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【第5章理不尽賢者と新大陸】
【理不尽賢者と奴隷の子Ⅳ】
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ローズマリー達とギルは海岸線を歩いていた。ギルは初めて見る海に感動していた。しかし波が立つのが怖いらしく近づきはしなかった。見ていると本当に自分が生んだ子のように思えて可愛らしい。
しかしローズマリーのスキル【未来予知】によるとあと少ししか時間がない。誰か安心できる人物に託さなければならない。
「ねえ、ローズマリー。本当にあの子を育てる気なの?」
「ああ、まともな引き取り手がいたら話は別だけどな」
「例えばなんだけれど、ウルテジナ護衛団に引き取ってもらうとかは駄目かしら?」
「それも考えたんだけれど時間が無いんだよ。あたしの勘じゃああと半年で魔王との戦いが始まる気がするんだ。その時ギルのことを預けられる人物が必要だ」
「分かったわ、私もギルのこと放っておけないもの協力するわ」
「ありがとな、セレーナ」
ギルはエンデュミオンとルーンベルトと一緒に海水浴をし始めていた。楽しそうで何よりだ。今まであんなに笑うことはなかったのだろう。あたし達と旅ができることはギルにとってきっと良い効果を現すに違いない。この先どうやって生きていくかみっちりと教え込む必要がある。
「おーい、お前らあたしとセレーナは島を調査するからギルのこと頼んだぞ」
「任せろ!」エンデュミオンは叫んだ。
島にはリントの街にいたようなラピッドウサギの変異種やブラックベアー等がいたが強力なモンスターはいなさそうだった。ここなら丁度良い飛空船のエネルギー補給所になるだろう。セレーナが捕まえたラピッドウサギの変異種の丸焼きを皆で食べその日は、キャンプを張って寝ることにした。
ギルは寝る時はいつもあたしの話す童話を聞きながら寝る。今回は『泣いた赤鬼』の話をしてやった。ギルは「村の人に2人でちゃんと話し合えば仲良しになれたんじゃないか」と言って涙を流していた。コイツは優しい子だ。きちんとした土地に植えれば真っすぐに大きく成長するだろう。
「よう、ギル。今日は小便たれなかったのか」エンデュミオンがギルに声をかける。
「もう、しないもん!」ギルがエンデュミオンに舌を出す。
「生意気だな、こうしてやる」と言ってエンデュミオンはギルを高く持ち上げ肩車をしてやった。日中遊んでやるのはエンデュミオンの役目になっていた。
そして勉強を教えるのはルーベルトだった。結構熱がこもった授業で横で聞いているあたしも勉強になることを教えていた。
そして家事のことを教えるのはセレーナの役目だった。皆ギルのことを対等な立場で教えるのでギルは最初こそ戸惑っていたがすっかりあたし達と暮らすのに慣れてきたようだった。
それはローズマリーにとって1番嬉しいことだった。ギルがいるのが皆当たり前になっているようだった。
そして飛空船は新大陸の影を捕らえる位置にやって来た。大きな山が見える。
「あれがルーンベルトの言ってた誰も済んでない大陸か?」ギルははしゃいでいた。
「そうだぞ、そしてギル。お前も立派な冒険者の仲間入りだな」エンデュミオンが言う。エンデュミオンはギルと遊んでいる時は乗り物恐怖症が収まるらしかった。変な奴だ。
新大陸はどんどん近づいてくる。何も問題がなければ良いのだが……。ローズマリーには何か嫌な予感がしていた。
「よし、まずは移住民を見つけないとな」とエンデュミオン。
「ふっ、簡単に見つかるようには思えんがな」
「まあきっと大きな平原とか川や湖の側とかにいる筈よ」
「ギル、冒険は楽しいか?」ギルはこくんと強く頷いた。あたしみたいな冒険者になれるように沢山経験を積ませてやりたい。そして強くなってもらいたい。ローズマリーはギルが昼寝をしている時にその話をしていた。
「獣人族は成長が早い分成長期は飲み込みも良い、今から我々で戦いの技術の基礎や冒険者の心得を教えるのは大きな財産になると思う」
「あいつは筋が良いぜ、俺が最初剣を握った時は扱いこなすのに数週間はかかったぜ。大化けするかもしれない」
