いびり倒していた元部下が大出世して元帥閣下になったんだが、早々に指令部に呼び出された俺を誰かタスケテ。

弥生

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1話

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 軍に所属していて一番大切なことはなんだろうか?
 
 剣術や魔術で敵を倒せる強さか? 
 集団生活に馴染み命令を遵守することか?

 ──いいや、一番なのは上層部に尻尾を振り、上手く媚を売ってどうにか気に入られる事だ。

 15で軍に入ってから25年。
 今年40になる俺はそうやって生きてきた。
 
 少し白髪の混じるようになった赤錆色の髪を撫でつける。
 中肉中背……最近はデスクワークが多かった為に少し腹がぷにりとしているか。
 平民の一兵卒からようやく兵站(へいたん)部中尉まで出世した。
 汚職と政治腐敗が横行している我が国の中では程良く渡り歩いてきた方だろう。
 これ以上出世すれば目が付けられるし、これより下なら前線配属もされる可能性がある。

 ほどほどに働いて、退職金を満額貰う。これが何より賢い生き方だ。

 まぁ、上に媚を売りまくる生き方をしてきたのだから、同期やら部下からは色々と言われてきた。
 第一軍に言われればそのように従い、第二軍からこちらに付けと言われれば、はい喜んでと尻尾を振る。
 蔑称を込めて錆色の蝙蝠だの赤錆の狐だの色々と言われてきたが、そんなもの知ったこっちゃない。
 俺は卑怯でもずる賢くても、ごく普通の人間なんだから、ごく普通に生き残るために媚を売るだけだ。
 ……普通の人間に出来ることなんてたかが知れている。仕方ないだろう?
 それが俺の処世術だ。

 そんなある日の事。
 俺はテーブルの上の軍部からの手紙に頭を抱える。
  兵站部なんざ軍部の武器の調達や備品などの整備が専らの仕事で、前線に行くのは部隊長までの階級だってのに。
 軍部の辞令にはしっかりと次の作戦に同行するようにと書かれている。くそっ。
  
 今回上層部の大粛清によって頭がごっそりとすげ替えられるとの噂があったが、ちんけな兵站部中尉なんてのは、それに大きく影響される事もなかった。
 内部の情報でそれを知った時には、すぐに次は誰に付けばよいのかと模索したものだ。
 だが、新聞で新たな上層部の面子を見てくらりとする。

 氷結の魔術騎士アルー・ランディア第一軍団長。
 炎剣の騎士ゾラ・ルール第二軍団長。
「どちらも貴族派じゃなくて議会派の騎士じゃねーか」
  
 そして、それらのすべてを従えるのは……。

「元帥……グリムルド・ヴィド・ソロディア閣下」
 俺は頭を抱えた。

 10年ほど前、俺がいびり倒していた元部下の名前だった。

 
 まだ俺が第五軍の配属だった頃。
 平民出身の一般兵が多く、通称“掃き溜め”と呼ばれるその軍隊は、待遇も悪く前線での捨て駒扱いになる事が多かった。
 新人がいきなり投入されては初陣で死ぬ。
 まだ15だとかの若い兵士が次々と使い捨てにされていくんだ。
 ……家柄だったり賄賂だったり……それらが払えない場合はここに容赦なく投入される。
 あと、負傷兵ってのもあったな。
 一応の軍規定では“負傷兵には退役時に負傷手当てを払う事”って一文がある。
 ……だから、その金を上層部が吸い上げる為に退役じゃなく戦死扱いにしてやれってんだから、本当に腐ってやがる。

 戦死した時にも補償金があるだろうって?
 “一定の功績を上げた者”の一文によって大概の一般戦死者へは補償されないことになってやがる。ま、貴族やらはでっち上げの勲章で巨額の補償が払われるんだがな。けっ。

