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【第5章理不尽賢者と新大陸】
【理不尽賢者と奴隷の子Ⅶ】
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魔族の村の長に話を聞きに行くとまた厄介ごとが待ち受けていた。何でもリザードマンは縄張り意識が高く。魔族達が作った米を盗んでいくらしい。当たり前のように。
どうやら縄張り内にあるものは全てが自分たちのものだと考えているようだ。
「マリー母ちゃん、ものを盗むのは悪いことなのか?」ギルは真顔で言ったので面食らってしまった。この子にはそんな当たり前の価値観すらなかったのだ。ローズマリーはしばらく考え込んだ。
「ギルよ、もし母ちゃんが他の子供にとられたらどう思う?」
「嫌だ!寂しい」
「じゃあ他の子の母ちゃんをギルがとったら他の子はどう思うどう思う?」
「寂しいし嫌だと思う」
「だからな、自分が嫌なことは他の人にもしちゃ行けないんだ」
「分かった、マリー母ちゃんはルーンベルトと違って怒らないし優しいから大好きだ。」
猫獣人だからなのかギルは嬉しい時喉を鳴らす。
これだ! とローズマリーは閃いた。リザードマンのやつらも納得してこの新大陸の魔族と仲良くやっていけるかもしれない。
ローズマリーは次の日リザードマンの集落を訪れた。
「何だ?また魔族の仲間か……?」
「あんたらと交渉しに来てやった。米を盗んで食べてるだろう」
ゲラゲラとその場に居合わせたリザードマン達が笑う。
「俺たちの縄張りで育ったものだ。俺たちの物だ」
「お前ら普段は何食べているんだ?」
「ジャイアントトードとか月ノ輪ガラスとか森の木の実とかだ」
「米は美味いか?」
リザードマン達は顔を見合わせて言った。
「美味かった。あんなもの初めて食った」
「もっと食いたいか?」リザードマン達は顔を見合わせて頷いた。
「じゃあ取引をしよう。長の家に行く。案内してくれ」
「良いだろう、お前たち長の家に連れていけ」
リザードマンの長老の家は質素なものだった。リザードマンの生活レベルはかなり低い様だ。
「わしに何の用だ?」不機嫌そうにリザードマンの長は喋った。
「米を沢山食わしてやる」唐突にローズマリーに言われたリザードマンの長は驚きを隠せないようだった。
「条件は何なのだ?」
「魔導石をくれ! そして米をたらふく食わせてやる」
ローズマリーはドワーフの一団に今まで貯めた白金貨を渡し小麦を買えるだけ買うように言った。
ローズマリー達が食べているパンをこの大陸の魔族に食べさせたところ「米より美味いものを初めて食ったと言った。
だから移民団にこの大陸の魔族全員、1年分の小麦を買わせそして栽培の方法を教えることにした。
そして魔導石の使い方を魔族に教えてもらった。魔法などを使う前に砕けば一時的にだが魔力が急激に高まるらしい。1度使ってみたがローズマリーは全盛期の半分ほどの魔力が回復できることを知った。
しかし魔族の青年が言う。
「魔導石は一時的に魔力を高めてくれるが反動で寿命を縮めるというのだ」
「純度の高いものほど効果は高いが危険も大きくなる。この大陸で一番良い魔導石を探しておいた。使ってくれ」
赤い小さな玉だった。もっと普通の青い魔導石のようにデカいと思っていたので拍子抜けした。
「純度の高いものほど小さくそして血のように赤くなるのだ」
「ありがとな、これで東のあたし達が来た大陸の魔王を倒せるかもしれない」
「力を使い寿命が縮まることが怖くはないのか?」
「もう知ってるんだ。あたしは未来が見える。あんたと会うのもこれが最後らしい」
「そうか……腹は決まっているのだな」
「ああ、この世界のダチ公は誰も死なせない。その未来をつかむためならあたしはどんな犠牲だって払うつもりだ」
魔族の青年は手を振り里に帰って行った。
「おい、ギルもう行くぞ」
「マリー母ちゃんは魔王を倒す気なのか?」
「ああそうだよ、ギル。そしたら皆笑って暮らせるようになるからな」
「俺も早く大人になりたい、それでマリー母ちゃんを助けたい」
