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【第3章 理不尽賢者ローズマリーと魔法科学国オルケイア】
【理不尽賢者とその舎弟Ⅺ】
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「……おもてを上げよ。聖女ローズマリーとその仲間たちよ……」玉座に座る高齢のヒュームが厳かに言った。顔には生気がなく言葉はか細い。まるで死人が話しているようだ。そしてその近くにたたずむ30を超えてそうなヒュームは王の前であるにもかかわらず傲岸不遜にもふんぞり返っていた。
アザリス兄さん、あなただけは僕の手で引導を渡してやる。クリフトは心の中が急に真っ黒に染まっていくことに気が付いていなかった。知らず知らずのうちに佩いている剣に手がかかり抜こうとしてしまった。その時ローズマリーの温かい手がそれを止めた。ローズマリーはあたしにすべて任せろとでもいうようにウィンクした。クリフトの心を染め上げていた憎しみの心はすっと浄化された。
「……聖女ローズマリーよ、何をしにこのサザールに軍を率いさせてまでやって来た……」
「あたしは異世界からやって来た。この格好のことをこの世界の連中は珍妙と馬鹿にして言う、もしくはオルケイアの出身かとも。だからこの国にやって来たんだ。もしかしたらこの国を最初に作ったのはあたしの世界と同じところからやって来たかもしれないと思ってね」
「……もはや、それだけが目的ではあるまい。あの王旗をたなびかせると言うことは次期国王は自分であると宣言するも同じ謀反人としてクリフト共々処刑することもできるのだぞ……」
「できるものならやってみなよ、あたしが本気になればこの首都ごと全てを灰燼に帰すことくらい容易いって仲間が言ってたぞ」
「お父様! ローズマリー様が手を下さなくてももし僕たちに危害が加えられたら外で待機している部隊があなたとアザリス兄さんを殺しに来るでしょう」
第一王子アザリスは笑い始めた。
「馬鹿な弟よ、王宮にはデルダウ魔導研究所の作った最新鋭のゴーレムが20体は配備されているのだぞ。たった3000人の兵力などものともせず踏み潰してくれるわ」
「誰がたった3000と言いましたか各都市から応援が続々と集まってきているのですよ。その為に僕はゴリアテと旅を共にしたのです」え? マジかよ、コイツただのバカな舎弟じゃなかったんだなとローズマリーは心の中で思いを改めた。
「くぅ、何故貴様も、ローレンヌも私に歯向かうのだ。獣人どもを根絶やしにすることが魔王軍への打撃になると何故わからんのだ!」
「その為にローレンヌ兄さんを殺し、僕にも刺客を送り込んだ人間の言うことか!」
「大義の為だ! 北に広がる薄汚れた獣人族の集落……あんなものがあるからオルケイアは魔王軍と繋がっている等と噂が立つのだ。お父様そうでしょう?」
「……その通りだ。獣人族は根絶やしにすべきだ……」何だかこの王様おかしいぞ。受け答えに間が空きすぎだ。ローズマリーは目に魔力を集中させた。王には暗い影のようなものがまとわりついている。そしてそれと同じ影がある人物にも見られる。
「ちょいと良いかな、王様さんよ」ローズマリーは王との距離を詰めた。第一王子はその前に立ちはだかったがローズマリーの覇気に当てられ膝をついた。王が口を開こうとした時ローズマリーは王が涙を流したのを確認した。それから間をおいて苦しむような目で王は言った。
「……クリフト及びローズマリー一行を内乱罪で死刑に処す……」
クリフトは歯噛みしたとっておきの嘘だったのにこのままではローズマリー様まで巻き込んでしまう。【閃光斬】で父と兄を斬りローズマリー様の盾になるか? 否王宮を出るまでの時間稼ぎさえできれば何とかなるだろう。最新鋭のゴーレムは魔法が効かない。その上魔導レーザーとかいう最新鋭の武器まで装備している。ローズマリー様には不利だ。
