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三章 メグリ
六十三話 メグリ
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涙でぐちゃぐちゃになった視界に急に眩しい光がさし、ぎゅっと目をつぶった。少し落ち着いて振り返ると石レンガの壁の中に藁が敷かれているだけだった。
「はあぁ……よかった…」
「クロメさん、起きてください大丈夫ですよ」
ゆさゆさと揺すってみる。長い赤髪が揺れるだけで目は開かない。
…よく見ると綺麗な顔してるなあ…白くて陶器みたいな肌だし髪もすっごいサラサラだ…
「あのーっ、おーいっ!!」
耳元で話しかけると、「ん…」と少し反応をした。
「おーーーーーいっっ!!」
「うぅ…あれ…? 私気を失ってた…?」
「その通りですもう…あぁ怖かったぁ…」
「ご、ごめんなさい」
「いいですよもう…それに道も開けました」
「ええ、みたいね」
壊した扉の先には長い廊下、その天井は崩れかかっていてそこから光が差している。廊下にはまっすぐ先にある1つ以外扉はなく、ボロボロの緑絨毯には天井の瓦礫が重なっている。
「私達地下に降りたんですよね…? どうして光が」
「多分だけど、崖の下じゃないかしら?」
「そういえば…こんな所があったんですね」
「とりあえずあの扉まで行ってみましょう」
「はい!」
瓦礫を乗り越えて鉄製の扉に手をかけて少し押してみる。内側を覗くと、教会の中の様で、扉のすぐ側から長椅子が規則正しく並べられている。
「お邪魔しまーす…」
廊下と比べて中は綺麗で、10列程度の長椅子の先は広い空間になっており、地面は大理石で、その先にはひとつの椅子と…そして人がいた。
「だ、誰です…?」
背を向けて座っているように見える。
屍じゃあないよね…?
「まってメグリちゃん、あの人、息してる」
「仲間です?」
「いや…あんなのはいないはず。古城はもう使ってないはずだし」
「浮浪者かもね、注意しないと」
「はい…」
ゆっくりとその人に近付いていく。
「あなた誰? 私達はーーー」
「クロメさん!」
突然、クロメはメグリに押された。そしてその頭上を木片が掠める。
「危なかった…クロメさん、警戒してください」
「彼、友好的ではないみたいです」
椅子に座った老人がギシッと音を立てて足の一本無くなった椅子から立ち上がり、口を開いた。
「……カハッ…お前らも、運が悪いな、気の毒だ」
白髪をした、紺色の着物を身につけた老人は椅子を倒し、懐から様々な色をした石を落としながら、1つを手に取り口に入れた。
「死に方を探していた。いくら未来を見ようとも、未来を選択しようとせどもいづれ死ぬのでな」
「ごめんなさい、ちょっと乱暴するわ」
クロメは老人にそう言うと、老人の身体はその場で固まった。しかし老人はそれにも動じず話し続ける。
「はっきりとした未来は見れんが…その未来で儂は幸福を得ていた。何による感情なのか…」
「わからないが」
クロメは驚いた表情で老人を見る。老人はふうっと息を吐いた。
「いい死を、与えてくれるのだろう?」
「クロメさん!」
後ろの椅子が老人の真横を通り過ぎてクロメに迫る。メグリがクロメを押し倒し、椅子は後ろの地面で粉砕した。
「うああぁっ!!」
メグリが声を上げる。メグリの木片の刺さった右足の下にはぽつぽつと赤い血が滴り落ち、そこを抑えてメグリは蹲った。
「メグリちゃん!!」
メグリを抱えて後方へ飛び退く。
(ひとまず逃げないと…メグリさんを安全な所に置いてから、この男はどうにかする)
「そいつは未来でもみえるのだろう? いや、時間でも戻せるのか? とにかく厄介だ」
「…! あんた一体誰…」
「魔術師として、魔力の頂点である魔王を超える事は最大の誇りだ。それさえ果たせば儂も悔いなく死ねる事だろうよ」
「魔術師…? あんたまさか大魔術師か…!」
「ハンデの無しの戦いをしようじゃないか。その上で、そいつは邪魔だな」
メグリの頭上の天井が音を立てた。
まずい…!!急いでメグリを引き摺って、後方へ移動させた。
このままじゃメグリちゃんが死んじゃう…!!ここから…逃がさないと…!!
「メグリちゃん! 足が治ったら逃げて!」
メグリの足に回復の魔法をかける。
…もうっ! どうしてこんなに時間が…!?
傷口が全然治らない。いつもならば瞬きをすれば治っているはずなのに…。
「クロメ…さん…いたっっ…!」
「メグリちゃん…!」
どうして…!? 傷口が治らない…!
ワープの魔法で外へ送るか…? 変な所に落ちるかもだけど今はそんな事気にしてられない!
