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第一章
昔の出来事
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エル・リーキャンクラッド、その名前は国全体へと知れ渡っていた。
そしてまた、死んでしまったエルに恐怖し、屈している。
これはエルの昔の出来事のお話し……
* *
「駄目だよ。もし、貴方が立ち上がりたいというのなら、私は喜んで手を貸す」
盗みなどをしたお金のない哀れの平民や子供にいつも言っていたエル。
そして、その言葉の通りエルはその子に十分な服や教育を施していた。
エル・リーキャンクラッド
それは心優しい令嬢であり、貴族だった。
黒髪で黄金の瞳。その美しく、珍しい容姿から注目を浴びていた。
この国では平民はゴミという考えは当たり前。けれども、エルはその考えを覆すような令嬢だ。
「………今日も疲れたな」
ふぅ……っと息を吐きながらも、ベッドへとダイブした。
ふかふかなベッドだからか、痛くないしとても気持ちが良い。
今日も疲れたなぁ……と、そのまま睡魔が襲ってきた途端にこんこんっとドアをノックする音が聞こえてきた。
「入るわよ」
そう言って入ってきたのはお母様だ。
私の両親は優しく、両親のおかげで私がクズな考えに陥らなかったと言っても過言ではない。
「それで…?何か私に言うことは?」
「すーっ…………すんませんでしたぁぁ!!!」
ベッドから立ち上がり、勢いよく土下座をした。圧が半端ないせいか、顔があげられない。
「よろしい。けども、私は言ったはずよ?自分の為にお金を使いなさい、と。その子達もやりすぎるとやりすぎるで、その子達の為にならないでしょう?」
「はい、おっしゃるとおりで………」
「あと、貴方の婚約者はクズだから、廃棄でいいわね?」
「もちのろん!!ありがとうございます!!!」
私の両親は平等だ。
私に良い人がいなかったら結婚しなくてもいいと言っているし、婚約者がクズだった場合は即廃棄というエコをしている。
前にその婚約者、ルークに会ったことがあるのだが、
「エルってすごいよな、あんなゴミクズを社会に入らせようとしてるんだろ?ゴミクズはゴミクズでしかないくせに………いや?ゴミクズにも失礼か」
は…っと笑いながらも言っていたあいつ。ゴミクズ連発すんな。
なんなら、貴族の私達もルーレットで一等を当てただけの話。
「平民を馬鹿にするやつは大体破棄決定ね」
「ほんとそれ」
お母様には共感しかなかった。
そして、婚約破棄から数日立った頃。
突如言われた言葉。
「お前を殺人未遂で死刑にする!」
両親も身柄を拘束され、もちろん私も拘束されてしまった。
そして、牢屋に放り込まれ、また数日立った頃私の死刑が決定された。
どうやら、元婚約者のルークを殺人未遂したという事で死刑らしい。
「まぁ、してないんだけど……」
殺人未遂というだけで、死刑は重すぎ、エル様は私を助けてーーなどという批判の声が多かったらしいが、大方賄賂を渡したのだろう。
予想だが、婚約破棄にいらついてこんな事をしたんだと思う。
と、いうことで死刑が決定された。
「別に生きたかったわけでもないしなぁ~」
ぽつりと一人だけの牢屋の中そう呟く。だって、生きたいという気持ちはなかった。
だから、不思議と怒りという感情も出てこない。
ただまぁ、両親を巻き込むのはやめてほしいが、私だけの問題だし大丈夫だろう。
「そーね、なすがままで良いかな」
そして、死刑の日になった。
* *
「おい、遺言はあるか?」
ギロチンに首を置き、手首を拘束されたままの状態でそう言われた。
大勢の前で殺されるため、横からは「ごめんなさい……」「やめて…!」などという声が聞こえてくる。
その他に「やれやれ!」という声もあった。
「な………」
ないかな、そう言おうとした時、執行者は驚きの事実を話した。
「お前の両親は死刑になって、死んだ」
は……?
