烈火の大東亜

シャルリアちゃんねる

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35話:ミッドウェー作戦とAL作戦:会議編

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    旗艦大和艦橋へ戻った晃司は山本に会った。  
  
岡本晃司「山本長官、ただいま戻りました」

山本五十六「おう、今回も早く戻ったな」

晃司「また永野総長に軍用機を手配してもらいましたので。
     それと長官、永野総長から僕に大尉の
   辞令がおりました」

山本「うむ。今までの功績を考えたらそれでも足りんくらいだな」

晃司「僕はとりあえずこのくらいでいいですよ。ところで長官、
   そろそろ豪州でも海戦が始まっていると思いますがどうなって
   いるかと背景等をお聞かせ願いますか?」

    豪州:オーストラリア

山本「分かった。まずお前の知っている現状を聞かせてくれ」

晃司「はい。この辺もほぼ史実通りだと園田少尉に確認しましたが、軍令部は、
   オーストラリアの戦略的価値急増にともない、戦争終末促進のため
   オーストラリアを、英連邦から脱落させることを模索しました。           
   そのため、オーストラリア北部と北東部の要地を攻略し、
   米豪連絡路を遮断しこの方面の敵海上兵力撃滅を検討しました。           
   軍令部は南方要域防衛の観点から、オーストラリア北部を押さえる
   必要性は認めていたんですが」
   
山本「うむ、それで、結局陸軍も海軍側の米豪連絡路の要地攻略案に賛成し、
   ポートモレスビー攻略に加わることになった、というのが現状だな。
   それは俺の所にも伝わっている」

晃司「なにしろ永野総長も、暗号の件も伊藤次長には伝えづらいですもんね」

山本「それと、どうやら豪州の戦いも始まった様だぞ」

晃司「そうですか」

    そして1942年5月5日、永野修身軍令部総長より
    山本五十六連合艦隊司令長官に対し大海令第18号が発令された。
    それからまもなくして、珊瑚海海戦が終了した。
    そして、各艦隊司令官、参謀が呼びだされ、ミッドウェー攻撃案に
    ついて作戦を練るため意見を求められ、各将校たちと会議が行われ、
    会議は終了した。

晃司「長官、やはり一応今の所、大まかには史実通りです。
   しかし、いやだからこそ、僕の修正案を取り入れて
   もらいたいんです」

山本「いいだろう、作戦室へ行こう。黒島と宇垣も呼ぶ」

晃司「それなら、南雲中将、草鹿参謀長、更に源田中佐も
   お呼び頂きたいのですが」

山本「南雲らもか?わかったそうしよう」

晃司「それと山本長官、第一航空艦隊の第二航空戦隊司令官山口多聞少将も
   呼んで頂いて、僕の正体等、今回の件について知っておいて
   ほしいのですが」

山本「山口もなのか?確かに第一航空艦隊の主要人物だからな、
   わかった彼も呼ぼう」

    そして、作戦室に宇垣、黒島、南雲、草鹿、源田、山口も
    呼び出された。

山本「よし皆集まったな。まず山口に晃司の紹介をせんといかんな。
   山口少将、こっちが俺の腹心の一人、岡本晃司大尉だ。
   晃司、自己紹介をしなさい」

晃司「はい。お目にかかった事があるかもしれませんが、山口少将、
   ただ今紹介に預かりました、岡本晃司大尉です」

山口多聞「第二航空戦隊司令官山口多聞だ、宜しく岡本大尉。
     しかし腹心?そうなんですか?山本長官」

山本「岡本大尉の事は説明せねばならんな、少々長くなるが
   こういうことだ」

    山本はじめ皆が山口に晃司の事について話した。

山口「ほ、本当ですか?そんなことがあるんですか?
   皆さんご存じだったんですか?」

山本「そうだ本当の事だ、ここに揃っている皆は既に知っている
   ことなんだ」 

山口「本当に考えにくい事ですが、山本長官はじめ皆さんご存知という
   ことなら、分かりました、信じましょう」

山本「うむ。では晃司、お前の修正案というのを聞こう」

晃司「はい山本長官。実は今まで皆さんに詳細は黙っていたのですが、
   史実ではこのミッドウェー海戦で、日本海軍は初めて一方的な
   大敗北を喫(きっ)します」