 だから俺たちみたいな一般兵がまとまった金を貰うには、生きて退役すること。ただそれだけしかねぇ。

 小隊長だった俺はとにかく生き残ること、上層部に媚を売ってこの地獄から抜け出すことで精一杯だった。

 だから、議会派が担ぎ上げようとしていた前帝の隠し子、15才のグリムルドが貴族派の上層部によってこの前線に送られてきた時には、“相当の歓迎”をしろとの意図だと俺は受け取ったんだ。

「えーと、俺が覚えてる中では目付きが悪いって顔面殴ったり、態度がデカイって飯を抜きにしたり、あと一人じゃ終わらせられないほどの備品の清掃を命じたり……後は……」

 んーー。
 指折り数えるが、いびる内容が頭悪すぎて思い出すのを止める。

 あー、あの頃は貴族派が議会派の勢力を削る為に、優秀な人材やらを潰す目的で前線に投入されていたもんなぁ。
 他の小隊長が『こんな新兵を指令とはいえ嬲(なぶ)るのは耐えられない』って引き取り拒否してたから俺が引き受けてたんだよな。
 お陰で5年ほどで兵站部に引き上げて貰えたし。周りからは外道外道って言われていたけど。
 んー、新聞を見ていたら、あの当時いびっていたやつらの名前がちらほらとある。

 ……あの前線を生き延びた叩き上げの兵士達だ。クーデターでもぬるま湯に浸かっていた様な連中を制圧するのは苦ではなかったのだろう。

 ……これ、当時の事を掘り返されたらヤバくないか?

 そういった連中に近寄らないのが大前提。
 すり寄るならその下、少佐辺りだ。
 当たり障りなく、もし連中に何か言われたらすぐに上層部に言われてやったことで……って靴でも舐めて土下座しょう。
 まぁ、関り合いにならないのが一番だけど。

 俺は新聞を片付けて遠征の準備をし始めた。


 今回の遠征は、クーデター後ともあり、軍部再編の為の遠征との事だった。
 軍部の腐敗は隅々まで侵食している。
 役職にコネや金によって入り込んでいる者達も多い。この遠征によってそういった人を炙り出し、能ある者を取り上げる。
 1か月程の遠征との事だが、第一部隊、第二部隊と入れ替りで遠征地に行き、順番に様子を見るとの事だった。
 俺の小隊は初回から参戦し、第三部隊までの武器や備品などの調整を行い、別の小隊と交代して帰還。
 今回は俺たちの仕事ぶりも見られるから少しは気張らないといけない。


「……中尉、物資の搬入終わりました」
「おう、じゃこれこの分配で分けてくれ」
「……」
 俺を無能な媚売り上司と毛嫌いしている部下が手渡した紙を見て怪訝な顔をする。
「これは?」
「今回の第一軍の各小隊ごとの必要備品リストだ。一枚目が共通備品、二枚目が各小隊の剣や斧の手入れ道具、魔法騎士のマジックポーションなど構成要員によって備品をまとめてある」
「……」
 この無能な上司が? って顔だな。
「お上の人たちってのは、頭が切れる奴も毛嫌いするんだよ。程好く馬鹿で扱いやすい奴が好きなんでね」
「では今までは……」
「今回の遠征で兵站部もある程度頭のキレる奴がいるって示さなきゃならねぇ。部隊の構成員の情報は遠征に来る前から集めている。始まってから集めるなんざ下策だな。……お前名義でそれ采配しろ。お前もそろそろ中尉に上がっておけ」
「……わかりました。カザ中尉」

 それから部下たちに指示していると、兵站部の幕に第一軍の兵士が指令を持ってきた。

指令を広げると。
『   召集状

兵站部カザ中尉殿。
至急、指令部まで来られたし。
緊急を有す為、中尉不在時の臨時指揮権限は小尉に移行する事。

   元帥グリムルド・ヴィド・ソロディア』


 閣下からの……お呼びだし。
 俺は天を仰いで目を抑えた。

 因果応報……。

 そんな言葉が脳裏を過った。
 

 部下にこの後の手配を任せてどんよりとした面持ちで指令本部に向かう。
 俺を名指しで……。
 兵站部に有名な腰巾着がいるから昔の上層部について握っている情報を明け渡せとか? 忠義心は一欠片も持ってないから喜んで情報提供するけど。
 
