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第2章 俺と攻略対象者と、時々悪役令嬢
19話 父様は偉大
しおりを挟むあの後、兄様に送られ俺は母様のいる離れにに戻った。
母様は俺が急に居なくなったので心配していたが、本邸に居たとは言わなかった。
決意を固めたものの、俺はどこか鬱々としていた。
いや、焦っているといってもいい。
今この時、あのメイド達は命を落としていたとしても不思議ではないのだ。
その晩のことだ。
「リュート、本邸のメイドの配置替えを行った。リリスに付いていた者をレイアス付きに配置した。リリスには壮年の優秀な者をつけた。これで暫くは大人しくなるだろう」
夕食の席で、父様は俺に唐突に言った。
「!!」
俺は驚きのあまり、父様を凝視する。
本邸に行った事はまだ母様達には話していない。
「レイアスから報告があった。心配していたぞ? ……シュトロベルンの管轄とはいえ、レイアスはその血をひいている。問題は無いだろう。ただ……リリスはその内また癇癪を起こして、新しく付けたものに当たり散らすかもしれないが」
父様は眉間に皺を寄せていた。
父様にとっても頭を悩ませている問題なのだ。
「……これは、私が不甲斐ないばかりに起こっていることだ。お前が気に病む必要はない」
「しかし……」
皆、俺の責任ではないというが、俺は助けたい。
兄様にもそう約束した。
「……私や陛下も、シュトロベルンについては長年動いている。魔眼持ちたるお前の力を借りることも来るかも知れない。その時は手助けを頼んでもいいか?」
父様は俺の為に内密に進めてたであろう事を明かした。
父様は俺に気を使ってくれたのだろう。
俺が気に病まないように。
多分、本当は俺を巻き込む気などないのだ。
その優しさが、少し嬉しく感じる。
「……もちろんです」
俺は必ず誓いを果す。
もう傍観者でいるつもりはない。
力が足りないのなら、力をつければいい。
「ふっ、良かった。少しは元気が出たようで」
父様は俺に笑いかけ、抱き上げた。
「ありがとうございます、父様」
そう言って、俺も抱きしめかえした。
俺は無力だ。
だから、今の俺に出来る事をする。
さしあたっては、魔法の修練と王子の誕生パーティーだ。
いざという時、人脈はあった方がいい。
将来、必ず役に立つ。
そうして俺は1ヶ月勉学に勤しみ、とうとうその日を迎える事になった。
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