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【プロローグ】
【時計坂桜】
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あたしの名前は時計坂桜、どこにでもいる普通の女暴走族、狼図魔龍鰔ローズマリーの総長兼特攻隊長だ。、最近は地元茨城の最後に残った敵対レディース悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアを潰す為、あちこちで連中と喧嘩している。
だがそんな日々も今夜で最後だ。悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの総長新垣怜と一騎打ちをするのだ。こちらは少数精鋭、向こうは数の力であたしらを潰そうとしてきた。だけど、あたしらはこんなちんけな田舎に留まるつもりはない。まずは東京進出、そして全国制覇が目標だ。
「桜ちゃん、本当に今日は夕飯は食べないの?」母の時計坂美咲が声をかけてくる。
「いらない、今日は大事な約束があるから」
「そう……桜ちゃん、お母さんはもう高校も卒業した桜ちゃんがすることにとやかく言うつもりはないけれど、あんまり危ないことはしないでね」
母は少し天然なところがあってあたしがバイクで仲間とツーリングをしていると誤解しているようなのだ。実際に何をしているか話したら卒倒してしまうだろう。だからお母さんの為にもさっさと全国制覇して、引退するつもりだった。
「お母さん、大好き」あたしは母に抱きついた。優しい匂いがする。この匂いを嗅ぐたびにあたしは安心感を覚える。昔からだ。
「私もよ桜ちゃん、お友達にこれ食べてもらってね」母はお得意のアップルパイを渡してきた。これが一番キツイ。麻衣たちによくネタにされるからだ。母なりの気づかいなのだがどこに舎弟共に母の手作りアップルパイを振舞う特攻隊長がいるだろうか……。
「お母さん、今度からそんなに気を使わなくて良いからね」
「そう……甘いモノよりピザとかの方が今の若い子たちは好きなのかしら」やはり母は抜けたところがある。早く全国制覇して普通の仕事に就き楽をさせてやりたい。
母は19歳の頃私を産んだ。父は出産に反対し、母から離れて行った。母はあたしを女手一つで育ててくれた。狼図魔龍鰔ローズマリーにもあたしの本名を知ると笑いが止まらない奴らがいるけれど、桜という名前はとても気に入っている。
「お母さん、行ってくるね」
「気を付けてね」そしてあたしはアパートを出た。
よし! 今日も気合を入れて走ってやるか! 今度こそ悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの腰抜け総長新垣怜をぶっ飛ばしてやる。いつも部下を残して喧嘩から逃げるような奴だ。今日はタイマンの喧嘩だ。今度こそ仕留めてやる。
プルルル!スマホが鳴った。多分百瀬麻衣からだ。
「もしもしサクサク?」その珍妙なあだ名を止めろといつも注意しているのだが、直す気はないらしいから最近は文句を言わなくなった。庶務的なこと、例えばメンバーの集合予定や車検に車を出すときの資金繰りなどは全て麻衣に任せているからあまり強い態度に出れないのもある。
「どしたんだよ、麻衣」
「なんかね、向こうのリーダーがタイマンの喧嘩じゃなくてドラックレースでの勝負に変えたいって言ってきてんのよ。どーする?」
「どうせ、あたしにビビッて自分たちが有利な条件に変えるつもりなんだろ」
「場所もさあ筑波山の崖っぷちでやるって言って聞かないのよ」
「ドラックレースだろうが喧嘩だろうが上等だよ。伝説のこしてやんよ」
「おっ乗り気だねえ。流石二ヶ月で茨城のトップを争うようになった漢だねえ」
「漢じゃねえし、やめろってば」
「あたし最近今度のバレンタインデーにサクサクに本命のチョコ渡したいから場所セッティングしてくれって数人から頼まれているんだよねえ」だから漢か……。まああたしは昔から男子にはビビられ、女子からは崇拝されてきたから慣れっこと言えば慣れっこなのだができれば異性にモテるようになりたいという気持ちも少なからずある。
「まあバレンタインの話は後回しで条件は他にあるのかい?」
「公正を期すため同じ単車でバトルするって言ってる。バイクも向こうが用意した者を使うってさ」
「良いんじゃね、こっちは少数精鋭だから資金もそんなにないし……他のメンバーは何か言ってたかい?」
「皆、何か罠仕掛けてくるんじゃないかって心配してるよ」
「大丈夫だよ、あたしの心配は。それにここで引くと悪いうわさが経つからね」
「まあ狼図魔龍鰔ローズマリー伝説に傷がつくのは間違いないわよね。ここまで百戦百勝みたいな感じだったし……まあサクサクの力あってこそだけど」