 確か今回はクーデター起こした中核の連中がわんさか来ているんだよな……怖っ。
 俺のどうやったら穏便に済ます事ができるだろうか、なんて甘い算段は一気に崩れ落ちる。

「よう、出迎えご苦労さん。戻っていいぞ」
「はっ!」

 俺を呼びにきた兵士を返すと、本部前でニヤニヤと団長服を纏う騎士……氷結の魔術騎士アルー・ランディアや神官が待ち構えていた。

「よう、小隊長(・・・)殿、待ちわびていたぜ?」
「いやぁ、その……はは……第一騎士団長におかれましてはご機嫌麗しい様で……」
「つれねーなぁ。昔みたいに剣技も魔法も中途半端な脆弱野郎って呼んでもらっても構わないんだぜ?」
「は……はは……」
「あ、僕の事覚えていますか? 昔食べさせて頂いた地面の泥は美味しかったなぁ~フニャチンのカマ野郎、そう言ってくださってましたっけ?」
「いやぁ……」
 ニコニコと女性が裸足で駆け出す美貌の青年は当時はヒーラー見習いで、泣きながら戦場で回復をしていたっけ。
 今では奇跡を起こす大神官へと出世したと風の噂で聞いたことがある。
 ……平民から至高の位へと道を切り開いたセルラー・セオドリス大神官は一部市民からは伝説になっている。

「なぁ、小隊長殿。俺たちは一度だってあの頃の事を忘れちゃいないぜ。中にいらっしゃる閣下だってそうだ」
「……」
「あ、中に入る時に手枷は嵌めさせていただきますね。一応、中には元帥もいるのですから。手枷には『沈黙無効』『毒無効』『偽証無効』ついでに『あらゆる自死の無効』なんてものも付けておきました」
「それはそれは、ご丁寧に……」
 くそ、穏和な口調に反してセルラー大神官の目は一切笑っていない。死による逃避も許さないってか。

「では、どうぞ小隊長殿。中であの方がお待ちです」

 土を払って中に入れば、靴が沈む程の厚い絨毯が敷かれていた。
 野営地に似つかわしくないほどの絨毯。
 だが、その奥の絢爛な椅子に座る軍服の男の為と言われれば納得する。
 腐った上層部を有能な部下達を率いて一気に制圧したクーデターの立役者。
 壮絶な美貌とカリスマ性、他を威圧し平伏する傲慢な程の圧倒的強者。
 血統による魔術は一人で一個師団と戦えるほど。その剣技は送られてくる暗殺者を一人で制圧できるほど。

 齢25の若き元帥閣下、グリムルド・ヴィド・ソロディア、その人だった。


 俺は手枷のついた腕をだらりと下ろす。
 元帥の手前、部屋の左右に並ぶ十数名……俺をじろりと睨み付ける騎士は、どれも見覚えのある顔ばかりだった。
 ……つまり、過去俺がいびり倒してきた連中という訳で……。

 俺の人生オワタ……。


「久しいな小隊長殿。いや、今は兵站部カザ中尉殿だったか?」
 わざわざ言い返すのに棘を感じる。
「……あの、靴を舐めるんで許してもらえないですかね」
「不要だ。今では専用の靴磨きを雇うことが出来るようになったのでな。それに、何を許しを乞うと言うのだ? ん?」
 あーー。俺のわくわく兵役ライフが……。
 首の下とバイバイする日も近いかもしれない。

「貴方に折られた肋骨の痛みは忘れられません。10年過ぎましたが、今でも鮮明に覚えています」
「私も髪を引っ張られ、地べたを這いずった思い出が甦りますね」
 追い討ちをかけるように俺との思い出(いびった内容)を騎士たちが羅列する。

「まぁ、お前達も積もる話はあるだろうが……私の顔を立ててくれ」
 御意に。と騎士達が一礼して指令部を退出する。

 いや、嘘だろ。元帥とサシで弾劾裁判。心が死ぬるぞ!?
「気にするな。人がいては出来ない“深い話”をするだけなのでな」
 人がいては出来ない話って何!? 閣下の言葉が不穏過ぎる!!
 