    諸将は顔を見合わせた。

山本「そうなのか?晃司、もう少しお前たちの日本においての史実も含めて
   聞きたい、話してくれ」

晃司「はい、史実ではこの海戦において、赤城、加賀、蒼龍、飛龍の4空母を
   撃沈され他の艦も撃沈、大破等、優位にあった日本海軍が完敗します。
   恐れながら山本長官、僕たち防衛大学校では、これは一言に言うと
   山本長官が兵力分散の愚をおかしたのが一番の敗着とされています。
   この作戦の艦隊編成は、山本長官率いる主力部隊、それに先行して、
   南雲中将率いる4空母を含む第一航空艦隊です。
   米国海軍司令長官ニミッツ大将は海戦後に、もし日本艦隊が4空母や
   10隻以上の戦艦を含む全艦隊が終結していれば、神がどのような
   幸運を与えても米国は、この海戦に勝てなかったと言っています。
   それに山本長官は史実では、暗号解読は絶対されてない等の楽観視も
   指摘されており、司令部の楽観的気分については宇垣参謀長が
   懸念されていました。
   更には、南雲中将の作戦ミスと言われている事等も、原因と
   されています」

山本「そうだったのか。俺のそんな怠慢で、
   負けの原因を作ったと言うのか」

南雲忠一「私にも原因があるのだな、岡本大尉」

晃司「お二方、またそれ以外の方々にも大変恐縮ですが、
   史実ではそうなんです」

宇垣纒「この作戦前に私たちの海軍暗号は暗号書D壱に変わっているが
    それでもかね?岡本大尉」

晃司「はい、宇垣参謀長。暗号D壱解読においては、米国は我々の
   暗号書のAFという、次の攻撃場所のみがはっきり特定できず、
   ミッドウェー島がハワイ諸島へ平文での真水製造機が故障のため
   飲料水不足との偽電文を流します。
   これを外務省暗号でAF(ミッドウェー)が飲料水不足だとの
   報を連合艦隊に報告します。
   それにより米国は我々の攻撃目標を、ミッドウェーと特定します」
  
宇垣「確かに外務省が絡(からむ)むと今回の米国の終結は阻止
   できんなあ」               

南雲「私の作戦ミスと言われている事とは、史実ではどういうものなんだ?
   岡本大尉」

晃司「ええ南雲中将、第一航空艦隊が敗北したのは、もともと軍令部による
   ミッドウェー島攻略を目的とするか、連合艦隊による敵機動艦隊の
   撃滅かが、明確でなかったことなのですが、
   南雲中将は、第一次攻撃隊からの攻撃不十分による第二次攻撃隊の要請
   により、ミッドウェー島の戦力が健在であると判断し、ミッドウェー島
   の再空襲を決断します。
   南雲中将は、第二次攻撃隊を編成するため、また敵艦隊が同島付近には
   いないとみなし、4空母の航空隊を陸上攻撃用爆弾への換装を命じ、
   ミッドウェー島を攻撃しようとします。
   そこへ、実際はもっと近い位置に居たのですが、空母を含む敵艦隊発見の
   報を受けます。
   南雲中将はまだ間に合うと考え、陸用爆弾装備から再び雷装に換装させる
   指示をだします。
   山口少将は、爆装のまま各機発進させるように具申されるのですが、
   南雲中将はご自身の考えを変えず、これを決行します。
   その少し後に攻撃してきた敵艦爆隊による急降下爆撃により甲板上や艦内の
   爆発物の混乱等で、誘爆を引き起こしたりしたため、そのとき発見され
   なかった飛龍以外の3空母は簡単に撃沈したんです。
   また飛龍一隻になっても反撃はしますが、戦力差によりやはり
   撃沈されるんです」

南雲「そういうことか」

晃司「今回はこれらを逆手にとり、ミッドウェーに敵航空戦力等を終結させ、
   一気にこれを叩きましょう。
   山本長官、主力部隊の空母を、もっと第一航空艦隊の直掩
   (ちょくえん)ができるまで先行させて下さい。
   それともう少しお話しします」

    晃司は詳細に今回の作戦の修正案について
    山本はじめ諸将に話した。
   
山本「そういうことか。それならわかった。お前の作戦を今回は
   とることにしよう。黒島もいいな」

黒島亀人「私はまったく問題ありませんよ。ただ当初、山口少将と
     源田中佐が、この作戦に反対していましたので、山口少将と
     源田中佐にも、聞かれたら宜しいかと」

山本「うむ。山口少将、源田中佐、どうかな?」
  
山口「山本長官、確かに私は今までこの作戦には反対でしたが、
   そういうことなら、岡本大尉の作戦に賛成します」

源田「私もです、山本長官。岡本大尉の考えには、私もまったく
   同感しております。この作戦に賛成せずにはいられません」

山本「そうか山口、源田、何かとやりやすくなった」 
  
黒島「岡本大尉、お前さんこの作戦が成功したら海大に行かずに、
   一気に左官に昇進じゃないか?」
 
晃司「また気が早いですよ、黒島首席参謀。
   とにかくここからは完全に勝敗まで、史実を塗り替えますから、
   私もですが、皆さんも気を抜かないで行きましょう」

山本「それで皆反対意見はないな。よし、そうと決まれば各提督、
   参謀を招集して決定事項を伝えよう」

    山本は各提督や参謀を集め山本の決定事項として
    作戦を伝えたのであった。
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