異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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四章 椿蓮

九十六話 王と魔王

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丘の協会にある屋根の上から街を見渡す。黒煙が所々に上がり、砂塵に混ざって破片が舞い、建物を破壊しながら落ちてくる。

ミストは路地をくまなく見つめ、動くものがあろうなら剣を構えつつそれがユリウスの所有者であるかを確かめた。

突如、闘技場の演説台の方で大きな物音がした。
その方を見ると炎が屋根を突き破り、かと思ったら次は氷が壁を貫通して外に突き出し、眩しく光った。

そして次の瞬間、塔状になっている演説台の根元に亀裂が入り、崩れ始めた。

「お父さん…」

父の亡骸もあの瓦礫と共に消えてゆくのか…。轟音の中、そんなことを思った。

「…!? あれは…」

崩れた根元の先、誰かが立っている。
ミストはそれに見覚えがあった。間違えるはずがない。長い時間を共に過ごし、憧れた存在。

「生きてた…! 父さん…!」

ミストは迷わず駆け出した。



「…いたっ!!」

遠くの協会の屋根の上、さっきまで確かに10代目国王がいた。演説台の崩壊と共にそちらに駆け出して行ったのをユメは見た。

「ツバキ! 多分闘技場の演説台に向かってる! あなたは今どこなの!?」

急いでツバキへ連絡した。

「うるさいな、迷ってねえよ」

「…迷ってるの?」

「違うって。比較的大きな川の中にいる」

「なんでまたそんな所に…でもその位置ならわかる。そのまま黒い橋の方に向かって。そのまま真っ直ぐ行けばいい。急いでね!」

「ああ」

よし、じゃあ私は負傷者の回収に回るか…。

「無事に帰ってきてね」



イシマさんの言ったことを頭の中で反芻する。
ツバキさんが王を倒す前に台座を制圧しなければいけない。要するにそういう事だ。

「…あの、クロメさん?」

あまり慣れていないテレパシーでクロメに話しかける。

「…クロメさん?」

ーーーあれ、やり方間違えたかな…?

「あの…」

「メグリさん、どうしたの?」

「いえ…大丈夫ですか? 今は台座を探してるんですよね」

「ええ」

「クロメさん、あの、私…」

次の言葉を言うべきか。暫く迷っていた。
クロメさんは何も言わない。

「…クロメさん?」

返事が無い。

「あの、クロメさん」

「ああごめん、どうしたの?」

「やっぱり私も…」

「駄目!」

「でも…」

「大丈夫よ。無事に戻る。メグリさんは安全な所にいて」

暫く間をおいて、

「…そうね。帰るから……」

「…?」

「でも…もしだめだったら………、ごめんね」

「クロメさん? 大丈夫なんですよね…?」

「ごめんなさい」

ブツ、と音が切れた。その後耳鳴りがした。
呼び掛けても呼び掛けても、クロメさんは返事をしなかった。
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