 最後に残った大神官が、去り際にニコニコとさらりと魔法を掛けていく。
 ぞくりとした。これはオールキュア。身体の内外の汚れだけでなく病気や呪いさえも癒す最上位級の……神殿で多額の寄付をしないと受けられない大魔法のひとつだ。
 嘘だろ!?
「これで中も外も全部綺麗に致しました。性病の心配もございません。閣下、ごゆっくりと“積もる話”をしてくださいませ」
「ああ」
 大神官が退出すると、ぱさりと幕が下ろされ、音が外に漏れない防音魔法『スニーク』を閣下が唱えた。

「これで邪魔するものはいなくなったな。カザ隊長」
「ま、待って、閣下、一旦落ち着いて、話し合いましょう!」
 閣下は椅子から降りて俺の方に近寄ってくる。
「貴方に閣下と呼ばれると不思議な気持ちがするな。昔の様に“人形みたいにお綺麗な顔のペニスサック野郎”と呼んで貰っても良いのだが?」
 おあーーっ過去の自分ーー!!
 閣下は俺の顎を持ち上げると何とも複雑な顔をした。
「小さい。……10年前の貴方はあんなにも大きいと感じたのに……今では小柄だとさえ感じるな」
「……一族に裏切られ前線に送られた15才の餓えた子どもに比べたら、まだ俺の方が背が高かったでしょうね」
「はは。……髪には白いものが混ざり、腹も出始めた。あんなにも憎くて仕方がなかった小隊長殿が、今では私の下で怯えている……滑稽だな」
「……でしょうね」
 あれからもう10年も経つのだ。
 深海色(ディープ・ブルー)の瞳に、艶のない金色の髪。
 己の運命を呪うだけでなく、切り開く強さが籠められた眼差しだけが、あのクソ餓鬼の頃と変わらなかった。

「貴方から教えてもらった事はひとつ残らず覚えている」
「……!?」
 ぞくりとした。閣下の手が俺の腹に当てられる。
 やめろそこは少々ぷにりとしているんだ!

「どんなに理不尽な事があっても耐える事」
 軍用の白手袋を嵌めた手が性的に腹を撫でる。
「与えられた屈辱を忘れるな。受けた行いを忘れるな。……どん底でこそ、人は本性が出るのだと」
 腹に添えられていた手が尻に伸ばされる。

「ちょ、ちょっと待て待て待ったもしかしてそういう“事”をするっていうのか!?」
「貴方にはたっぷりと世話になったからな……“そう”だと言ったら?」
 獰猛な笑みに顔がひきつる。

「待った! 早まるな、こんな枯れかけたおっさんに! 思い止まってくれないか!?」
「当時を思い出せば容易に“たつ”から問題ない」
「ぎぇっ! さ、最近使ってないから後ろは勘弁してくれ!! 口でするから!!」
「……最近は使ってないのか」
「兵站部に異動してから5年ほどは……って下を脱がし始めないでくれないか!?」
 うわー! 手錠嵌められたままだから上手く抵抗できない!!
「上で飲み込むのはまたの機会にして……ほう、随分と粗末なモノで人の事を揶揄してくれたものだな」
「ひぃぃ……」

 元帥閣下に俺の息子が挨拶しちゃったよ……。

 手錠を掛けられた両手を閣下の片手で捕まれて、足を払われ絨毯に沈め籠められる。
 背中を床に叩きつけられる状態だが、受け身を取るまでもなくふわりと絨毯に沈み込んだ。手を頭の上で拘束される。
「安心しろ。お前が貧弱眼鏡と呼んでいた魔法器具作成部隊の天才が永久清浄魔法を掛けた絨毯だ。汚れてはいない」
「お気遣いどーも……」
「さぁ、久しぶりに長い話をしようじゃないか……今度は身体でな」
 閣下は俺に馬乗りになると、獰猛な瞳でニィっと犬歯を剥き出しにする。