「その気持ちだけで十分さ」ローズマリーはギルの反対方向を向き大切な特攻服の袖で涙を拭いた。
ギルとの別れが近いと分かったからだった。別れは唐突にやってきた。
どうやら縄張り内にあるものは全てが自分たちのものだと考えているようだ。
「マリー母ちゃん、ものを盗むのは悪いことなのか?」ギルは真顔で言ったので面食らってしまった。この子にはそんな当たり前の価値観すらなかったのだ。ローズマリーはしばらく考え込んだ。
「ギルよ、もし母ちゃんが他の子供にとられたらどう思う?」
「嫌だ!寂しい」
「じゃあ他の子の母ちゃんをギルがとったら他の子はどう思うどう思う?」
「寂しいし嫌だと思う」
「だからな、自分が嫌なことは他の人にもしちゃ行けないんだ」
「分かった、マリー母ちゃんはルーンベルトと違って怒らないし優しいから大好きだ。」
猫獣人だからなのかギルは嬉しい時喉を鳴らす。
これだ! とローズマリーは閃いた。リザードマンのやつらも納得してこの新大陸の魔族と仲良くやっていけるかもしれない。
ローズマリーは次の日リザードマンの集落を訪れた。
「何だ?また魔族の仲間か……?」
「あんたらと交渉しに来てやった。米を盗んで食べてるだろう」
ゲラゲラとその場に居合わせたリザードマン達が笑う。
「俺たちの縄張りで育ったものだ。俺たちの物だ」
「お前ら普段は何食べているんだ?」
「ジャイアントトードとか月ノ輪ガラスとか森の木の実とかだ」
「米は美味いか?」
リザードマン達は顔を見合わせて言った。
「美味かった。あんなもの初めて食った」
「もっと食いたいか?」リザードマン達は顔を見合わせて頷いた。
「じゃあ取引をしよう。長の家に行く。案内してくれ」
「良いだろう、お前たち長の家に連れていけ」
リザードマンの長老の家は質素なものだった。リザードマンの生活レベルはかなり低い様だ。
「わしに何の用だ?」不機嫌そうにリザードマンの長は喋った。
「米を沢山食わしてやる」唐突にローズマリーに言われたリザードマンの長は驚きを隠せないようだった。
「条件は何なのだ?」
「魔導石をくれ! そして米をたらふく食わせてやる」
ローズマリーはドワーフの一団に今まで貯めた白金貨を渡し小麦を買えるだけ買うように言った。
ローズマリー達が食べているパンをこの大陸の魔族に食べさせたところ「米より美味いものを初めて食ったと言った。
だから移民団にこの大陸の魔族全員、1年分の小麦を買わせそして栽培の方法を教えることにした。
そして魔導石の使い方を魔族に教えてもらった。魔法などを使う前に砕けば一時的にだが魔力が急激に高まるらしい。1度使ってみたがローズマリーは全盛期の半分ほどの魔力が回復できることを知った。
しかし魔族の青年が言う。
「魔導石は一時的に魔力を高めてくれるが反動で寿命を縮めるというのだ」
「純度の高いものほど効果は高いが危険も大きくなる。この大陸で一番良い魔導石を探しておいた。使ってくれ」
赤い小さな玉だった。もっと普通の青い魔導石のようにデカいと思っていたので拍子抜けした。
「純度の高いものほど小さくそして血のように赤くなるのだ」
「ありがとな、これで東のあたし達が来た大陸の魔王を倒せるかもしれない」
「力を使い寿命が縮まることが怖くはないのか?」
「もう知ってるんだ。あたしは未来が見える。あんたと会うのもこれが最後らしい」
「そうか……腹は決まっているのだな」
「ああ、この世界のダチ公は誰も死なせない。その未来をつかむためならあたしはどんな犠牲だって払うつもりだ」
魔族の青年は手を振り里に帰って行った。
「おい、ギルもう行くぞ」
「マリー母ちゃんは魔王を倒す気なのか?」
「ああそうだよ、ギル。そしたら皆笑って暮らせるようになるからな」
「俺も早く大人になりたい、それでマリー母ちゃんを助けたい」
「その気持ちだけで十分さ」ローズマリーはギルの反対方向を向き大切な特攻服の袖で涙を拭いた。
ギルとの別れが近いと分かったからだった。別れは唐突にやってきた。
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