戦いの後に

ととつ

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 サラを抱いて浴室へ向かい、湯を浴びてともに汗を流した。壁に取り付けられた栓を締め、贅沢に流れ出る湯を止める。背中を壁に預けて立たせたサラは、湯に濡れたことでいっそう神秘的な美しさを纏っていた。

「……湯を浴びたんだから、いいよな?」

 濡れた濃紺の髪から滴り落ちた雫が、傭兵にしては傷跡の少ない滑らかな白磁の肌を伝ってゆく。あちこちにさんざん吸い痕を咲かせたというのに、気付けばまた唇を寄せてしまいそうだった。むしゃぶりつきたい衝動を抑えて問いかけると、頷いたサラがそっと脚を開いてくれる。深く口づけてから、火照った体に唇を這わせてサラの前に跪いた。
 女陰に貼り付いている恥毛を鼻先で掻き分け、蠱惑的な匂いを放つ蕩けた割れ目に舌を伸ばす。下腹を撫でていた手を滑らせ、小振りな尻を鷲掴みにして引き寄せた。

「んっ……、ふっ」

 襞の間を丁寧に舐め広げながら往復させるとすぐに、サラが甘い声を漏らした。顔を股間に埋め、わざとぴちゃぴちゃと水音を立てて柔らかな襞を嬲る。びく、と腰を揺らめかせる彼女の感じた顔が見たくて目線を上げたけれど、大きな乳房に阻まれてしまってよく見えない。残念に思ったが、いまはなにより彼女を気持ち良くしたかった。
 もっと深くまで舐められるように、尻を掴んでいた手を動かし、腰骨を撫でてから両方の親指で陰唇を左右に広げた。愛液と唾液に濡れ光る薄紅色の媚肉をさらけ出し、その上で包皮を被ったまま震えている陰核にしゃぶりつく。

「ぁあっ……!」
「ふ、んちゅっ……、ぷっくりして、可愛いな……」

 舌を跳ね返す弾力の突起をしつこく弄んでいると、サラが私の頭をがっしり掴んできた。

「はっ、いちいち……、言うな」
「ん……、わかったよ……」

 口では文句を言っているが、私の顔に熱く蕩けた秘部を押し付けてくる。もっと、とねだるような仕草に煽られて、こりこりの陰核を指で捏ねながら膣口に舌を挿し入れた。うねるなかは熱く蕩けて蜜に濡れ、私の舌にいやらしく絡みつく。

「あっ、ソニア……、んんー……っ」

 浴室に声が響くのが恥ずかしいのか、私の頭を掴んでいた片手で口を押さえてしまったようだ。くぐもった嬌声も漏れ聞こえる艶めかしい吐息も、情欲を焚きつける燃料にしかならないのに––。恥ずかしがって声を堪えるサラに、余計に興奮した。
 加減も我慢も忘れて、指で弄っていた陰核は包皮を剥き、赤い実を暴き出してしまう。敏感なそこを、乳首にしたのと同じように思いきり吸い上げた。舐め回していた膣口には指を挿れ、陰核の裏側にあたる部分を容赦なく責め抜く。腰を痙攣させて感じ入るサラはどっと愛液を溢れさせて、細い悲鳴のような嬌声を上げながら達した。

「はぁ、ぢゅっ……、んむ」
「ぁっああ……! っ、いま、やめっ……!」

 快感の余韻に震えるサラから離れず、なかに埋めた指で最奥を叩き、すっかり膨れた陰核を舐り回した。ぷし、と噴き出した潮を顔に浴びつつ、責める口も手も緩めない。サラは脚に力が入らないらしく腰の位置が下がってきたが、そうすると私の指を深く咥え込むしかなくなってしまう。きつい締め付けを掻き分けてさらに追い込むと、口を押さえる余裕も失ったサラが高らかな嬌声を上げた。

「やぁっ……ん、あっ、ぁぁあああーーーっ!!!」

 全身を大きく震わせ、がくりと膝を折って寄りかかってきたサラは、高みからなかなか戻れないらしい。可愛い顔をよく眺められるように、洗い場に座った私の膝の上で横抱きにした。半開きに開かれた唇から赤い舌を覗かせて肩で息をしながら、サラはただ私に身を預けている。体を受け止めるためとっさに引き抜いた指に垂れるどろどろの愛液を舐め取って、彼女の呼吸が落ち着くのを待った。

「ん、ぅ……っ」
「サラ、……大丈夫か?」

 快楽の余韻で潤んだ藍色の瞳が私を捉えると、気恥ずかしそうに逸らされた。

「はぁ、っ……やりすぎだ、馬鹿」
「ぅ……悪かったよ」
「あと……、早く顔を拭け」

 私の肩に顔を押し付けているから表情は見えないが、濡れた髪から覗く耳がほんのりと色づいている。つい指摘しそうになり、慌てて口を閉じた。これ以上、サラの機嫌を損ねるわけにはいかない。髪をかき上げた手で顔を拭い、寄り添ったサラを抱く腕に力を込めた。

「また、……湯を浴びようか」
「……ああ」

 サラは色っぽく掠れた返事を寄越したけれど、一向に動き出さない。戦いの疲れもあっただろうに、無理をさせすぎてしまったようだ。しばらくすると抱いている体の力が抜けて、呼吸も穏やかになった彼女の重みが増した。どうやら眠ってしまったらしい。
 起こさないように気を付けながら手早く体を清め、用意されていたローブを羽織らせてベッドへ運んだ。普段の大人びた顔も好みだが、幼く見える寝顔もたまらなく可愛らしい。
 浴室へ戻って簡単に汗を流し、着替えを済ませてサラの隣に潜り込んだ。安心しきった様子ですやすやと眠る彼女と離れ離れになってしまうなんて、耐えられそうにない。

 朝、目が覚めた彼女に自分の気持ちを伝えよう。誘いに応じて抜け出してくれたからこそ叶った今夜の逢瀬は、紛れもない僥倖だった。しかしそれだけで満足し、彼女を手放してしまえるほどの想いではないのだと、改めて気付かされてしまった。

「おやすみ、サラ……。良い夢を」

 柔らかな頬に口づけて、幸せな気怠さに包まれながら眠りについた。

 ––翌日。
 私は傭兵団の仲間たちに別れを告げて、待ち合わせの場所へと向かっていた。王都へ向かう馬車と人で往来が盛んな街道には、休憩所となるよろず屋も多い。どっしりとした構えの目当ての店を見つけた私は、逸る心のまま駆け寄った。
 扉をくぐって賑やかな店内を眺めると、艶やかな濃紺の髪はすぐに見つかった。

「サラ!」

 呼びかけに振り返った彼女は、騒がしいな、とでも言いたげな微苦笑を浮かべていた。
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