魔力を持つ人間は30歳までに結婚しないといけないらしい

ここりす

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25 一緒に王宮へ ②

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もうそこからは、当然みんなからの質問攻めだった。

「妻って言ってたけど、結婚していたのか!?」

「あのミハイル様と結婚出来るなんてすごいな!」

「いつの間にあんなに仲良くなったの?」

「いつもと雰囲気違ったけど、ミハイル様って本当はあんな感じ?」


パンッーー

ユリアさんが手を叩いいて声を上げた。

「今日は忙しい日なのよ。みんな仕事につきなさい」

ユリアさんは普段怒らないため、怖い。みんな口を止めてそそくさと仕事に取り掛かる。

私はユリアさんを巻き込んでしまったことをすぐに謝りに行った。

「忙しいのに、朝からすいませんでした」

「いいのよ。とりあえず頼んでた仕事、よろしくね」

私も急いで仕事に取り掛かった。

「アルノー、これお願い出来る?」

「・・・はい」

今日は本当に忙しく、アルノーにもどんどん仕事を振り分ける。

アルノーは隣で何か言いたげにこっちを見ていたが、すぐに仕事に取り掛かっていた。




忙しかったせいか気が付くとお昼の時間になっており、ミハイルがここまで来るとまた騒ぎになりそうだったので、私は魔法支援室を飛び出す。

彼のいる魔法研究室の塔まで一直線に向かう。探さなくてもミハイルは目立つので見つけて駆け寄った。


「そんなに急いで来てくれたんだ。じゃあ僕の研究室まで案内するよ」

嬉しそうに微笑むミハイルの隣を歩き、周りにチラチラ見られながら初めて魔法研究室の塔の中に入った。

(すごい・・・城に近いからか内装も豪華だ・・・ウチと全然違う。でも魔法支援室の方が私には落ち着くかも・・・)

ミハイルの研究室に着くと彼に続いて部屋に入った。ここまでずっと視線を感じていたので、さすがに息が詰まる。

ミハイルは振り向くと、心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「ごめんね、大丈夫?」

「うん。それより今日ちょっと忙しいから、食べたらすぐに戻らせて貰うね」

結婚した話が落ち着くまで、この状態だと諦めるしかないなと感じた。



テーブルまで案内してもらいながら見渡すと、ミハイルの研究室は重厚感があり彼によく合う雰囲気のある部屋だった。

きっと彼の功績に合わせた報酬の部屋なんだろう。魔力塔でもこの広さの個室を所有出来るのは、なかなかだと尊敬した。

(こんな人と結婚出来るのは、魔力持ちの憧れ、だね・・・)

思わず部屋に見とれていたら、隣に座るミハイルからサンドウィッチを口元に持ってこられる。ニコニコと私が食べるのを待っているミハイルを見ながらかぶりついた。


「ん、このサンドウィッチ美味しい!!」

ミハイルの手から受け取りどんどん食べ進める。

「ふふっマールの好みは昔の食事会で把握済みだからね」

「覚えていたの?」

「ああ、たった1人の幼なじみだったし、それに・・・」

ミハイルのバツが悪そうな表情に、私は彼に激怒した苦い思い出が頭を過った。

「悪気は無かったんだけど、君を酷く傷付けてしまったね」
ごめんねと私の頭をそっと撫でた。

(ミハイル・・・)

パッと手を離すと話題が切り替わる。

「今日は忙しいんだね。帰る時間はマールに合わせるよ。もし時間があったら夕食の食材を一緒に選んで欲しいんだ」

「わかった」


サンドウィッチを食べ終えると、早く仕事を片付けるためにも、すぐに戻ることにする。

(今日は朝から色々あったけど、ミハイルとご飯を食べたらちょっと癒されたな・・・)

ミハイルの送るという言葉を振り切り、私一人で戻っているが、彼がいなくてもすごい視線が集まっているので自然と逃げるように走っていた。



戻る途中、ミリアとクラリスに出会った。

「マール!」

ミリアに呼ばれると、廊下の脇で2人に囲われる。

「どういうこと!アンタあのミハイル・エンリーと結婚してたの!?しかも別人みたいになっちゃってるし」

「ちょっと色々事情があって・・・説明するには時間がかかるの。それに今日はちょっと・・・」

クラリスは私が急いでることを察してくれたのか、ミリアを引き剥がしてくれ歩いていく。

「そうなんだ~またゆっくり聞かせてね~」

クラリスは天使のように去っていった。
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