「……クリフト! 王様になるんだろ。舎弟は舎弟らしく黙って言うことを聞いておけ」ローズマリー様は父上に触れた。すると父上の背後から黒い影のようなものが飛び出し霧散した。
「ちっ逃げられたか……まあ良い。王様よ、大丈夫か?」
「わ、わ、私はヘンネルに操られていたのじゃ……地獄の日々じゃった……くぅ……」王は気絶してしまた。王宮の兵士たちが動揺し始める。それは波紋のように広がっていった。
「鎮まれ、王国の兵士たちよ! 今から真の謀反人ヘンネルを捕縛する……都中に連絡をしろ!」ゴリアテが大音声で叫んだ。兵士たちは我を取り戻し各々の役目を果たしに散っていった。
「ありがとう、ゴリアテ、それからローズマリー様も……しかしヘンネルが犯人だなんて一体どういう証拠があって?」
「まずあの歳で副侍従長になっているのがおかしいし、副侍従長の立場なら王様のこと自由にできるからと思ったのが1つ、もう1つは侍従長がお前の兄貴と刺し違えたって話があるのにそれにすら触れなかったこと、最後にあたしの魔力をこめた目で見たら黒い影のようなものが王様とヘンネルにくっついていたことが証拠だな。それに王様の受け答えも変に間があっておかしいと思ったのさ。処刑宣言の時は涙を流していたしな」
そしてローズマリーは第一王子アザリスに向って言った。
「あんたは実の親父に異変が起きたことを間近で感じていた筈だろう。もしかしてあんたの裏には魔王軍の影がいるんじゃないだろうな?」
第一王子アザリスは目を白黒させながら言った。
「わ、私は知らぬ。本当に父上が我が意見に賛同してくれたと思っていただけだ! あの男が裏にいたのだとは思わなかった」
「ヘンネルは女だろ?」問い詰めるローズマリーの迫力に怯え始めた。
「脅されていたのだ、実は……」
程なくしてヘンネルの変死体が見つかった。死亡推定では半年前には死んでいたようだ。第一王子アザリスは王位継承権を剥奪され幽閉されることとなった、死罪か流刑か沙汰が出るまでだ。それらの話を聞いたクリフトは泣いていた。コイツはほんとうにお人好し過ぎる。仕方のないダチ公だ。
後日、ローズマリー達は国を救った英雄として晩餐会に出るように王様からお達しがあった。
こうしてオルケイア国第三王子クリフトはローズマリーからダチ公と呼ばれるようになった。
アザリス兄さん、あなただけは僕の手で引導を渡してやる。クリフトは心の中が急に真っ黒に染まっていくことに気が付いていなかった。知らず知らずのうちに佩いている剣に手がかかり抜こうとしてしまった。その時ローズマリーの温かい手がそれを止めた。ローズマリーはあたしにすべて任せろとでもいうようにウィンクした。クリフトの心を染め上げていた憎しみの心はすっと浄化された。
「……聖女ローズマリーよ、何をしにこのサザールに軍を率いさせてまでやって来た……」
「あたしは異世界からやって来た。この格好のことをこの世界の連中は珍妙と馬鹿にして言う、もしくはオルケイアの出身かとも。だからこの国にやって来たんだ。もしかしたらこの国を最初に作ったのはあたしの世界と同じところからやって来たかもしれないと思ってね」
「……もはや、それだけが目的ではあるまい。あの王旗をたなびかせると言うことは次期国王は自分であると宣言するも同じ謀反人としてクリフト共々処刑することもできるのだぞ……」
「できるものならやってみなよ、あたしが本気になればこの首都ごと全てを灰燼に帰すことくらい容易いって仲間が言ってたぞ」
「お父様! ローズマリー様が手を下さなくてももし僕たちに危害が加えられたら外で待機している部隊があなたとアザリス兄さんを殺しに来るでしょう」
第一王子アザリスは笑い始めた。
「馬鹿な弟よ、王宮にはデルダウ魔導研究所の作った最新鋭のゴーレムが20体は配備されているのだぞ。たった3000人の兵力などものともせず踏み潰してくれるわ」