老人の方を睨みながらメグリにワープ魔法をかける。これで…
「痛いっ…!!」
「え…?」
確かにワープさせたはずなのに。そこには顔をひきつらせたメグリがいた。
「どうして…?」
いつの間にか拘束していたはずの老人も立ち上がり、こちらを向いていた。
もう一度固定魔法をかけるが、老人は動かず、そしてゆっくりと手を前へと伸ばす。
「魔法が…使えない…!?」
「クロメさん……! 逃げて!」
呆気に取られ、前方から飛んでくる岩を避けきれず頭の右側に直撃し、鮮血を散らしながら地面に倒れ込んだ。
「はあぁ……よかった…」
「クロメさん、起きてください大丈夫ですよ」
ゆさゆさと揺すってみる。長い赤髪が揺れるだけで目は開かない。
…よく見ると綺麗な顔してるなあ…白くて陶器みたいな肌だし髪もすっごいサラサラだ…
「あのーっ、おーいっ!!」
耳元で話しかけると、「ん…」と少し反応をした。
「おーーーーーいっっ!!」
「うぅ…あれ…? 私気を失ってた…?」
「その通りですもう…あぁ怖かったぁ…」
「ご、ごめんなさい」
「いいですよもう…それに道も開けました」
「ええ、みたいね」
壊した扉の先には長い廊下、その天井は崩れかかっていてそこから光が差している。廊下にはまっすぐ先にある1つ以外扉はなく、ボロボロの緑絨毯には天井の瓦礫が重なっている。
「私達地下に降りたんですよね…? どうして光が」
「多分だけど、崖の下じゃないかしら?」
「そういえば…こんな所があったんですね」
「とりあえずあの扉まで行ってみましょう」
「はい!」
瓦礫を乗り越えて鉄製の扉に手をかけて少し押してみる。内側を覗くと、教会の中の様で、扉のすぐ側から長椅子が規則正しく並べられている。
「お邪魔しまーす…」
廊下と比べて中は綺麗で、10列程度の長椅子の先は広い空間になっており、地面は大理石で、その先にはひとつの椅子と…そして人がいた。
「だ、誰です…?」
背を向けて座っているように見える。
屍じゃあないよね…?
「まってメグリちゃん、あの人、息してる」
「仲間です?」
「いや…あんなのはいないはず。古城はもう使ってないはずだし」
「浮浪者かもね、注意しないと」
「はい…」
ゆっくりとその人に近付いていく。
「あなた誰? 私達はーーー」
「クロメさん!」
突然、クロメはメグリに押された。そしてその頭上を木片が掠める。
「危なかった…クロメさん、警戒してください」
「彼、友好的ではないみたいです」
椅子に座った老人がギシッと音を立てて足の一本無くなった椅子から立ち上がり、口を開いた。
「……カハッ…お前らも、運が悪いな、気の毒だ」
白髪をした、紺色の着物を身につけた老人は椅子を倒し、懐から様々な色をした石を落としながら、1つを手に取り口に入れた。
「死に方を探していた。いくら未来を見ようとも、未来を選択しようとせどもいづれ死ぬのでな」
「ごめんなさい、ちょっと乱暴するわ」
クロメは老人にそう言うと、老人の身体はその場で固まった。しかし老人はそれにも動じず話し続ける。
「はっきりとした未来は見れんが…その未来で儂は幸福を得ていた。何による感情なのか…」
「わからないが」
クロメは驚いた表情で老人を見る。老人はふうっと息を吐いた。
「いい死を、与えてくれるのだろう?」
「クロメさん!」
後ろの椅子が老人の真横を通り過ぎてクロメに迫る。メグリがクロメを押し倒し、椅子は後ろの地面で粉砕した。
「うああぁっ!!」
メグリが声を上げる。メグリの木片の刺さった右足の下にはぽつぽつと赤い血が滴り落ち、そこを抑えてメグリは蹲った。
「メグリちゃん!!」
メグリを抱えて後方へ飛び退く。
(ひとまず逃げないと…メグリさんを安全な所に置いてから、この男はどうにかする)
「そいつは未来でもみえるのだろう? いや、時間でも戻せるのか? とにかく厄介だ」
「…! あんた一体誰…」
「魔術師として、魔力の頂点である魔王を超える事は最大の誇りだ。それさえ果たせば儂も悔いなく死ねる事だろうよ」
「魔術師…? あんたまさか大魔術師か…!」
「ハンデの無しの戦いをしようじゃないか。その上で、そいつは邪魔だな」
メグリの頭上の天井が音を立てた。
まずい…!!急いでメグリを引き摺って、後方へ移動させた。
このままじゃメグリちゃんが死んじゃう…!!ここから…逃がさないと…!!
「メグリちゃん! 足が治ったら逃げて!」
メグリの足に回復の魔法をかける。
…もうっ! どうしてこんなに時間が…!?
傷口が全然治らない。いつもならば瞬きをすれば治っているはずなのに…。
「クロメ…さん…いたっっ…!」
「メグリちゃん…!」
どうして…!? 傷口が治らない…!
ワープの魔法で外へ送るか…? 変な所に落ちるかもだけど今はそんな事気にしてられない!
老人の方を睨みながらメグリにワープ魔法をかける。これで…
「痛いっ…!!」
「え…?」
確かにワープさせたはずなのに。そこには顔をひきつらせたメグリがいた。
「どうして…?」
いつの間にか拘束していたはずの老人も立ち上がり、こちらを向いていた。
もう一度固定魔法をかけるが、老人は動かず、そしてゆっくりと手を前へと伸ばす。
「魔法が…使えない…!?」
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