異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

文字の大きさ
75 / 145
三章 メグリ

七十一話 メグリと旧友

しおりを挟む
「私達、学校の友達で親友なの」

ユメがメグリの手を握りつつ、みんなの方を向いて言った。2人とも目に薄く涙が浮かび、再会に感動している様子。

「まさか、こんな所で会うとは思わなかった…どうしてここにいるの?」

「色々事情があって…あとでゆっくり話すよ」

「そっか、じゃあ時間のある時ね…! とりあえず今は仕事、しちゃうね」

「うん」

ユメはカバンを広げ、中から数枚紙を取り出して毛布の上に乗せ、ペンを用意してメグリの方に向き直った。

「いやー、まさかあのメグちゃんがね…魔法使えなかったのに」

「私もよく分からない…」

「その時の状況はあらかた魔王さんに聞いたんだけど、改めて少し聞くね」

そう言って、紙に目を落としつつ報告書を読み上げ、時々顔を上げてメグリに質問をした。

「今は魔法使える?」

「どうだろ…」

「ちょっと何かやってみてくれる? 時間を戻す以外で」

「うーーーん………」

メグリが眉間に皺を寄せる。数分間そのままで、目を開けたと同時にすうっと息を吸い、

「だめだぁ…!」

「使えないの?」

「そうみたい」

「魔力切れかな…? でも…回復はしてるはずだし」
「魔法使えたのはこれが初めて?」

「…私のことを知って、もしかしたらって思ったんですけど…、1回、使ったことがあるかも」

「ほんと? 状況は言える?」

「ええと、確か午後の授業中、朝昼何も食べてなくてお腹空いてて…、そしたらいつの間にか学校のスープ鍋の中にいて全身やけどしたんだけど」

「あっ、覚えてるよそれ」

「うん、あの時もしかしたら」

「なんでそう思ったの?」

「…私、あの石を貰う時、『生きたいと願う時、誰かを助けたいと願う時に使え』ってパパにいわれたんだ。だから…」

「それが発動条件って事…? じゃあスープ鍋事件は」

「お腹がすいて死にそうだったから無意識に発動したのかも…」

「なんと…、発動条件曖昧すぎるなあ…?」
「…ともかく、その言葉通りの状況だと魔法が使えるわけね」

「みたいです。あの時もそうでしたし」

手早く下の資料の余白にメモをする。終わるとペンを置き、背筋を伸ばして微笑みながらメグリの顔をじっと見つめた。

「いや~……、メグには適わないな」

「え?」

「学校の成績、メグが1位で私が2位だったでしょ? あの時は魔法があったから差が縮められたけど…、もう突き放されちゃったな」

ユメが毛先を弄りながら言う。少し顔に曇りができ、それを見たメグリも俯いて頬をかいた。

「……違うよそれは。リンさんも言ってたけど…、私の魔法はいざと言う時時に使えないし調整も出来ない。でもユメちゃんの魔法はいつでも人の役に立てる」「ユメちゃんの方がうんと凄いよ。前から言ってるでしょ?」

「ふふ…、相変わらず優しいねメグは…。初めの頃はあんなに臆病だったのに」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件

Y.
恋愛
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。 火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。 ――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。 「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」 「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」 「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」 彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった! 魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。 着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。 世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。 胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...