「まあスマホでだべってるのもめんどいから筑波山の溜まり場で皆で集まろ」
「オッケー」
後は麻衣が狼図魔龍鰔ローズマリーの連絡網使ってメンバーを呼んでくれるだろう。
桜は灰色の特攻服を着て自慢の真っ赤なバイクヤマハVMAX1200にまたがり夜の闇に消えていった。
だがそんな日々も今夜で最後だ。悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの総長新垣怜と一騎打ちをするのだ。こちらは少数精鋭、向こうは数の力であたしらを潰そうとしてきた。だけど、あたしらはこんなちんけな田舎に留まるつもりはない。まずは東京進出、そして全国制覇が目標だ。
「桜ちゃん、本当に今日は夕飯は食べないの?」母の時計坂美咲が声をかけてくる。
「いらない、今日は大事な約束があるから」
「そう……桜ちゃん、お母さんはもう高校も卒業した桜ちゃんがすることにとやかく言うつもりはないけれど、あんまり危ないことはしないでね」
母は少し天然なところがあってあたしがバイクで仲間とツーリングをしていると誤解しているようなのだ。実際に何をしているか話したら卒倒してしまうだろう。だからお母さんの為にもさっさと全国制覇して、引退するつもりだった。
「お母さん、大好き」あたしは母に抱きついた。優しい匂いがする。この匂いを嗅ぐたびにあたしは安心感を覚える。昔からだ。
「私もよ桜ちゃん、お友達にこれ食べてもらってね」母はお得意のアップルパイを渡してきた。これが一番キツイ。麻衣たちによくネタにされるからだ。母なりの気づかいなのだがどこに舎弟共に母の手作りアップルパイを振舞う特攻隊長がいるだろうか……。
「お母さん、今度からそんなに気を使わなくて良いからね」
「そう……甘いモノよりピザとかの方が今の若い子たちは好きなのかしら」やはり母は抜けたところがある。早く全国制覇して普通の仕事に就き楽をさせてやりたい。
母は19歳の頃私を産んだ。父は出産に反対し、母から離れて行った。母はあたしを女手一つで育ててくれた。狼図魔龍鰔ローズマリーにもあたしの本名を知ると笑いが止まらない奴らがいるけれど、桜という名前はとても気に入っている。
「お母さん、行ってくるね」
「気を付けてね」そしてあたしはアパートを出た。
よし! 今日も気合を入れて走ってやるか! 今度こそ悪琉棲斗露滅離悪アルストロメリアの腰抜け総長新垣怜をぶっ飛ばしてやる。いつも部下を残して喧嘩から逃げるような奴だ。今日はタイマンの喧嘩だ。今度こそ仕留めてやる。
プルルル!スマホが鳴った。多分百瀬麻衣からだ。
「もしもしサクサク?」その珍妙なあだ名を止めろといつも注意しているのだが、直す気はないらしいから最近は文句を言わなくなった。庶務的なこと、例えばメンバーの集合予定や車検に車を出すときの資金繰りなどは全て麻衣に任せているからあまり強い態度に出れないのもある。
「どしたんだよ、麻衣」
「なんかね、向こうのリーダーがタイマンの喧嘩じゃなくてドラックレースでの勝負に変えたいって言ってきてんのよ。どーする?」
「どうせ、あたしにビビッて自分たちが有利な条件に変えるつもりなんだろ」
「場所もさあ筑波山の崖っぷちでやるって言って聞かないのよ」
「ドラックレースだろうが喧嘩だろうが上等だよ。伝説のこしてやんよ」
「おっ乗り気だねえ。流石二ヶ月で茨城のトップを争うようになった漢だねえ」
「漢じゃねえし、やめろってば」
「あたし最近今度のバレンタインデーにサクサクに本命のチョコ渡したいから場所セッティングしてくれって数人から頼まれているんだよねえ」だから漢か……。まああたしは昔から男子にはビビられ、女子からは崇拝されてきたから慣れっこと言えば慣れっこなのだができれば異性にモテるようになりたいという気持ちも少なからずある。
「まあバレンタインの話は後回しで条件は他にあるのかい?」
「公正を期すため同じ単車でバトルするって言ってる。バイクも向こうが用意した者を使うってさ」
「良いんじゃね、こっちは少数精鋭だから資金もそんなにないし……他のメンバーは何か言ってたかい?」
「皆、何か罠仕掛けてくるんじゃないかって心配してるよ」
「大丈夫だよ、あたしの心配は。それにここで引くと悪いうわさが経つからね」
「まあ狼図魔龍鰔ローズマリー伝説に傷がつくのは間違いないわよね。ここまで百戦百勝みたいな感じだったし……まあサクサクの力あってこそだけど」
「まあスマホでだべってるのもめんどいから筑波山の溜まり場で皆で集まろ」
「オッケー」
後は麻衣が狼図魔龍鰔ローズマリーの連絡網使ってメンバーを呼んでくれるだろう。
桜は灰色の特攻服を着て自慢の真っ赤なバイクヤマハVMAX1200にまたがり夜の闇に消えていった。
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