烈火の大東亜

シャルリアちゃんねる

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11話:見つけた手段と行動 その2

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岡本時枝「ええー、またご冗談を、どうしてそんなことを言われるんですか?」

岡本晃司「信じられないのも無理はありません。僕らも少し前にこちらに転移して
     から、自分達でも信じられませんでした。でも本当に本当なんです」

時枝「信じられませんよ、どうなっているのか」

    これは自分も力にならなければどうしょうもないと思い一花が切り出した。

園田一花「岡本さん、本当に本当なんです。これからの日本が75年間どうなるのか
     私達は知っています。お話しても信じてもらえませんか?」

時枝「わかりました、お話をお伺いしましょう」

一花「先輩の口からお願いします」

晃司「うん園田さん。岡本夫人、いやひいお婆ちゃん。ほっとけばこの戦争は
   日本が負けます。
   今から約3年後の昭和20年3月に、東京に無差別に民間人を狙って都市部に
   大量に爆撃があります。
   ほとんどが焼夷弾(しょういだん)で多くの家屋が焼失します。
   それ以降、大都市を含む各都市で、無差別爆撃があり、とんでもない人数の
   民間人が死傷します。
   そして約4年後の昭和20年8月6日午前8時15分、広島市に原子爆弾という、
   核爆弾というものが世界で初めて投下され、一発で10万人以上の人が広島で、
   数か月のうちに亡くなります。
   これは爆発したのちに放射性物質というものが原因で、50万人以上の人が
   被爆します。
   更には、3日後の9日午前11時2分、今度は長崎市内に原子爆弾が投下
   されます。
   これも広島に次いで大きな被害をもたらします。
   被爆者を入れるとこの年だけで2つの原爆は、20万人以上の人が亡く
   なります。
   そして昭和20年8月15日終戦の日を迎えます」

    この晃司の嘘のような本当の話に時枝は心が動かされるのであった。

時枝「信じられないですよ、この大日本帝国が負けるなんて、本当に、そんなことが
   起きるんですか?」

晃司「はい確実に起こります。そしてその後の世界は・・」

時枝「もういいですよ、分かったよ、分かりましたよ、信じますよ。
   今おっしゃった内容と、あなた方が未来から来て、あなたが私のひ孫
   ということも信じます。
   で私にどうしろと?夫に伝えたらいいんですか?」

    晃司は信じてもらえてほっとしゆっくりその目的を話し出すのである。

晃司「はい、とにかく軍人将校のひいお爺ちゃんと話がしたいので、会わせて
   もらいたいんです」

時枝「そうやねえ、今は戦争がはじまったから年末も帰ってくるかわからないねえ。
   どげんしたもんやろねえ。じゃあ哲司にしよう。
   縁起でもないけど、息子が危篤(きとく)っていう文を書くよ。
   それなら年末帰ってくる可能性は、大きくなるやろうしね」

晃司「じゃあお願いしていいかな、ひいお婆ちゃん、そんな内容書かせて
   本当にごめんね」

時枝「よかよか、それに哲司はあんたの爺さんやろね」

    だんだん晃司と打ち解け合う時枝に少し安心した一花は話す。

一花「岡本さん、感謝します。私たちがなんとか出来る限りのことをしてみます」

時枝「頼もしいねえ、女だてらにそんな役目するなんてねえ。
   しかしかわいい人だねえ、お二人結構お似合いやないの」

    晃司と一花は少し赤面して黙ってしまった。そこへ騒ぎながら、
    一人の少年が入ってきた。
     
岡本哲司「お母ちゃん、腹減ったばい、なんかなかとね?」

時枝「こら哲司、入って来ちゃいかん言うたやろね。今なんかつくったるから
  ちょっと待っときなさい。
  この人たちに面倒かけるんじゃないよ。
  ごめんねえ晃司君、ちょっとご飯の支度するからちょうどよかよ、哲司と
  なんか話たらどうやろね」

晃司「うん、いいよ」

時枝「じゃちょっと待っててね」

    子供の頃の哲司に会った晃司はなつかしいようなおもいがして、
    また自分の祖父がどんな子供だったのか関心をもった。

晃司「哲司君って言うんやね。初めまして僕も岡本って言います。岡本晃司って
   言うんよ」

哲司「そうなんや、お兄ちゃん達変わった服着とるね、軍人さん?でも女の軍人
   なんておらんよね」

晃司「軍人じゃないよ、確かにそんな感じの服装やもんね。哲司君は大きくなったら
   何になるんかな?」

哲司「僕は父ちゃんよりも、もっと偉い軍人になるんや。まず海軍兵学校に
   行くんやあ。
   でもとうちゃんには、学問は急がんでいいから、よう遊べって
   いわれとるんや。
   お兄ちゃんたちは何しとる人なんや?」

晃司「お兄ちゃんたちは大学生やで」

哲司「大学生?金持ちなんやなあ、その服ひょっとして陸大か海大?」

    陸大:陸軍大学校
    海大:海軍大学校

晃司「いやいや陸大でも海大でもないよ、まあ大学生でこんな服着てたら、
   陸大生か海大生かと思うよね」

哲司「陸大と海大は士官学校と兵学校でてから、軍人してからいくもんなあ。
   お兄ちゃんやったら若いもんなあ」

晃司「よう知っとるね、陸大も海大もエリート中のエリートやもんね」

哲司「エリートってなに?」

晃司「あ、今英語禁止か、これ英語やねん、言うたらあかんよ英語で。
   まあ選り抜きの人って感じかな」

一花「先輩、エリートはフランス語ですよ」

晃司「あそうなんか。しかし横文字やし英語と勘違いする人多いやろし
   使わんほうが無難かな」

哲司「折角やったら僕も海大に行きたいなあ、お兄ちゃんあれって将官になるには、
   海大出なだめなんやろ」

晃司「大きい夢やねえ、海軍兵学校出ただけじゃ、大体大尉までやもんね。
   左官なれても少佐までかな。上級将校になるためには陸大とか海大出な
   だめやね」

哲司「そっかあ、でもその服大学の服?お姉ちゃんも同じ大学?」

一花「あ、あー、学校の制服じゃないよ、岡本先輩とは同じ大学だけどね」

哲司「ふーん、同じ大学かあ、金持ちやね」

一花「まあ自分で学費稼いだりもしてるんだけどね」
 
    3人が話して、しばらくすると時枝が戻ってきた。

時枝「さあご飯できたよ、哲司、みんなを呼んできて頂戴ね」

哲司「了解」

時枝「あんたたち、泊まる所はあるんかい?よかったら主人が返ってくるまで
   泊まっていきなさい。
   粗末なもんしか出せんけど、それまでくらいは食事もっとっていったら
   ええよね」

晃司「いいの?ひいお婆ちゃん、俺たちこの時代の金銭もってなくて、今日からも
   宿泊と食事どうしようか困ってたんよ」

時枝「私に任せなさい、それでこのお国を宜しく頼むよ」

一花「すみません、恩にきります。私たちこの時代の日本人のために全力を
   尽くします」

時枝「よかよか、頼むのはこっちのほうやろね。あ、早速手紙をかかんとね。
   電話ないからねうち。ごめんね遅くなるかもしれんけど」

晃司「いやいやどのみち、ひいお爺ちゃん帰ってこれるの年末やんね。
   大して問題ないよ」


    時枝ははがきを書き、岡本誠吉宛で、海軍兵学校に緊急に、
    親書として送った。

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