20 / 83
20 抜け出せない鎖
しおりを挟む
あれから、このホテルでも毎日手を繋いで寝ているが、いつの間にか彼の胸の中にいるらしく、最近はそこで目覚める。
ミハイルの近すぎる香りにドキドキしながら起きると夫婦の挨拶と言われ、毎回泣きぼくろにおはようのキスをされる。
心臓がうるさいが身支度するためにミハイルの腕から抜け出し歩き出す。背後からの視線を感じながら、なんとか洗面所へ辿り着いた。
路地裏でのミハイルは怖かったが、今はいつも通り甘く優しい。
甘い顔立ちのミハイルは、蕩けるような表情で見つめてくれるのに、たまに無表情で何を考えているのか分からない瞬間が不安に感じる。
支度を終えミハイルにプレゼントしてもらったワンピースを着るが、背中がボタンになっており全部閉められない。
(あれ・・・試着の時は手伝ってもらったから気づかなかった)
「どうしよ・・・」
後ろを振り返り確認するが、腰まで開いた所から背中が見えてしまっている。
こっちの洗面所にはこの服しか持ってきていないため、諦めてミハイルに手伝って貰うことにする。
(ちょっと恥ずかしいけど・・・)
そっと扉を開け、ミハイルに声をかけた。
「あの、ミハイル」
ミハイルは呼びかけられると、すぐに飛んできた。
「どうしたの、マール」
私は長い髪を片方に流すと背中を向け、ミハイルにお願いする。
「ボタンが届かなくって・・・お願いできる?」
「ああ・・・」
そのまま洗面台まで押し込められると、鏡越しに目が合う。無表情の彼が私の背中に視線を注いだ。
「ミハイル・・・あの、んっ」
ミハイルのしなやかな指が、さらけ出している肌に触れビクリとなる。背中からゆっくりうなじまで指を滑られるとゾクゾクと体が反応してしまう。
思わず洗面台に手を付き、顔を見上げると興奮しきっているミハイルの顔があった。
彼の熱い指は動きを止めず、私の反応を楽しんでいるみたいだ。
「ボダンっ、とめてぇ・・・」
「マールの声、色っぽね」
プチッ
なぜが1番上のボタンが外されると背中がさらにさらけ出される。
「あっ・・・だめ」
「こんな所にホクロ、あったんだ」
うなじの根元にあるホクロにミハイルの柔らかい唇が触れる。
ちゅっ
「ほら、ここにも」
下着の上にあるホクロにも唇が落ちてくる。
「んっ・・・やめて」
プチップチッ
腰にあるボタンを外されると、腰から背中まで指を滑らせて私の反応を楽しむミハイルと鏡越しに目が合う。
そこには見たことがないミハイルの猛獣のような目付きに驚き、無意識に体が逃げるが、逃がさないとばかりに、腰を掴み引き寄せられるとミハイルの腰とぶつかった。
(!!)
「あっ・・・!」
「ふっ可愛い」
どっと色気が溢れる声にゾクリとするが抵抗をやめないままでいると、腰に腕が巻き付き、顔を掴まれて動けなくなった。
柔らかい唇が耳に触れると、そのまま熱い舌に舐められ耳が濡れる。
「あんっ、ん・・・」
「耳、弱いんだね」
低い声にゾクリとするも、抵抗していると力強い腕にひっくり返された。
「ミ、ミハイ・・・っ!」
直接向き合うとギラギラとした紫の瞳に捉えられ怖くなる。私が抵抗をやめて固まっていると、唇に親指が這う。
「んむっ・・・」
「ここにはホクロが無いんだね」
寂しそうに私の泣きボクロに唇を落す。顔にあるホクロからゆっくり下まできて胸の所で止まった。
「ここにあるホクロは、いやらしい・・・ね」
胸の谷間をじっくり見つめると、唇ではなく舌が這ってきた。
「ああっ、んんっ、」
「この服は可愛いけど、外では着ないで」
胸の上で話す彼に何度も頷く。
「このホクロは僕にしか見せちゃだめだよ」
私は別の服に着替え、何故かソファーで横抱きにされている。
「あの・・・ミハイル、今日は観光行かないの?」
「ここに来てから毎日外にいたんだ、今日はマールを独占したい」
「うん・・・」
「残りの日も、ずっとこうしていたい」
「え・・・」
「君を閉じ込めたい」
「困るよ・・・」
私を離さないと言わんばかりに力強く抱きしめられると、諦めるように彼の頭を撫でる。
ミハイルはびくりと固まり、頭を手に擦り寄せている。
「マール、こうして毎日一緒に居ると、ますます君を好きになるよ・・・」
(ミハイル・・・)
「もっと君に近づきたいんだ」
私は返答に困り、逃げるように笑う。
「そんな顔をさせてごめん・・・」
ミハイルは悲しそうな顔をすると、鎖のように腕が絡みついた。
いつの間にか寝ていたらしい。
ベットで目が覚めると、目の前にはミハイルの顔があった。
寝起きでは無さそうな顔に微笑まれる。
(もしかして、ずっと見てたの?)