 軍用手袋を、歯で器用に脱ぎ始めた。


「ぐっ」
 ぬちぬちと濡れた音がする。
 ここは指令部だってのに、なんで、そんなこと。
「ほぅ、最近使っていないのは本当だったようだな」
「こんな……40にもなるような……おっさんに……欲情してくれるなんて好き者はいないんでね……ぁあぐっっ」
 長く逞しい指がぐちぐちとアナルの中を弄る。
 くそ嫌がらせにしては効果が絶大だぞっ。
「よく使われた縦割れのアナルだ。……さぞ何本もを咥え込んだようだな」
 くそ、なかなかに心を抉ってくる。
「わかるか? 3本も上手く飲み込めているな」
「くっ」
 イイところを絶妙に突いてくる。
「もうそろそろ良いか?」
「……ふにゃちんとご対面ってか?」
 憎まれ口を叩いた事を後悔した。
 片手で器用にベルトを外され、下履きをずらして飛び出てきたのは質量、長さ共に見たこともないようなご立派なものだったからだ。

「比べてみるか?」
「ぁぐっ」
 閣下は俺の股の下に身体をねじ込むとそのデカイ逸物をアナルに捩じ込んできた。
「……狭いものだな。二本も一度に咥えた事があるのに」
「ぐ、それ10年も前の……はっ……あがっ」
 亀頭がみちみちとアナルの縁を広げていく。
 はーっはーっ……く、呼吸を思い出せ。苦しさを紛らわせる為の……。
「上手そうにしゃぶってくれる」
 くそ、ぐぷりと襞はでかすぎるものをしゃぶり、ゆっくりと飲み込んでいく。
「あぁ、夢にまで見た貴方の中は熱いな……」
 閣下が腰をゆっくりと沈める。
 んん……深い……亀頭が入っても、その竿も太く長いので、ゆっくりと襞を巻き込みながら奥に進んでいく。
 俺の奥まで亀頭が穿つ。
 だが、ちらりと下腹部を見たが、まだ全部は収まっていないようだった。
「まだ奥にいけるようだな」
「あっ待っ……ぐぁっ」
 ゆっくりとずるるっと引き抜かれた逸物が音がなるほど打ち付けられる。
 ぱちゅん……ばちゅん……と奥に打ち付けられる度に、張りを失った尻がぶるんと揺れる。
 若い雄は唇を舐めると容赦なく奥を抉ってきた。
 どちゅんと大きすぎる怒張が打ち込まれる度に襞が痙攣する。
 括約筋が何とかその太さに慣れようとひくひくと咥え込むが、若い雄はまた一段と大きくなるようだった。
「ぐっあっ……あっ……もう……」
「まだいけるだろう」
 閣下の唇が弧を描いたと思った瞬間に、喰われると思う程の口付けが落ちてくる。
 がぶりと口を大きく塞がれ、舌を絡めて咥内を制圧される。
 吐息すら食われて行くようだ。
 なのに腹の中を突き上げる激しさは衰える事はなかった。
 緩んだ臀部が突き上げられる度に揺れる。
 奥をずちゅんずちゅんと突き上げるその激しさに奥まった部分が綻んでいく。
「ん……あぁ、私のものを全部飲み込めそうだな」
「ひっま、待ってくれ、その奥は、誰も抜けては……」
「私が、初めてか? 光栄だな。……しっかりと私の形を覚えてくれ」
 ぐぷんと、強く打ち込まれ、亀頭が最奥の綻んだ襞を越える。
「かはっ」
 ばちゅんと結腸を越え、閣下の怒張のすべてが挿入されると、尻に睾丸がぶるりと打ち当たる音がした。
 尻に下生えが当たり、あの長大なものすべてを飲み込んだのだと分からせられる。
「ひっ……はっはっ……腹が……重い……」
 ごりゅりと腹を片手でなぞられる。
「うぐっ」
「わかるか? 腹が少しふくれている。ここまで飲み込んでいるのだ」
「ひっ……この巨根野郎……」
「ははっ光栄だな。貴方の身体はすでに拓かれているにしろ、ここまで拓いたのは私が初めてなのだろう? 私の形を覚えてくれ。これから貴方を抱き続けるのは私だと……」
「く、くそ……」
 先程までの激しさと異なり、ゆっくりと長いストロークで中を穿ちはじめた。
 今度はこちらの奥の結腸口や手前の前立腺などもぬちりぐちりと刺激してくる。
「あぁ、貴方の中はとても気持ちがいいな」
「くそ、なんで……あんたぐらいの美丈夫、他にいくらでも相手はいるだろうっ!!」
「まだわからないのか?」
 こんな、過去の意趣返しとしか思えないが……だが、それにしてももっと別の方法があるだろう。
 こんな、こんな中肉中背のおっさんを犯すんじゃなくてもっと別の……。
 結腸をぐぷりと越えて、亀頭がその奥にはまる。尻たぶに腰をぴたりとくっつけながら、男は独白した。

