ヤンデレの幼馴染が大魔法師になってきて帰ってきた件について

さくらもち

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一話

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「イフェル…っ……行っちゃうの?ねぇ…!行かないでよ…」

 大魔法師になると言ってその学校へ行こうとしている幼馴染イフェルを必死になって止めようとした。
 イフェルはかわいい私の幼馴染だ。

「ごめん…ね…ぇ…帰ってくるから……」

 二人して瞳に雫をはいわせていた。わぁわぁとうるさいほどのわめき超えを出している。
 けど、そんなこと気にしない。

「行ってら…ぁ……しゃい」

 涙を拭いながら、イフェルの背中を見送った。

      *    *
 そして、あれから数十年の月日がたった。

「貴方も結婚を考える時ね」

 お母さんから言われるこの言葉、何度目だろう。
 確かに私はもう十六歳でこのくらいなら結婚を考える歳だ。

「結婚しないというのは………」

「なしね」

「知ってた」

 結局、年頃の女の子は結婚する運命なのか。どうせなら、イフェルと……でも、子供のときは考えていた。
 夢のまた夢だが。 

「あ、そういえば、イフェルが大魔法になったらしいわね」

「はい?」

「あなたの幼馴染よ」

 それはわかってますとも

 私が言っているのは本当にイフェルが大魔法師になったかということ。 

 大魔法師の養成学校に行ってもなれるのは本当の大魔法師になれるのは世界にたった二三人。
 それよりもっと少ないかもしれない。

 大体の人が魔法を使えて、良くても貴族様のところに就職するくらいだ。
大魔法師になるなんて夢のまた夢。

「イフェルはいい子なのだから、すぐ結婚しそうね。というか、貴方も少しくらい新聞とか読みなさい?」

 私は新聞を読む派ではない。よくいろんな貴族にパーティーへ招待されたとき、いろいろ情報を教えてくれるので、別に見てなんかいなかった。

「確かに……イフェル結婚するよね」

 どうせならしてほしくない、そう思ってしまうのはなんでだろうか。

「そうよ。だから貴方も結婚しなさい。お見合い相手なら選んであげるから」

「わかったよ…それで、誰なの?」

「ふふっ、やる気になってくれて良かったわ。この中に写真が入ってるけれど、どうせなら自分の部屋で見なさい」

 その返事を待っていたのかなんなのか、すぐさまどこからか厚紙の紙を持って、私に渡した。

 それを受け取り、私は何もかも諦めた。

「用意周到……」

「そう?」
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