「家事もしっかり覚えたしあの子を魔王との戦いの時安全に暮らせるよう手配しておけばきっと大丈夫よ」などと話していたら飛空船が見えた。きっと移民団の船だ。
ローズマリーはすぐ近くに船を降ろした。嫌な予感が当たってなければ良いのだが……。
しかしローズマリーのスキル【未来予知】によるとあと少ししか時間がない。誰か安心できる人物に託さなければならない。
「ねえ、ローズマリー。本当にあの子を育てる気なの?」
「ああ、まともな引き取り手がいたら話は別だけどな」
「例えばなんだけれど、ウルテジナ護衛団に引き取ってもらうとかは駄目かしら?」
「それも考えたんだけれど時間が無いんだよ。あたしの勘じゃああと半年で魔王との戦いが始まる気がするんだ。その時ギルのことを預けられる人物が必要だ」
「分かったわ、私もギルのこと放っておけないもの協力するわ」
「ありがとな、セレーナ」
ギルはエンデュミオンとルーンベルトと一緒に海水浴をし始めていた。楽しそうで何よりだ。今まであんなに笑うことはなかったのだろう。あたし達と旅ができることはギルにとってきっと良い効果を現すに違いない。この先どうやって生きていくかみっちりと教え込む必要がある。
「おーい、お前らあたしとセレーナは島を調査するからギルのこと頼んだぞ」
「任せろ!」エンデュミオンは叫んだ。
島にはリントの街にいたようなラピッドウサギの変異種やブラックベアー等がいたが強力なモンスターはいなさそうだった。ここなら丁度良い飛空船のエネルギー補給所になるだろう。セレーナが捕まえたラピッドウサギの変異種の丸焼きを皆で食べその日は、キャンプを張って寝ることにした。
ギルは寝る時はいつもあたしの話す童話を聞きながら寝る。今回は『泣いた赤鬼』の話をしてやった。ギルは「村の人に2人でちゃんと話し合えば仲良しになれたんじゃないか」と言って涙を流していた。コイツは優しい子だ。きちんとした土地に植えれば真っすぐに大きく成長するだろう。
「よう、ギル。今日は小便たれなかったのか」エンデュミオンがギルに声をかける。
「もう、しないもん!」ギルがエンデュミオンに舌を出す。
「生意気だな、こうしてやる」と言ってエンデュミオンはギルを高く持ち上げ肩車をしてやった。日中遊んでやるのはエンデュミオンの役目になっていた。
そして勉強を教えるのはルーベルトだった。結構熱がこもった授業で横で聞いているあたしも勉強になることを教えていた。
そして家事のことを教えるのはセレーナの役目だった。皆ギルのことを対等な立場で教えるのでギルは最初こそ戸惑っていたがすっかりあたし達と暮らすのに慣れてきたようだった。
それはローズマリーにとって1番嬉しいことだった。ギルがいるのが皆当たり前になっているようだった。
そして飛空船は新大陸の影を捕らえる位置にやって来た。大きな山が見える。
「あれがルーンベルトの言ってた誰も済んでない大陸か?」ギルははしゃいでいた。
「そうだぞ、そしてギル。お前も立派な冒険者の仲間入りだな」エンデュミオンが言う。エンデュミオンはギルと遊んでいる時は乗り物恐怖症が収まるらしかった。変な奴だ。
新大陸はどんどん近づいてくる。何も問題がなければ良いのだが……。ローズマリーには何か嫌な予感がしていた。
「よし、まずは移住民を見つけないとな」とエンデュミオン。
「ふっ、簡単に見つかるようには思えんがな」
「まあきっと大きな平原とか川や湖の側とかにいる筈よ」
「ギル、冒険は楽しいか?」ギルはこくんと強く頷いた。あたしみたいな冒険者になれるように沢山経験を積ませてやりたい。そして強くなってもらいたい。ローズマリーはギルが昼寝をしている時にその話をしていた。
「獣人族は成長が早い分成長期は飲み込みも良い、今から我々で戦いの技術の基礎や冒険者の心得を教えるのは大きな財産になると思う」
「あいつは筋が良いぜ、俺が最初剣を握った時は扱いこなすのに数週間はかかったぜ。大化けするかもしれない」
「家事もしっかり覚えたしあの子を魔王との戦いの時安全に暮らせるよう手配しておけばきっと大丈夫よ」などと話していたら飛空船が見えた。きっと移民団の船だ。
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