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第4章 リュート君誘拐事件!?
番外編 ありがとうは笑顔と共に
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──あの誘拐事件から数週間がたち、俺の謹慎が解けた頃。
俺は前々から考えていた、ユーリとリオナ達を直接会わせる約束を実行に移した。
「お、おねえちゃん。わたし、ユーリさまにちゃんとおれいいえるかな?」
余程緊張しているのか、レナは朝からそわそわと落ち着きがなく動き回っている。
「大丈夫。ちゃんと昨日も練習したでしょう。それにそのお菓子もユーリ様に渡すのでしょう? きっと喜んでくださるわ」
リオナはレナを落ち着かせるように頭をポンポン撫でると、レナの持っている淡い紫の可愛らしい包装を指差す。
それは今朝早く、俺がレナ達に教えて一緒に作ったクッキーが入っている。
何かお礼をと言っていた2人に、俺が提案したのだ。
レシピはシンプルだが味は美味しいので、ユーリも喜んでくれるだろう。
「そうですよ。それにユーリが来るまで、まだ時間があります。そう緊張していては、体力が持ちませんよ?」
緊張してチョコチョコ動き回る姿が可愛くて、俺も思わず頭を撫でてしまった。
「は、はい。リュートさま」
レナは恥ずかしかったのか、顔を真っ赤に染めてもじもじしながら顔を俯けた。
屋敷をチョコチョコと愛嬌よくお手伝いをするレナは、他の使用人達にも可愛がられ上手くやっているようだ。
母様も女の子が増えて嬉しいと、よく俺が着られなかった服をレナ達にも着せて満足そうにしている。
これで、もう俺に着せようなんて思わないだろう………………きっと。
身近に本物の女の子がいるのだから、俺が女装をする必要はない。
誘拐事件の後、お仕置きと称された着せ替え人形ごっこは数週間にも及んだ。
その間に出来た俺の写真のアルバムは、数十冊にも及ぶ。
長かった……2、3日で終わると思ってたら、全然終わらなかった。
それに加えて、風呂や就寝も常に誰かと一緒で、1人の時間が全くない。
家族の事は好きだが、流石にこの数週間ですっかり辟易としてしまっていた。
もうやりたくない。
「平和っていいですよね……」
俺は再びパタパタと落ち着きがなくなってきたレナを見ながら、しみじみと呟いた、
◆◆◆◆◆◆◆◆
「りゅーと!」
ユーリが公爵家に訪れたのは、約束通り昼過ぎであった。
「ようこそ、ユーリ。待ってたよ」
笑顔で抱き付いてくるユーリを俺も快く受け止める。
「むちゃ……したって、き…いた…。…しんぱぃ……めっ!」
手紙でも一応誘拐の話はしていたが、どうやら心配させてしまっていたらしい。
トーリさんに忠告を貰った矢先の出来事だし、心配させてしまって当然か。
「ユーリにも心配させちゃったね……ごめんね、もう無茶はしないよ」
母様や周りにこってり搾られて、今回の事はとても反省している。
「ん……!」
ユーリは俺の返事に満足そうに頷くと、俺の後ろに目線を移した。
「メイソン子爵家が三女、リオナ・メイソンです。あの時は妹をお助け頂き、ありがとうございます」
「れ、レナです! まえに、わたしをたすけていただき、ありがとうございます!! これっ! リュートさまといっしょにつくったので、よかったらたべてください!!」
俺が目線で促すと、リオナとレナが自己紹介と感謝を述べた。
レナは用意していたお菓子の袋を、ユーリに差し出した。
「ん、…とうぜん…のこと、…しただ…け。でも、ありがと…う」
ユーリは少し照れ臭そうに微笑むとそう言った。
「わたし、ずっと! ずっとおれいがいいたくて、ありがとうございます!」
「ん」
レナはユーリにお菓子を受け取ってもらって嬉しかったのか、興奮気味にユーリに話しかけている。
「レナ、失礼ですよ。少し落ち着きなさい。ユーリ様も申し訳ございません」
リオナがそんな2人の様子を微笑ましげに見ながらも、レナに控えるようにたしなめた。
「…べつ…に…きに…してなぃ……」
「お気遣いありがとうございます。妹にもお会いになってくださるなんて……本当になんとお礼をいったら良いのか」
「…ぼくが…りゅーとに……あぃた…い…って…たのん…だ。げんき…そぅ…よかっ…た…」
「ふふ! 僕もユーリとリオナ達を会わせてあげたかったからね! 実現できてよかったよ」
リオナはともかく、レナと会わせるのは少し難しいかも知れないと思っていた。
こうなる形は予想してなかったけど、結果的には一緒に暮らせるようになってよかった。
誘拐事件の後、子爵家の夫人がレナを売った事が分かった。
公爵家に喧嘩を売ったわけではなく、レナへの嫌がらせが目的のようだ。
そんな場所にレナを戻す訳にもいかず、そのままレナを家で引き取る事になったのだ。
リオナもやはり近くで見ていられる方が安心するのか、一緒に暮らせる事をいたく喜んでいた。
「……レナ、…まえより…おお…きく…なった…あんな…に…ちぃ…さかっ…たの……に」
ユーリは当時を思い出しているのか、まじまじとレナを見詰めた。
「2年もたったんだから、当然だよ。子供の2年は大きいからね」
「ん…ぼく…も、…お…ぉきく…なった!」
ユーリはジェスチャーで、伸びた身長を表した。
「……そうだね。……初めて会った時から、随分背が伸びたよね」
今では俺との差も4cmにまで開いた。
俺の背は殆ど変わっていないのに。
まぁ、まだ俺は6歳だし……これから伸びる予定なんだ。
その後、レナはユーリを質問攻めにしては、リオナに怒られてと会話が途絶えることはなく、また笑い声も絶えなかった。
そして、その日から俺の牛乳摂取量が増えたのであった。
俺は前々から考えていた、ユーリとリオナ達を直接会わせる約束を実行に移した。
「お、おねえちゃん。わたし、ユーリさまにちゃんとおれいいえるかな?」
余程緊張しているのか、レナは朝からそわそわと落ち着きがなく動き回っている。
「大丈夫。ちゃんと昨日も練習したでしょう。それにそのお菓子もユーリ様に渡すのでしょう? きっと喜んでくださるわ」
リオナはレナを落ち着かせるように頭をポンポン撫でると、レナの持っている淡い紫の可愛らしい包装を指差す。
それは今朝早く、俺がレナ達に教えて一緒に作ったクッキーが入っている。
何かお礼をと言っていた2人に、俺が提案したのだ。
レシピはシンプルだが味は美味しいので、ユーリも喜んでくれるだろう。
「そうですよ。それにユーリが来るまで、まだ時間があります。そう緊張していては、体力が持ちませんよ?」
緊張してチョコチョコ動き回る姿が可愛くて、俺も思わず頭を撫でてしまった。
「は、はい。リュートさま」
レナは恥ずかしかったのか、顔を真っ赤に染めてもじもじしながら顔を俯けた。
屋敷をチョコチョコと愛嬌よくお手伝いをするレナは、他の使用人達にも可愛がられ上手くやっているようだ。
母様も女の子が増えて嬉しいと、よく俺が着られなかった服をレナ達にも着せて満足そうにしている。
これで、もう俺に着せようなんて思わないだろう………………きっと。
身近に本物の女の子がいるのだから、俺が女装をする必要はない。
誘拐事件の後、お仕置きと称された着せ替え人形ごっこは数週間にも及んだ。
その間に出来た俺の写真のアルバムは、数十冊にも及ぶ。
長かった……2、3日で終わると思ってたら、全然終わらなかった。
それに加えて、風呂や就寝も常に誰かと一緒で、1人の時間が全くない。
家族の事は好きだが、流石にこの数週間ですっかり辟易としてしまっていた。
もうやりたくない。
「平和っていいですよね……」
俺は再びパタパタと落ち着きがなくなってきたレナを見ながら、しみじみと呟いた、
◆◆◆◆◆◆◆◆
「りゅーと!」
ユーリが公爵家に訪れたのは、約束通り昼過ぎであった。
「ようこそ、ユーリ。待ってたよ」
笑顔で抱き付いてくるユーリを俺も快く受け止める。
「むちゃ……したって、き…いた…。…しんぱぃ……めっ!」
手紙でも一応誘拐の話はしていたが、どうやら心配させてしまっていたらしい。
トーリさんに忠告を貰った矢先の出来事だし、心配させてしまって当然か。
「ユーリにも心配させちゃったね……ごめんね、もう無茶はしないよ」
母様や周りにこってり搾られて、今回の事はとても反省している。
「ん……!」
ユーリは俺の返事に満足そうに頷くと、俺の後ろに目線を移した。
「メイソン子爵家が三女、リオナ・メイソンです。あの時は妹をお助け頂き、ありがとうございます」
「れ、レナです! まえに、わたしをたすけていただき、ありがとうございます!! これっ! リュートさまといっしょにつくったので、よかったらたべてください!!」
俺が目線で促すと、リオナとレナが自己紹介と感謝を述べた。
レナは用意していたお菓子の袋を、ユーリに差し出した。
「ん、…とうぜん…のこと、…しただ…け。でも、ありがと…う」
ユーリは少し照れ臭そうに微笑むとそう言った。
「わたし、ずっと! ずっとおれいがいいたくて、ありがとうございます!」
「ん」
レナはユーリにお菓子を受け取ってもらって嬉しかったのか、興奮気味にユーリに話しかけている。
「レナ、失礼ですよ。少し落ち着きなさい。ユーリ様も申し訳ございません」
リオナがそんな2人の様子を微笑ましげに見ながらも、レナに控えるようにたしなめた。
「…べつ…に…きに…してなぃ……」
「お気遣いありがとうございます。妹にもお会いになってくださるなんて……本当になんとお礼をいったら良いのか」
「…ぼくが…りゅーとに……あぃた…い…って…たのん…だ。げんき…そぅ…よかっ…た…」
「ふふ! 僕もユーリとリオナ達を会わせてあげたかったからね! 実現できてよかったよ」
リオナはともかく、レナと会わせるのは少し難しいかも知れないと思っていた。
こうなる形は予想してなかったけど、結果的には一緒に暮らせるようになってよかった。
誘拐事件の後、子爵家の夫人がレナを売った事が分かった。
公爵家に喧嘩を売ったわけではなく、レナへの嫌がらせが目的のようだ。
そんな場所にレナを戻す訳にもいかず、そのままレナを家で引き取る事になったのだ。
リオナもやはり近くで見ていられる方が安心するのか、一緒に暮らせる事をいたく喜んでいた。
「……レナ、…まえより…おお…きく…なった…あんな…に…ちぃ…さかっ…たの……に」
ユーリは当時を思い出しているのか、まじまじとレナを見詰めた。
「2年もたったんだから、当然だよ。子供の2年は大きいからね」
「ん…ぼく…も、…お…ぉきく…なった!」
ユーリはジェスチャーで、伸びた身長を表した。
「……そうだね。……初めて会った時から、随分背が伸びたよね」
今では俺との差も4cmにまで開いた。
俺の背は殆ど変わっていないのに。
まぁ、まだ俺は6歳だし……これから伸びる予定なんだ。
その後、レナはユーリを質問攻めにしては、リオナに怒られてと会話が途絶えることはなく、また笑い声も絶えなかった。
そして、その日から俺の牛乳摂取量が増えたのであった。
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