「マール、お腹すいてる?さっき夕食買ってきたんだ」
手を引かれ豪華なテーブルに着くと、そこには沢山の異国料理が並んでいた。
「すごいね・・・」
「あと、これも」
跪いて花束を差し出すミハイルは王子様そのものだった。
その王子様に見蕩れながら、そっと受け取ると花のいい香りがした。
「今日はマールを閉じ込めちゃったからね」
ごめんねと笑うミハイルの顔は悲しそうだ。
「ゆっくりできたから良かったよ。2週間ずっと出てるのも大変だしね。それに二人で来てる旅行だからミハイルの意見も大事だよ」
「マール・・・」
私は初めて貰った花束に嬉しくなり、微笑む。
「食べてもいい?」
「ああ、君のそんなところが好きだよ」
ミハイルの近すぎる香りにドキドキしながら起きると夫婦の挨拶と言われ、毎回泣きぼくろにおはようのキスをされる。
心臓がうるさいが身支度するためにミハイルの腕から抜け出し歩き出す。背後からの視線を感じながら、なんとか洗面所へ辿り着いた。
路地裏でのミハイルは怖かったが、今はいつも通り甘く優しい。
甘い顔立ちのミハイルは、蕩けるような表情で見つめてくれるのに、たまに無表情で何を考えているのか分からない瞬間が不安に感じる。
支度を終えミハイルにプレゼントしてもらったワンピースを着るが、背中がボタンになっており全部閉められない。
(あれ・・・試着の時は手伝ってもらったから気づかなかった)
「どうしよ・・・」
後ろを振り返り確認するが、腰まで開いた所から背中が見えてしまっている。
こっちの洗面所にはこの服しか持ってきていないため、諦めてミハイルに手伝って貰うことにする。
(ちょっと恥ずかしいけど・・・)
そっと扉を開け、ミハイルに声をかけた。
「あの、ミハイル」
ミハイルは呼びかけられると、すぐに飛んできた。
「どうしたの、マール」
私は長い髪を片方に流すと背中を向け、ミハイルにお願いする。
「ボタンが届かなくって・・・お願いできる?」
「ああ・・・」
そのまま洗面台まで押し込められると、鏡越しに目が合う。無表情の彼が私の背中に視線を注いだ。
「ミハイル・・・あの、んっ」
ミハイルのしなやかな指が、さらけ出している肌に触れビクリとなる。背中からゆっくりうなじまで指を滑られるとゾクゾクと体が反応してしまう。
思わず洗面台に手を付き、顔を見上げると興奮しきっているミハイルの顔があった。
彼の熱い指は動きを止めず、私の反応を楽しんでいるみたいだ。
「ボダンっ、とめてぇ・・・」
「マールの声、色っぽね」
プチッ
なぜが1番上のボタンが外されると背中がさらにさらけ出される。
「あっ・・・だめ」
「こんな所にホクロ、あったんだ」
うなじの根元にあるホクロにミハイルの柔らかい唇が触れる。
ちゅっ
「ほら、ここにも」
下着の上にあるホクロにも唇が落ちてくる。
「んっ・・・やめて」
プチップチッ
腰にあるボタンを外されると、腰から背中まで指を滑らせて私の反応を楽しむミハイルと鏡越しに目が合う。
そこには見たことがないミハイルの猛獣のような目付きに驚き、無意識に体が逃げるが、逃がさないとばかりに、腰を掴み引き寄せられるとミハイルの腰とぶつかった。
(!!)
