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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者と女盗賊Ⅰ】
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レビの村から何か所かオアシスを経由してローズマリー達は砂の砂漠から、岩で荒れ果てた砂漠。礫砂漠にたどり着いていた。ここから先が盗賊団の出没する範囲か……。拳を交えないで降伏させる方法なんてあるのだろうか? あたしだったら強いやつとはリーダー自ら手合わせ願うって言うのがスタイルだけれど……。多分自分より強い奴が来たら雲散霧消してしまうだろう。だから今まで捕まって来なかったのだろうとローズマリーは考えていた。
「ローズマリー、何を考え事しているの? 眉間にしわが寄って綺麗な顔が台無しよ」セレーナには見抜かれていた。
「どうせ盗賊団を剛力ではなくどうやって解散させるか考えていたんでしょう?」
「ま、まあね。あたしの前にいた世界ではリーダー同士が決闘して勝ったらチームの勝利って感じだったから」元の世界への郷愁を感じた。お母さんや麻衣たちはどうしているだろう?
「そうね、ウルテジナ盗賊団とか言ったかしら。前にいたレビの村の人が誰かも分からないから殴る蹴るは禁則時効ね。あと一発どデカい花火を上げて相手をビビらせるって言う手口も駄目だわ」
「やっぱり駄目なのか……」
「だって逃げられたらアジトの場所が分からなくなるでしょう。こっちにはバカのせいで馬にも乗れないんだから」
「セレーナ、良い加減許してくれよ。村長が進めるもんだからつい他人の尻を追いかけ回しちまっただけで、お前のことを愛しているのは真実ほんとうなんだぜ」
セレーナの顔が見る見るうちに赤くなる。ローズマリーはルーンベルトと目配せして先を歩いた。
ドンッというおよそ人に対してはなってはいけない正拳突きの音がした。ちなみに正拳突きはローズマリーが教えた。そしてすぐにセレーナがこちらにやってきた。何でもなかった顔をしているが少し涙目になているのは照れ隠しだったのだろう。やり過ぎだが……。まああたしが教えたのが間違いだったんだけれどね。
「そろそろキャンプを作るわよ、皆周りに警戒しながら作ってね」セレーナは雑務をする時リーダーシップをとってくれる。やはり強い味方だ。それに女同士だから分かり合えることもる。ちなみにセレーナは今エンデュミオンの馬鹿には内緒でマフラーを作っている。北の地方、リンデンハイム王国やデザリア王国やリガイア共和国はあと数ヶ月も経たず冬に入るからだ。
夜エンデュミオンの目の届かないところで作ているらしい。彼氏持ちは大変だなと思っているとルーンベルトと目が合った。コイツはあたしの心の琴線に触れるどころか琴線がダッシュして逃げるんだよな。仲間としては最高に良い奴だけれど気障な世間知らずなボンボンという三大駄目要素がある。だからモテないんだろうな。多分自分から愛する相手を見つけるタイプだとあたしは思っている。逆にエンデュミオンは可愛げがあってモテるタイプなんだろう。あとバカ過ぎて心配になるからだろうな。
あたしはこれから先旅をして恋人とかができたらどういう選択を取るのだろう? 元の世界には絶対に戻りたい。やはり色恋沙汰には関わんねえ方が良いな。疲れそうだし。
「ふうっ焚火はできたぜ」とエンデュミオン。この世界は便利だ。ライターやチャッカマンが無くても最下級魔法はほとんどの人が覚えている。だから薪を乗せてファイアボールを唱えるだけで焚火が起こせるのだ。だが夫婦の争いや子供の喧嘩にも使われるらしくほとんどの街や村では使用を制限されている。
「なあ、ローズマリーよ。お前女がもらったら喜ぶものって何か分かるか?」
「あーん、あたしに聞くのが間違いだと思うけど多分身につけるものじゃないのかな。指輪とか腕輪とか……」
「そ、そうか……すまねえありがとよ」
「ダチ公の悩みは聞いてやんなきゃな」
「お前なんでそんな良いヤツなのに彼氏いねえんだ。ユニコーンに乗れたってことは……ぶげら」
セレーナがエンデュミオンをしばいていた。ナイスタイミングだった。流石セレーナだ。
ユニコーンには乗るものの条件があるのだ。純潔であることだ。つまりあたしは……そちらの方はまったく知識がない。男どもとは手をつないだこともない。勿論告られたことは一度もない。
そして夜がやってきた。念のため魔物除けの結界をはっておいた。
「「「「おやすみー」」」」
今日は見張りは敢えて作らないでおいた。その代わりレビの村でもらった。盗賊対策の鈴付きのひもを辺りに張っている。
その日は盗賊も、モンスターすらも現れなかった。
「ローズマリー、何を考え事しているの? 眉間にしわが寄って綺麗な顔が台無しよ」セレーナには見抜かれていた。
「どうせ盗賊団を剛力ではなくどうやって解散させるか考えていたんでしょう?」
「ま、まあね。あたしの前にいた世界ではリーダー同士が決闘して勝ったらチームの勝利って感じだったから」元の世界への郷愁を感じた。お母さんや麻衣たちはどうしているだろう?