鼓動がはやくなり、血の気が多くなる。
脈がどくどくっと聞いたこともない音を立て、鼓動の音も、何もかもの音が、体全体がはやくなり辛い。
そんな時、怒りに血迷った私の本音が出てきた。
「呪ってやる……っ!この世界を…!!全て、全人類を…!!!生まれてきた赤子まで呪ってやる!!私が幸せになるまで!」
きっと、これは本心だったのだろう。
* *
その日から、エルがその言葉を残したその日から、悲劇は始まった。
税金は高くなり、作物も育たなくなり、嵐はおき、津波もおき、はたまたがけ崩れも……
その状況を見た人々は口々に揃えてこう言った。
「悪役令嬢の呪いだ」
と、そしてそのエルは今何しているかというとーー
この世界に転生していた
転生していた(二回目)
そしてまた、死んでしまったエルに恐怖し、屈している。
これはエルの昔の出来事のお話し……
* *
「駄目だよ。もし、貴方が立ち上がりたいというのなら、私は喜んで手を貸す」
盗みなどをしたお金のない哀れの平民や子供にいつも言っていたエル。
そして、その言葉の通りエルはその子に十分な服や教育を施していた。
エル・リーキャンクラッド
それは心優しい令嬢であり、貴族だった。
黒髪で黄金の瞳。その美しく、珍しい容姿から注目を浴びていた。
この国では平民はゴミという考えは当たり前。けれども、エルはその考えを覆すような令嬢だ。
「………今日も疲れたな」
ふぅ……っと息を吐きながらも、ベッドへとダイブした。
ふかふかなベッドだからか、痛くないしとても気持ちが良い。
今日も疲れたなぁ……と、そのまま睡魔が襲ってきた途端にこんこんっとドアをノックする音が聞こえてきた。
「入るわよ」
そう言って入ってきたのはお母様だ。
私の両親は優しく、両親のおかげで私がクズな考えに陥らなかったと言っても過言ではない。
「それで…?何か私に言うことは?」
「すーっ…………すんませんでしたぁぁ!!!」
ベッドから立ち上がり、勢いよく土下座をした。圧が半端ないせいか、顔があげられない。
「よろしい。けども、私は言ったはずよ?自分の為にお金を使いなさい、と。その子達もやりすぎるとやりすぎるで、その子達の為にならないでしょう?」
「はい、おっしゃるとおりで………」
「あと、貴方の婚約者はクズだから、廃棄でいいわね?」
「もちのろん!!ありがとうございます!!!」
私の両親は平等だ。
私に良い人がいなかったら結婚しなくてもいいと言っているし、婚約者がクズだった場合は即廃棄というエコをしている。
前にその婚約者、ルークに会ったことがあるのだが、
「エルってすごいよな、あんなゴミクズを社会に入らせようとしてるんだろ?ゴミクズはゴミクズでしかないくせに………いや?ゴミクズにも失礼か」
は…っと笑いながらも言っていたあいつ。ゴミクズ連発すんな。
なんなら、貴族の私達もルーレットで一等を当てただけの話。
「平民を馬鹿にするやつは大体破棄決定ね」
「ほんとそれ」
お母様には共感しかなかった。
そして、婚約破棄から数日立った頃。
突如言われた言葉。
「お前を殺人未遂で死刑にする!」
両親も身柄を拘束され、もちろん私も拘束されてしまった。
そして、牢屋に放り込まれ、また数日立った頃私の死刑が決定された。
どうやら、元婚約者のルークを殺人未遂したという事で死刑らしい。
「まぁ、してないんだけど……」
殺人未遂というだけで、死刑は重すぎ、エル様は私を助けてーーなどという批判の声が多かったらしいが、大方賄賂を渡したのだろう。
予想だが、婚約破棄にいらついてこんな事をしたんだと思う。
と、いうことで死刑が決定された。
「別に生きたかったわけでもないしなぁ~」
ぽつりと一人だけの牢屋の中そう呟く。だって、生きたいという気持ちはなかった。
だから、不思議と怒りという感情も出てこない。
ただまぁ、両親を巻き込むのはやめてほしいが、私だけの問題だし大丈夫だろう。
「そーね、なすがままで良いかな」
そして、死刑の日になった。
* *
「おい、遺言はあるか?」
ギロチンに首を置き、手首を拘束されたままの状態でそう言われた。
大勢の前で殺されるため、横からは「ごめんなさい……」「やめて…!」などという声が聞こえてくる。
その他に「やれやれ!」という声もあった。
「な………」
ないかな、そう言おうとした時、執行者は驚きの事実を話した。
「お前の両親は死刑になって、死んだ」
は……?
鼓動がはやくなり、血の気が多くなる。
脈がどくどくっと聞いたこともない音を立て、鼓動の音も、何もかもの音が、体全体がはやくなり辛い。
そんな時、怒りに血迷った私の本音が出てきた。
「呪ってやる……っ!この世界を…!!全て、全人類を…!!!生まれてきた赤子まで呪ってやる!!私が幸せになるまで!」
きっと、これは本心だったのだろう。
* *
その日から、エルがその言葉を残したその日から、悲劇は始まった。
税金は高くなり、作物も育たなくなり、嵐はおき、津波もおき、はたまたがけ崩れも……
その状況を見た人々は口々に揃えてこう言った。
「悪役令嬢の呪いだ」
と、そしてそのエルは今何しているかというとーー
この世界に転生していた
転生していた(二回目)
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