最強!最凶?理不尽賢者ローズマリーを夜露死苦!

日置弓弦

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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】

【理不尽賢者とその舎弟Ⅳ】

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ローズマリー一行は華の都リリンツェを目指し歩いていた。前を歩くクリフトは多少挙動不審だが他のメンバーには小便を垂れたことは気が付かれなかったらしい。

 何故だかローズマリーはクリフトに同情していた。惚れた女の前で小便を漏らす。しかも実力差とステゴロでの戦いの荒々しさを見せつけられたのだから。もう二度と「お美しい」とか「聖女様」とか言えないだろう。男のプライドが許さない筈だ。



「リリンツェはどんな所なのかしら? やっぱり色鮮やかな大聖堂とかあったりするのかしら」セレーナがここ数日クリフトと微妙な距離を取っていたのが、自分から話しかけていた。どうやら華の都というフレーズと昔読んだ旅行日記で絶賛されていたのが理由らしい。しっかりしているように見えてもあたしと同い年くらいだから仕方ないか……。リリンツェは舎弟の話だと運河によって南北に分かれているらしい。そしてその河が食料や芸術作品の売買と言った商売を盛んにしているらしい。街の名前になったリリンツェと言う苗字の大商人がどデカい大聖堂をぶっ立てたことから芸術が盛んになったらしい。



「でも、僕、じゃなくて私がおススメするのはレナ運河ですね。大聖堂よりも楽しめると思いますよ」

「ふっ、運河か……中々興味深い、我がベルファイア家も美術品の売り上げで潤っている。ここで光明を上げるのも父上や母上に対する土産として良いかもしれないな」

「ふんっ、ルーンのでこっぱちが! そんなに上手くいくもんか? 知ってるんだぜ。 この間のラーベンナの街で露天商から買った果物がマズすぎてキレていたのは! 良いか? お前は見る目がない。だから今後一人旅をする時があったらまともな商人に【鑑定】してもらえ!」

「ふ、ふっ、良いだろう! 我が審美眼とくと拝見するが良い……」

「それならば、オークションに参加されるのはいかがでしょうか? 盛り上がること間違いないでしょう」

「2人とも! 遊びに来ているんじゃないからね」

「「お前が言うな!」」セレーナは2人の迫力に少しビクついた。

「まあまあ2人ともレディーを怖がらせるのは良くありませんよ。ね、セレーナさん」

「クリフトの言う通りよ! 私がいつお遊び気分なんかになったって言うのよ」分厚い本を持ったセレーナが2人に言い放った。

「それはこの街のパンフレットだろ! さっき門の近くで買ってはしゃいでいたのを俺は見てたぜ、セレーナ!」

「うっ、でも……オークションに参加するのは……やめた方が……」とセレーナは言いかけたが。

「ふっ、漢に二言は無い」やれやれと言ったポーズをセレーナはとった。

「ちなみにですが、私の情報によるとこの街には今怪盗が出没するらしいですよ」

「おいおい! 審美眼とやらが本当だったとしても怪盗にパクられて終わり、何てことになったりしてな」エンデュミオンがケラケラと笑う。

「ふっ、コソ泥ごときに遅れはとらん」

「2人ともあと数刻でオークションが始まりますよ。ちなみにオークションには参加料が1人現金で大金貨一枚かかりますが手持ちは大丈夫ですか?」とクリフト。固まる除く4人。

「私が何とかしてみましょう。運河でも眺めて待っていてください」クリフトは人混みの中に消えていった。



 クリフトに言われた通りレナ運河にやって来た4人は圧倒された。ローズマリーの世界でいうガレー船のような大きな船が港に横付けされ圧倒的な存在感を出している。そこから男たちが荷物を馬車や荷車に積んでいる。まるでその細部に至るまでが有機生命のように蠢いている。それが1隻や2隻ではなく十数隻も横付けされているのだ。



「華の都リリンツェは商売が特に盛んなことからオルケイアの第二の都と呼ばれているですって」分厚いパンフレットを開きながらセレーナが解説していく。

「船はオルケイア最大の港クロイツェルから河を上ってリリンツェにたどり着く」

「じゃあこれは全て他国からの輸入品ってことか! スゲーな!」クリフトの言うとおりに面白かったのは癪だったが、確かにいつまでも見ていられる。ローズマリーは感嘆の声を上げた。

「ふふ、楽しみになられていて光栄ですよ」いつの間にかクリフトが後ろにいた。

「さあ行きましょう。オークション会場へ!」皆思いは1つ何が出品されるのかだ。このクリフトという男、こんな広い運河の通りの中でよくあたしらを見つけられたなとローズマリーは思った。



 こうして謎の剣士クリフトと一行はオークションに参加するのであった。
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