「言っただろう……私はすべて覚えていると。目付きが悪いと貴方は顔面を殴った。……その日は高官が見目の良い新兵を戯れに犯そうと視察しに来たんだってな。貴方の下にいた私や友人は顔を腫らしたお陰で夜伽に選ばれる事はなかった。態度がデカイと飯を抜かれた時も、貴族派のクソ坊が軍の食事に下剤を混ぜた事から私たちを守ろうとしたし、一人じゃ終わらせられないほどの備品の清掃を命じた時には、そのお陰でほぼ壊滅と言われた上層部の愚かな作戦から逃れさせてくれた」
 静かに男が語る。
 
「……いつだってそうだ。貴方が私たちを手酷く扱う時には、もっと上の人たちの目があった。理不尽な説教と称した話の中には戦時を生き抜く知恵が含まれていた。耐えろ、どん底にいる時に手を差し伸べる相手は本物だ。立場が変わってから態度が変わる者は権力しか見ていない。技を磨け血反吐吐くほど鍛えろ。手柄を立てろ。周りが殺すのが惜しいと思うほどに付加価値を付けろ。敵に従順したように牙を隠せ……どれも貴方が酷い言葉の裏に隠した戦場を生き残る知恵だ」

 閣下が……少しだけ迷子の様な心細い表情を浮かべた。

「最初は……私達を痛め付ける事で上層部に媚を売るクソ野郎だって皆思っていた。だが……上層部の夜伽の為に私達が尻を差し出さないといけないと言う時に……貴方が庇ってくれた。『そんな小さい尻よりも一本でも二本でも飲み込める私の方が楽しめるんじゃないですか?』って、次の日貴方は私達から夜伽を奪うのは上層部への寵愛を奪うためだって、手酷く犯されて寝所から起き上がれない中で言ったが、私達は貴方が守ってくれた為に屈辱的行為を受けずに済んだ」

 俺の手枷を抑えていた手を外し、両手で俺の頬をゆっくりと包む。

「私達は、貴方がしてくださった事をひとつも忘れていない。貴方が守ってくれたお陰で、私達は生き残れたんだ。今日ここに来ていた者達は、皆初陣で貴方の下に付き、生き延びる術を与えられた者達ばかりだ。どうかカザ小隊長。教えて欲しい。何故私達を生かしてくれた。何故身を差し出してまで生かしてくれたのだ」

 そんなんお前らの気のせいだ。俺はそんな事はしていない。……と答えようとした舌が、枷に掛けられた『偽証無効』によって正しき言葉に変換される。

「……俺が15で前線に放り込まれた時、上官たちに性欲発散で手酷く抱かれて死にかけたんだよ。あんな惨めな思いは一人で十分だ。それに……俺はごく普通の人間だ。政敵だろうがなんだろうが餓鬼どもが訳も分からず前線に送られて死ぬのなんざ見たくねぇ。普通の人間に出来ることなんてたかが知れている。だから……仕方ないだろう? 手加減の知らねえ奴らがやたらめったら打ち込む代わりに俺が打つ。俺がクソみてーな罵声を浴びせりゃ、それ以上は言ってこねぇ。俺なんかよりも能力のある餓鬼どもだ。最初の一年を生き延びれば……あとはどうにかなる」

