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4 告白の後先
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しおりを挟む「和泉ぃ」
教卓のほうから、誠がペタペタ歩いてきた。
「きのう、お母さんに、あのヘアピンあげたぞ~。お母さん、すごいよろこんでた。ありがとなぁ~」
へらっへらの、のんびり笑顔。
あ……なんか、ほんわ~。
「ホント~? よかった~っ! 日曜日、がんばって、選んだかいがあったね~っ!! 」
「えっ!? 綾って、マジで誠と、買い物行ったのっ!? 」
「あ……うん。楽しかったよ~っ! 誠のサングラス姿が、ホンットおもしろいのっ!」
「魔女っ子の和泉も、なかなかだったぞ~」
ふたりでケラケラ思い出し笑いしてたら、有香ちゃんも本から顔をあげた。
「なんか、わたし、誠のほうが綾ちゃんと合う気がする……」
「う、うちも……そう思う」
「え~っ!? なになに~?」
「やめて~。誠、この話、深くつっこまないで~っ!! 」
あたしひとりで、「ぎゃ~」ってなってたら、また、女子たちが教室に入ってきた。
って、リンちゃんと、青森さんっ!
あたしの心臓、ビックビック。
まな板の上の魚みたい。
リンちゃんの顔をそ~っと見たら、ネコみたいな吊り上がり目に、涙がうかんでた。
青森さんも、太い眉をさげ、目を赤くして、くちびるをかみしめてる。
「……どうだった……?」
女子たちの輪の中に、ふたりはふら~っと吸い込まれてく。
「ダメだった……」
「ふたりとも?」
「うん。なんか、中条君。ひとりでいたいんだって……」
腰の力が抜けちゃって。あたし、イスにへたりこんだ。
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