「誰がたった3000と言いましたか各都市から応援が続々と集まってきているのですよ。その為に僕はゴリアテと旅を共にしたのです」え? マジかよ、コイツただのバカな舎弟じゃなかったんだなとローズマリーは心の中で思いを改めた。
「くぅ、何故貴様も、ローレンヌも私に歯向かうのだ。獣人どもを根絶やしにすることが魔王軍への打撃になると何故わからんのだ!」
「その為にローレンヌ兄さんを殺し、僕にも刺客を送り込んだ人間の言うことか!」
「大義の為だ! 北に広がる薄汚れた獣人族の集落……あんなものがあるからオルケイアは魔王軍と繋がっている等と噂が立つのだ。お父様そうでしょう?」
「……その通りだ。獣人族は根絶やしにすべきだ……」何だかこの王様おかしいぞ。受け答えに間が空きすぎだ。ローズマリーは目に魔力を集中させた。王には暗い影のようなものがまとわりついている。そしてそれと同じ影がある人物にも見られる。
「ちょいと良いかな、王様さんよ」ローズマリーは王との距離を詰めた。第一王子はその前に立ちはだかったがローズマリーの覇気に当てられ膝をついた。王が口を開こうとした時ローズマリーは王が涙を流したのを確認した。それから間をおいて苦しむような目で王は言った。
「……クリフト及びローズマリー一行を内乱罪で死刑に処す……」
クリフトは歯噛みしたとっておきの嘘だったのにこのままではローズマリー様まで巻き込んでしまう。【閃光斬】で父と兄を斬りローズマリー様の盾になるか? 否王宮を出るまでの時間稼ぎさえできれば何とかなるだろう。最新鋭のゴーレムは魔法が効かない。その上魔導レーザーとかいう最新鋭の武器まで装備している。ローズマリー様には不利だ。
「……クリフト! 王様になるんだろ。舎弟は舎弟らしく黙って言うことを聞いておけ」ローズマリー様は父上に触れた。すると父上の背後から黒い影のようなものが飛び出し霧散した。
「ちっ逃げられたか……まあ良い。王様よ、大丈夫か?」
「わ、わ、私はヘンネルに操られていたのじゃ……地獄の日々じゃった……くぅ……」王は気絶してしまた。王宮の兵士たちが動揺し始める。それは波紋のように広がっていった。
「鎮まれ、王国の兵士たちよ! 今から真の謀反人ヘンネルを捕縛する……都中に連絡をしろ!」ゴリアテが大音声で叫んだ。兵士たちは我を取り戻し各々の役目を果たしに散っていった。
「ありがとう、ゴリアテ、それからローズマリー様も……しかしヘンネルが犯人だなんて一体どういう証拠があって?」
「まずあの歳で副侍従長になっているのがおかしいし、副侍従長の立場なら王様のこと自由にできるからと思ったのが1つ、もう1つは侍従長がお前の兄貴と刺し違えたって話があるのにそれにすら触れなかったこと、最後にあたしの魔力をこめた目で見たら黒い影のようなものが王様とヘンネルにくっついていたことが証拠だな。それに王様の受け答えも変に間があっておかしいと思ったのさ。処刑宣言の時は涙を流していたしな」
そしてローズマリーは第一王子アザリスに向って言った。
「あんたは実の親父に異変が起きたことを間近で感じていた筈だろう。もしかしてあんたの裏には魔王軍の影がいるんじゃないだろうな?」
第一王子アザリスは目を白黒させながら言った。
「わ、私は知らぬ。本当に父上が我が意見に賛同してくれたと思っていただけだ! あの男が裏にいたのだとは思わなかった」
「ヘンネルは女だろ?」問い詰めるローズマリーの迫力に怯え始めた。
「脅されていたのだ、実は……」
程なくしてヘンネルの変死体が見つかった。死亡推定では半年前には死んでいたようだ。第一王子アザリスは王位継承権を剥奪され幽閉されることとなった、死罪か流刑か沙汰が出るまでだ。それらの話を聞いたクリフトは泣いていた。コイツはほんとうにお人好し過ぎる。仕方のないダチ公だ。
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