 あーーくそ。言うつもりもなかった言葉がすらすらと口からこぼれる。
「ふ……ふふ……本当に口が悪い。それでこそ、我らが小隊長殿だ」
 閣下が笑う度に繋がった部分から振動が響く。くそ、腹の中がもぞりとする。

「それで、お前たちが俺を恨んでいないことはわかったが……どうしてそれが俺を犯すことに繋がるんだ」
「あぁ、あれ以降貴方が性的対象となった事はもちろんだが、貴方は性交に不快感を覚えるようになったと知り……これが気持ちが良いことだと塗り替えたくてな」
 いやいやいや今さらりと性的対象っていっているけど!?

「お、落ち着け閣下!」
「昔みたいにグリムと。貴方に性癖を歪まされた若い男がここにはいくらでもいるのだが、とりあえず武力と権力を行使して、一週間私の独占時間を確保した。やっと国もひっくり返す事ができたし、貴方を囲う手はずも整えた」
「若い男……たち!? ま、まて話し合おう! まずはこのデカイのを抜いてもらって……!!」
 うっとりと深い海色の瞳が蕩ける。

「スローセックスって、知っているか?」
 
 大変気持ちが良いそうだ。きっと貴方も気に入るだろう。なんて言葉が続く。
 性欲にまみれた瞳で男が俺の口を塞いだ。

 淫らに身体を交ざりあわせて……終らない狂瀾が始まった。



 この身体が沈み込むほどの絨毯はそれように作られた様で、その上でいくら性交しても身体が痛むことはなかった。
 グリムは結腸の奥に亀頭を捻り込ませ、その奥をゆっくりと揺する事を好んだ。
「あぁ、夢にまで見た。こうやって貴方の奥に受け入れて貰えるのを……」
 そう言いながら揺さぶるのでたまったものじゃない。
 一度最奥に熱いのをぶちまけると、次は獣の様に後ろから覆い被さって来て腰を振った。
 俺のを扱きながら打ち付けてくるものだからたまったものじゃない。
 俺の中に注ぐと、引き抜く時にごぷりと奴の精液が溢れ出てきた。俺のも、とぷとぷと吐き出していた。
 それからは座った奴の上に座らされる様に挿入され、今度は胸を弄られながらゆっくりと揺さぶられる。

 時間感覚がなくなった頃、入り口の幕が空いて、大神官が入ってきた。

「おや、随分と美味しそうになりましたね」
 ニコっと、笑うと片手で食べられるものや果物がのった皿を媾う二人の近くに置いた。
 
「良いなぁ、僕も小隊長に入れたい……」
「しんかんは……神に純潔を……」
「神殿や大司教こそ腐りきってますから。それに大丈夫です。僕、男の象徴だけ還俗したんで」
 何が大丈夫だよ、と思ったら下から強く打ち込まれ身体が跳ねる。
「セルラー、一週間は私の独占だぞ」
「ちぇ、あわよくば二輪刺しをと思ったのですが。はいはい、退散しますよ。あ、その前に」
 セルラー大神官が短く祈ると光が身体に降り注ぐ。
「カザ小隊長。貴方に祝福を。貴方が戦場で貴重なマジックポーションをかき集めて渡してくれたり、とにかく人を癒し、術を磨き、戦場での生き方を教えてくださったお陰で今の僕がいます。神殿は信じられなくても、貴方は信じることができます。貴方に幸せが訪れます様に」
 大神官の祝福と呼べる至高魔法が降り注ぐ。
 グリムとの性交で疲弊していた体力が回復していく。それに色んな体液でべたついていた身体すら綺麗になっていくようだ。
 その時、ぐぷんと俺の中の逸物も大きくなる。
「あはっうっかり閣下まで元気にしちゃいました」
「感謝する。報告書は食事をしながら読むとしよう」