「あっ・・・!」
「ふっ可愛い」
どっと色気が溢れる声にゾクリとするが抵抗をやめないままでいると、腰に腕が巻き付き、顔を掴まれて動けなくなった。
柔らかい唇が耳に触れると、そのまま熱い舌に舐められ耳が濡れる。
「あんっ、ん・・・」
「耳、弱いんだね」
低い声にゾクリとするも、抵抗していると力強い腕にひっくり返された。
「ミ、ミハイ・・・っ!」
直接向き合うとギラギラとした紫の瞳に捉えられ怖くなる。私が抵抗をやめて固まっていると、唇に親指が這う。
「んむっ・・・」
「ここにはホクロが無いんだね」
寂しそうに私の泣きボクロに唇を落す。顔にあるホクロからゆっくり下まできて胸の所で止まった。
「ここにあるホクロは、いやらしい・・・ね」
胸の谷間をじっくり見つめると、唇ではなく舌が這ってきた。
「ああっ、んんっ、」
「この服は可愛いけど、外では着ないで」
胸の上で話す彼に何度も頷く。
「このホクロは僕にしか見せちゃだめだよ」
私は別の服に着替え、何故かソファーで横抱きにされている。
「あの・・・ミハイル、今日は観光行かないの?」
「ここに来てから毎日外にいたんだ、今日はマールを独占したい」
「うん・・・」
「残りの日も、ずっとこうしていたい」
「え・・・」
「君を閉じ込めたい」
「困るよ・・・」
私を離さないと言わんばかりに力強く抱きしめられると、諦めるように彼の頭を撫でる。
ミハイルはびくりと固まり、頭を手に擦り寄せている。
「マール、こうして毎日一緒に居ると、ますます君を好きになるよ・・・」
(ミハイル・・・)
「もっと君に近づきたいんだ」
私は返答に困り、逃げるように笑う。
「そんな顔をさせてごめん・・・」
ミハイルは悲しそうな顔をすると、鎖のように腕が絡みついた。
いつの間にか寝ていたらしい。
ベットで目が覚めると、目の前にはミハイルの顔があった。
寝起きでは無さそうな顔に微笑まれる。
(もしかして、ずっと見てたの?)
「マール、お腹すいてる?さっき夕食買ってきたんだ」
手を引かれ豪華なテーブルに着くと、そこには沢山の異国料理が並んでいた。
「すごいね・・・」
「あと、これも」
跪いて花束を差し出すミハイルは王子様そのものだった。
その王子様に見蕩れながら、そっと受け取ると花のいい香りがした。
「今日はマールを閉じ込めちゃったからね」
ごめんねと笑うミハイルの顔は悲しそうだ。
「ゆっくりできたから良かったよ。2週間ずっと出てるのも大変だしね。それに二人で来てる旅行だからミハイルの意見も大事だよ」
「マール・・・」
私は初めて貰った花束に嬉しくなり、微笑む。
「食べてもいい?」
「ああ、君のそんなところが好きだよ」
1
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
花の精霊はいじわる皇帝に溺愛される
アルケミスト
恋愛
崔国の皇太子・龍仁に仕える女官の朱音は、人間と花仙との間に生まれた娘。
花仙が持つ〈伴侶の玉〉を龍仁に奪われたせいで彼の命令に逆らえなくなってしまった。
日々、龍仁のいじわるに耐えていた朱音は、龍仁が皇帝位を継いだ際に、妃候補の情報を探るために後宮に乗り込んだ。
だが、後宮に渦巻く、陰の気を感知した朱音は、龍仁と共に後宮の女性達をめぐる陰謀に巻き込まれて……
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる