乙女ゲームに転生したようだが、俺には関係ないはずだよね?

皐月乃 彩月

文字の大きさ
147 / 159
第6章 憤怒の憧憬

29話 不安

しおりを挟む
 

オズワルド達が今後の方針を決め移動を始めた頃、俺達は5メートルはありそうな白く巨大な扉の前までたどり着いていた─────








「何だか、まさしくって感じの扉だな」

「……うん、ボス戦っぽい感じたよね」

此処に辿り着くまでに、多くの魔物に出会したが、難なく倒す事が出来た。
だが、この中に在るものは、今までの雑魚とは違う。
先程までとは、比べ物にならない位の強い魔力を感じる。
ユリアもそれを感じているからか、少し緊張しているようだ。

「ユリア、お前は俺の後ろで「よしっ、任せてっ! リュート君の事は私が絶対守るからっ!!」……おい、お前はさっきの俺の話を聞いてなかったのか?」

後ろで大人しくしていろと、続けようとした俺の言葉を遮り、拳を固く握り宣言したユリア。
その瞳は、覚悟を決めた戦士のようだ。

いや……守るって……逆だろう。
不本意だけど、俺の立場ってお前の騎士だよね?
というか、さっき大人しくしてろって言ったばかりだろうに。

「ボスは、結構苦戦するような感じだったと思うんだよね。リュート君には傷1つ、死んでも付けさせないから!」

死んでもって……何で命かけてんだよ。

ユリアの思考は時々ぶっ飛び過ぎて、とんでもない結論が導き出される。
俺には予測不能だ。

「あー、即ち俺の話は全然聞いてなかったと……もう1度言うけど、お前は俺の後ろで待機、OK?」

まぁ、その心意気は……多少認めてやらない事もないけどね。

俺はポンと、ユリアの頭に手を乗せると髪をぐしゃぐしゃにした。

「え、でも、私がリュート君を巻き込んだんだし。もし、もしもリュート君が怪我したら……」

不安そうな目で俺を見るユリア。
一応、巻き込んだと言う自覚はあるらしい。
先程のように、無双やらチートやらとおふざけで言ってる訳じゃないようだ。

……そう言えば、コイツ最初は1人で行こうとしてたんだっけ。

「お前、それ誰に言ってんの?」

俺はこの国の魔眼持ちだぞ?
怪我だって、お前と違って魔法で治療出来るから。

「でも、でも、」

それでも、ユリアが不安そうにするから。

たかが・・・ダンジョンのボスごときに俺が負けるなんてあり得ない⎯⎯」

俺は全然その程度大した事がないのだと、不敵に笑った。

「⎯⎯だから、黙って俺に守られていろ」

まぁ、実際俺がこの程度の相手に負けるなんてあり得ない。
ユリア腐王女が、俺を守るとか百万年早いから。

「なっ、なっ!? リュート君のたらしっ!」

ユリアは俺の一言にボンと音をたてるように一気に顔を赤く染め、首や耳まで赤くなった。

「いや、別にただの事実だろ」

別にそんな変な事言ってないのだか?
俺は一応お前の騎士だから、引き受けたからには職務は果たさなければならない。

「うぅ、罪作りっ! にぶちんっ!!」

ユリアは赤く染まった顔で、違う違うと首を横に振り地団駄を踏んだ。

いや、俺は鋭い方だし。
お前にだけはそれ言われたくないんだけれど。

「はいはい。ちゃんと、後ろにいろよ」

俺はわめきたてるユリアを置いて、巨大な白い扉に手をかけた。

しかし安心させようとしたのに、今度は違う方向に動揺しだすとは……。

やはり、腐王女は意味不明だ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー

みーしゃ
ファンタジー
生まれつきMPが1しかないカテリーナは、義母や義妹たちからイジメられ、ないがしろにされた生活を送っていた。しかし、本をきっかけに女神への信仰と勉強を始め、イケメンで優秀な兄の力も借りて、宮廷大学への入学を目指す。 魔法が使えなくても、何かできる事はあるはず。 人生を変え、自分にできることを探すため、カテリーナの挑戦が始まる。 そして、カテリーナの行動により、周囲の認識は彼女を聖女へと変えていくのだった。 物語は、後期ビザンツ帝国時代に似た、魔物や魔法が存在する異世界です。だんだんと逆ハーレムな展開になっていきます。

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

処理中です...