「そうね、ウルテジナ盗賊団とか言ったかしら。前にいたレビの村の人が誰かも分からないから殴る蹴るは禁則時効ね。あと一発どデカい花火を上げて相手をビビらせるって言う手口も駄目だわ」
「やっぱり駄目なのか……」
「だって逃げられたらアジトの場所が分からなくなるでしょう。こっちにはバカのせいで馬にも乗れないんだから」
「セレーナ、良い加減許してくれよ。村長が進めるもんだからつい他人の尻を追いかけ回しちまっただけで、お前のことを愛しているのは真実ほんとうなんだぜ」
セレーナの顔が見る見るうちに赤くなる。ローズマリーはルーンベルトと目配せして先を歩いた。
ドンッというおよそ人に対してはなってはいけない正拳突きの音がした。ちなみに正拳突きはローズマリーが教えた。そしてすぐにセレーナがこちらにやってきた。何でもなかった顔をしているが少し涙目になているのは照れ隠しだったのだろう。やり過ぎだが……。まああたしが教えたのが間違いだったんだけれどね。
「そろそろキャンプを作るわよ、皆周りに警戒しながら作ってね」セレーナは雑務をする時リーダーシップをとってくれる。やはり強い味方だ。それに女同士だから分かり合えることもる。ちなみにセレーナは今エンデュミオンの馬鹿には内緒でマフラーを作っている。北の地方、リンデンハイム王国やデザリア王国やリガイア共和国はあと数ヶ月も経たず冬に入るからだ。
夜エンデュミオンの目の届かないところで作ているらしい。彼氏持ちは大変だなと思っているとルーンベルトと目が合った。コイツはあたしの心の琴線に触れるどころか琴線がダッシュして逃げるんだよな。仲間としては最高に良い奴だけれど気障な世間知らずなボンボンという三大駄目要素がある。だからモテないんだろうな。多分自分から愛する相手を見つけるタイプだとあたしは思っている。逆にエンデュミオンは可愛げがあってモテるタイプなんだろう。あとバカ過ぎて心配になるからだろうな。
あたしはこれから先旅をして恋人とかができたらどういう選択を取るのだろう? 元の世界には絶対に戻りたい。やはり色恋沙汰には関わんねえ方が良いな。疲れそうだし。
「ふうっ焚火はできたぜ」とエンデュミオン。この世界は便利だ。ライターやチャッカマンが無くても最下級魔法はほとんどの人が覚えている。だから薪を乗せてファイアボールを唱えるだけで焚火が起こせるのだ。だが夫婦の争いや子供の喧嘩にも使われるらしくほとんどの街や村では使用を制限されている。
「なあ、ローズマリーよ。お前女がもらったら喜ぶものって何か分かるか?」
「あーん、あたしに聞くのが間違いだと思うけど多分身につけるものじゃないのかな。指輪とか腕輪とか……」
「そ、そうか……すまねえありがとよ」
「ダチ公の悩みは聞いてやんなきゃな」
「お前なんでそんな良いヤツなのに彼氏いねえんだ。ユニコーンに乗れたってことは……ぶげら」
セレーナがエンデュミオンをしばいていた。ナイスタイミングだった。流石セレーナだ。
ユニコーンには乗るものの条件があるのだ。純潔であることだ。つまりあたしは……そちらの方はまったく知識がない。男どもとは手をつないだこともない。勿論告られたことは一度もない。
そして夜がやってきた。念のため魔物除けの結界をはっておいた。
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