異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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四章 椿蓮

百三十一話 メグリとコア

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避ける? 魔術で押し返すか?
あの重量を受ければひとたまりもない。でも今コアは宙にいる。つまり相手は避けられない。打ち込めば確実に入る位置だ。

「いや…! こっちにはリンさんがいる」

危険をおかしてでも撃ち込む程不利な状況でもない。

メグリはつま先で地面を蹴り、後ろへ下がった。
目の前コアが落ち、地面は大きく凹み瓦礫がこちらにも飛んできた。
それを剣で弾き返し、もう一歩下がる──

「うわっ」

砂煙の中から、コアがこちらに飛び込んできた。速い。本当は軽いのかとってしまう程だ。

「速っ…避けられない!」

足先から鉱石を出現させ、コアの拳を防御しようとする───が、コアの拳はそれにぶち当たり、そして砕いてメグリをふっ飛ばした。

「かはっ…」

重い。為す術もなくメグリは高速で宙を舞い、城壁の方へ飛んでいった。

まずい。このまま壁に激突すれば、強力な防御魔法をかけているリンさんでも怪我をしてしまう。

減速しないと…! 
どうにか、地面に指先だけでもかすれば…!

メグリは通路を一直線に飛び、城壁に激突するかに見えた。
しかし体は寸前で止まり、砂埃が晴れると、緑色の植物に包まれたメグリとリンが現れた。

「ちょっと…無茶したけど、これくらいならすぐ治る」

魔法の発動条件は「接触」だ。今は杖がないから対象に直接触れていなければならない。
寸前で地面に触れ、植物を重ねる事で減速に成功した。触れたのは指先ではなく頭だったが。

「コアは…?」

いた。前方から走ってきている。
できればもう受けたくない。こちらには…

「リンさん」

「大丈夫だよ」

顔に傷はない。驚いたのか、額に少し汗を浮かべている。

「ごめんなさい、失敗しちゃった」

「ううん、痛くなかったし」

「…もう少しだけ、お願いね」

「もちろん。遠慮しないで」

「はいっ」

メグリは植物に身を隠しつつ、横の建物の陰に隠れながら走り回った。コアがここまでくるのに10秒くらいだろう。
──仕掛けられても、20個くらいか。

『ズシン』と音が近くで聞こえた。それと同時に、メグリは10メートル程距離をあけてコアと対峙した。

「リンさん、魔力は大丈夫? 結構使っちゃった」

「こんなの、1パーセントにも及ばないよ」

「ふふ…頼もしいね」

コアは立ち止まり、そして先程のように飛び上がった。弧を描いてこちらへ飛んでくる。
メグリは見切れるが、今度は避けない。代わりに手を前へ突き出す。

「グロウリー、あなたはとても強いけど──」

コアの弧を描く軌道は、既に分かっていた。そして案の定、メグリの予想した通りの場所をコアは拳を構えながら飛んできた。

「その単純さは、自らを滅ぼすんだよ」

家屋の裏から、地面から、そして空に固定された破片から。
一斉に、表面の青く光る透き通った細い鉱石の槍が飛び出し、コアの体を次々と貫いた。
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