魔力を持つ人間は30歳までに結婚しないといけないらしい

ここりす

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13 私の居場所

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表彰式が終わりユリアさんの許可の元、残れる人だけ魔法支援室で打ち上げがあった。

みんなから労われ、少し照れる。


一旦落ち着くと、近くに来たアルノーから飲み物を受け取った。


「先輩、あんなに強かったんすね。見直しましたよ」

「作戦が上手くいっただけだよ」

周りにいた仲間も会話に混ざってくる。

「魔石の組み合わせであんなにカッコよく戦えるなんて、本当にすごい!僕、感動したよ」

「アイツの態度に腹立ってたから、仇を取ってくれて本当スッキリした~」

「私が勝てたのは、みんなが作った魔石のおかげですよ」

「そんな謙遜しないで~ほら、飲もう飲もう!」

魔法支援室のチームワークも深まった気がして、私は嬉しい気持ちになった。

本気で戦う姿をみんなから評価され、ありのままの自分をみんなに受け入れてもらえた気がした。


ーーーここが私の居場所だ。


******


結構長い時間まで飲んでいたらしく、辺りは真っ暗で解散の流れとなった。

帰ろうとするとアルノーに後ろから声をかけられる。


「先輩、女子寮まで送りますよ」

「大丈夫!すぐそこだから」


ユリアさん以外にはまだ結婚したことを伝えていないため、もう女子寮に住んでないことも、もちろん知らない。この結婚は口止めされていないので秘密にする必要もないが、なんとなく言うタイミングを失ってしまった。


(彼も、誰にも言って無さそうだしね)


アルノーは気にせずについてくる。


「すぐそこだから、送るっすよ。それにしてもあの魔石、みんなが作ったものじゃ無いですよね?」

「・・・どうも。アルノー気付いてたんだ。私がいざって時に用意した魔石だよ。出場前に女子寮まで取りに行ってたの」

私は諦めて一旦女子寮まで向かう。

「シーマとは故郷からの因縁があってね。アイツのおかげで魔力を極めた部分があるし、次に会ったら私がお返ししなくちゃって思ってね」

(国王にもアピールしないといけなかったし・・・)

アルノーは隣で大笑いする。

「あははっ・・・最高のお返しっすね」


話題を切り替え、いつも通りアルノーと気を使わない雑談をしていると、あっという間に女子寮に着いた。

アルノーは入るまで見送ってくれるらしいので、素直に扉を開ける。


「じゃあ、また明日ね」

「はい、また明日」


私は女子寮に一旦入り、アルノーの気配が消えてから家に向かう。


(いつか、みんなに結婚したこと言わないといけないよね・・・)


気が重くなったが、もう遅い時間なので早足で家に向かった。


******


いつもより遅い時間の帰宅になり、家には明かりがついていた。


(さすがに帰ってるか、さっさと入って早く寝よう)


玄関から共有スペースに入ると、ミハイルはソファーで本を読み寛いでいた。共有スペースにいる姿をじっくり見る機会がなかったので、少し驚く。

彼のルール通り、干渉しないように無言で自分の部屋へ向かう。


「おい」

階段を上がろうとすると呼び止められる。

「なに?」

嫌々ながらも呼ばれた方へ振り返った。

「遅い時間の帰宅だな」

「打ち上げしてたからね」

「明日も仕事があるのに魔法支援室は浮かれすぎではないか?」

女子寮に一旦寄ることになったので、帰るのに時間がかかってしまった。それに魔法支援室のことを言われカチンときた。

「言いたいことはそれだけ?アンタの言う通り明日も仕事があるから、ここで話してる時間ないの」

私は背を向けさっさと歩き出そうとすると、慌てて彼が立ち上がる。

「待て、その・・・」

私はうんざりとした顔を向ける。

「・・・・今日のことで、国王陛下は君の魔力を気に入った。この結婚に満足されているそうだ」

「そう・・・向こうが決めたのに、私は信頼されてなかったわけだしね」

(これでやっと、解放されそうね)


彼は気まずそうに私の前まで来る。


「それで優勝の褒美に、休暇と特別手当が貰えるな」


久しぶりにミハイルの顔をちゃんと見た気がした。話しにくいことなのか、なぜかじっと見下ろす彼と目が合ったままだ。


「・・・君を気に入った国王陛下からさらに休暇は2週間、特別手当は王家が用意した旅行が手配されるらしい。そこに僕も含まれて・・・いるんだ」

「・・・・・・・・」

私は思いもよらないプレゼントに固まる。


(彼と旅行!!?しかも2週間も一緒だなんて・・・)


私が固まってるのを確認すると彼は続ける。


「国王陛下のご好意だ。ーー断れない」


今日は色々あり過ぎて、追いつけない状況に少しフラつく。


「おい」

バッと彼の腕に支えられる。

「あ、ごめん。今日は疲れてるからもう寝るね」

パッと離れ、顔を上げると彼の顔が赤いような気がした。


「あ、ああ・・・おやすみ」

「おやすみなさい」
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