 グリムは俺を穿ちながら食事を俺の口に運び、手早く自身の食事を済ませると報告書を読み仕事を終わらせ、再び俺に覆い被さった。


 定期的に清浄魔法を掛けられ、生理的衝動を抑えられた俺は、終わらない快楽に蕩ける。
 あぁくそ、なんだこれは。
 器が溢れるほど愛を注がれて(いや実際に溢れるほど中にも注がれてるんだが)
 手錠もいつの間にか外されて、グリムの背に手を回しやすくなっている。

 この指令部の幕まで入ってくるのは、この事を知っている者達ばかりだ。
 きちんと演習は進んでいるらしく、報告書を騎士団長クラスが運んでくる。
 その度に俺にちょっかいをかけてくるものだから、去った後は少しだけグリムが激しくなる。
 結腸口なんかはこいつの逸物に完全に負けて、口を開いて亀頭を旨そうにもぐもぐと食(は)んでいる。

 完全に、俺の腹の中はこいつの形を覚えてしまっていて、穴が締まらなくなったらどうしようという心配が募る。
 まぁ……おそらく、あの倫理観のない大神官がどうにかするんだろうな……。

 俺はとろりとした目で俺を延々と抱き続ける男を見上げる。
 彼はそれに気づくと、いとおしそうに海の瞳を蕩けさせた。

 因果応報。
 情けは人の為ならず。

 普通の俺が唯一出来たことが、こうやって実を結ぶなら……悪くない人生だったな。

 
 なんて……幸せに微睡んでいると、幕に人が入ってきた。

「やぁやぁ、我こそは第二軍団長炎剣の騎士ゾラ・ルール! 閣下、約束の一週間だぞ! カザ小隊長を口説く権利を寄越したまえ!!」
「おいくそ、ゾラ! さっきの決闘は無効だ! きったねぇぞテント燃やして人の気を反らした隙になんざ!」
「はっはー! アルー、どんな手を使っても勝ちは勝ちだ。これこそ我らが受けた教えだろう?」
「ちょ、二人とも、次は僕ですってー!」
「「一生童貞野郎は下がってくれないか?」」
「あ、僕ちんこだけ還俗したんで」


 いや、待てよ。さっきなんかぼんやり人生良かったね的な事言ったけど……。

『貴方に性癖を歪まされた若い男……たち』
 ぞわりと悪寒が走る。

「ちっ」
 グリムが俺を強く引き寄せる。
 いやいやいや。

 因果応報……?
 
 俺の尻は……もつのだろうか。

 

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異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

生まれ変わったら俺のことを嫌いなはずの元生徒からの溺愛がとまらない

いいはな
BL
 田舎にある小さな町で魔術を教えている平民のサン。  ひょんなことから貴族の子供に魔術を教えることとなったサンは魔術の天才でありながらも人間味の薄い生徒であるルナに嫌われながらも少しづつ信頼を築いていた。  そんなある日、ルナを狙った暗殺者から身を挺して庇ったサンはそのまま死んでしまうが、目を覚ますと全く違う人物へと生まれ変わっていた。  月日は流れ、15歳となったサンは前世からの夢であった魔術学園へと入学を果たし、そこで国でも随一の魔術師となった元生徒であるルナと再会する。  ルナとは関わらないことを選び、学園生活を謳歌していたサンだったが、次第に人嫌いだと言われていたルナが何故かサンにだけ構ってくるようになりーーー? 魔術の天才だが、受け以外に興味がない攻めと魔術の才能は無いが、人たらしな受けのお話。 ※お話の展開上、一度人が死ぬ描写が含まれます。 ※ハッピーエンドです。 ※基本的に2日に一回のペースで更新予定です。 今連載中の作品が完結したら更新ペースを見直す予定ではありますが、気長に付き合っていただけますと嬉しいです。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
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また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

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