眠っているエンデュミオンの頬をつねってようやく夢現から覚ました。
「痛ってー、ってセレーナどうしたんだよ。血相変えてモンスターの集団にでも襲われたのか?」
「その通りよ、ヴァンパイアの集団がいるってローズマリーが言っていたわ」
「夜にヴァンパイア、しかも月の光さえ差さないとは奴らにとって完全な地の利をとった形になるな。おまけに一噛みされただけで眷属にされてしまう。厄介な相手だな。だがセレーナ、相棒、ローズマリーがいれば問題ないだろう。まだ俺たちだけでヴァンパイアの集団相手に勝てる気はしない」
「お、俺は仕方ねーから大人しくしてやるぜ。怖いとかじゃねえからな」
フッと空間が一瞬ねじ曲がりローズマリーが帰還した。
「おっ丁度良かった皆も見に行くか? モンスター達の大移動!」
「「「え⁉」」」
「しー、静かに。気付かれたら何万ものモンスターが押し寄せてくるよ」
「……で、どうやって見るというのだ、我々は盗賊の職業レベルが上がらないというか……適性がなかったから敵に見つかるぞ」
「そこはあたしの盗賊王のスキル【探知阻害】が効くから……」
「お前だけ気配が隠せても俺たちは見つかるだろ? それに見物するっていてもどうやって……」
ローズマリーはエンデュミオンを制した。
「盗賊王の補助スキルは味方全体にかかるから相手には気付かれないよ、あとどうやって見物するかって言うと……」ローズマリーは3人の手を掴み転移の秘魔法を使った。空気の揺らぎもなく4人は消えた。
そこは先ほどローズマリーがモンスターを偵察していた木の上だった。3人とも驚いていた。
「お前、転移の秘魔法って1人で跳ぶのが限度だって聞いたぞ」エンデュミオンがまた噛みついてくる。
「それより下を見なよ」
「「「!」」」
蠢うごめくのは数十種類のモンスターの何万匹にも及ぶ大行進である。3人とも驚きで口が閉じない。
「……だからこの森に入ってから戦闘が頻発したのね。でもこれはどういう現象なのかしら」冷静さをいち早く取り戻したセレーナが発言した。
「アレイネ山脈の方に向かっているみたい」これはローズマリーの勘だった。
「こんなの一国が亡ぶレベルだぞ、見過ごすわけにはいかない。ローズマリー、リガイア共和国首都シュナイアまで跳べるか?」と混乱するルーンベルト。
「いや、今のうちにローズマリーの魔法で殲滅してやれば良いんじゃねえの」とやけくそ気味のエンデュミオン。
「え、やだよ。こんな面白そうな現象どうして起こったのか調べたくなるじゃん」
「「「え!」」」3人の顔が引きつっている。
「じゃなくて……えと……原因だけ突き止めておきたいんだよ。それに……その……また起きるかもしれないし」後半は思い付きで言った。
「ま……それも一理あるな」とエンデュミオン。
「私も同意見よ無駄に魔法で攻撃して四方八方に散ったらリガイア共和国の危機に繋がるわ」
「……で、どう調査するのだ?」
「このまま木から木へと飛び移ってアレイネ山脈の麓を目指す」
「落ちたら洒落にならねえな」
「ふっ、こればかりは命懸けでやるしかないな。だが戦士冥利に尽きる大仕事だ」
「私たちがやらないと誰かが被害に遭うかもしれないしね」
「じゃあ、あたしが先頭を跳ぶから皆も後に続いてきて」
「「「了解」」」
4人は宵闇の中を跳んでいった。
「師匠逃げないで! 助けてよ!」
セレーナは毛布を引っぺがして2人を叩き起こそうとした。
「母上は?」とまだ寝ぼけているルーンベルトと「女に殺される!」とまだ眠っているエンデュミオンの頬をつねってようやく夢現から覚ました。
「痛ってー、ってセレーナどうしたんだよ。血相変えてモンスターの集団にでも襲われたのか?」
「その通りよ、ヴァンパイアの集団がいるってローズマリーが言っていたわ」
「夜にヴァンパイア、しかも月の光さえ差さないとは奴らにとって完全な地の利をとった形になるな。おまけに一噛みされただけで眷属にされてしまう。厄介な相手だな。だがセレーナ、相棒、ローズマリーがいれば問題ないだろう。まだ俺たちだけでヴァンパイアの集団相手に勝てる気はしない」
「お、俺は仕方ねーから大人しくしてやるぜ。怖いとかじゃねえからな」
フッと空間が一瞬ねじ曲がりローズマリーが帰還した。
「おっ丁度良かった皆も見に行くか? モンスター達の大移動!」
「「「え⁉」」」
「しー、静かに。気付かれたら何万ものモンスターが押し寄せてくるよ」
「……で、どうやって見るというのだ、我々は盗賊の職業レベルが上がらないというか……適性がなかったから敵に見つかるぞ」
「そこはあたしの盗賊王のスキル【探知阻害】が効くから……」
「お前だけ気配が隠せても俺たちは見つかるだろ? それに見物するっていてもどうやって……」
ローズマリーはエンデュミオンを制した。
「盗賊王の補助スキルは味方全体にかかるから相手には気付かれないよ、あとどうやって見物するかって言うと……」ローズマリーは3人の手を掴み転移の秘魔法を使った。空気の揺らぎもなく4人は消えた。
そこは先ほどローズマリーがモンスターを偵察していた木の上だった。3人とも驚いていた。
「お前、転移の秘魔法って1人で跳ぶのが限度だって聞いたぞ」エンデュミオンがまた噛みついてくる。
「それより下を見なよ」
「「「!」」」
蠢うごめくのは数十種類のモンスターの何万匹にも及ぶ大行進である。3人とも驚きで口が閉じない。
「……だからこの森に入ってから戦闘が頻発したのね。でもこれはどういう現象なのかしら」冷静さをいち早く取り戻したセレーナが発言した。
「アレイネ山脈の方に向かっているみたい」これはローズマリーの勘だった。
「こんなの一国が亡ぶレベルだぞ、見過ごすわけにはいかない。ローズマリー、リガイア共和国首都シュナイアまで跳べるか?」と混乱するルーンベルト。
「いや、今のうちにローズマリーの魔法で殲滅してやれば良いんじゃねえの」とやけくそ気味のエンデュミオン。
「え、やだよ。こんな面白そうな現象どうして起こったのか調べたくなるじゃん」
「「「え!」」」3人の顔が引きつっている。
「じゃなくて……えと……原因だけ突き止めておきたいんだよ。それに……その……また起きるかもしれないし」後半は思い付きで言った。
「ま……それも一理あるな」とエンデュミオン。
「私も同意見よ無駄に魔法で攻撃して四方八方に散ったらリガイア共和国の危機に繋がるわ」
「……で、どう調査するのだ?」
「このまま木から木へと飛び移ってアレイネ山脈の麓を目指す」
「落ちたら洒落にならねえな」
「ふっ、こればかりは命懸けでやるしかないな。だが戦士冥利に尽きる大仕事だ」
「私たちがやらないと誰かが被害に遭うかもしれないしね」
「じゃあ、あたしが先頭を跳ぶから皆も後に続いてきて」
「「「了解」」」
4人は宵闇の中を跳んでいった。
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