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一章 魔王城へ
十七話 第二の街と先生
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あの後、先生と呼ばれていた占い師クルトの好意で彼女の家に泊まっていい事になった。
魔力が尽きるまでヒールをかけ続けたクルトはフラフラで動けず、そんなクルトをリンはスベッスベのモッチモチ肌で支えながら心配している。
「…ヒールっていいな」
「そうですよね、私も能力に魅せられて本気で勉強したんですが…、全く使えず」
「ほんとお前役立たずだな」
「ははっ、目の前で効果を見せつけられては反論もできませんよ」
【十七話】
「そういえばあなた達は?」
リンがもう寝室へ行った所でクルトが食卓で俺達に質問をする。
「旅人みたいなもんだよ、途中泊まったところでリンを見つけた」
「あなた達が…! なんとお礼を言ったらいいか」
「そんなのいいですよ~、助けないわけにもいきませんでしたし」
メグリが頭を撫でながら答える。
「そうだ、ここにいい薬があるんです! 是非飲んでみませんか?」
「なんの薬ですか?」
「ニンジンとかレモン、タマネギが含まれた薬らしくって…、ぐっすり眠れるって評判なんです!」
「それはすごいですね!」
「すごいのか? …って」
…ニンジン、レモン、タマネギ…、そしてぐっすり眠れる…。
「なあそれ媚薬じゃ……って遅かったか」
ゴクゴクとメグリは飲み始めた。
多分「ぐっすり眠れる」ってのはズッコンバッコンしていい運動をしたから眠れるっていう下ネタだ。
「うーん…少し温まってきた気がします。寝る前に飲んだ方が良かったですかね?」
「なあクルト、ニンジンタマネギレモンの量はどれくらいだ?」
「えっと、全体のうちの10パーセント程度ですね。後は全て秘密の素材らしくて…」
「その残りの90パーセントが怪しすぎる。絶対媚薬だろ…」
「び、媚薬!? 大丈夫なんでしょうか?」
「さあな」
メグリは体温が上がって顔が赤くなっている。
不思議そうに頬に手をあて、「暑いですね…」と言う。
「効果はどれくらいで出るって?」
「はい…大体1時間後です。それまでも少し効果は現れるみたいですが」
「理性が吹っ飛ぶようなものじゃないよな? とりあえず見張っとく」
「え、ツバキさんじゃないほうがいいのでは?」
「なんで?」
「男じゃないですか」
「…それが?」
「分かりませんか?」
「…ああ、大丈夫だろメグリだし」
「そうですかね…?」
メグリは首を傾げ、水の入ったコップを頬に当てる。息遣いも荒くなってるような気がする。
「あのツバキさん、暑いのですがこれって薬間違えてませんよね?」
「間違えてはいない」
「そうですか…、なんか変です。暑くって」
「濡れタオルでも持ってくるか?」
「お願いします」
「あ、私が取ってきます」
そう言ってクルトが立ち上がり、洗面所へ向かう。
まあ、もしメグリが襲ってきても拘束すればいい話だし、問題はない。
魔力が尽きるまでヒールをかけ続けたクルトはフラフラで動けず、そんなクルトをリンはスベッスベのモッチモチ肌で支えながら心配している。
「…ヒールっていいな」
「そうですよね、私も能力に魅せられて本気で勉強したんですが…、全く使えず」
「ほんとお前役立たずだな」
「ははっ、目の前で効果を見せつけられては反論もできませんよ」
【十七話】
「そういえばあなた達は?」
リンがもう寝室へ行った所でクルトが食卓で俺達に質問をする。
「旅人みたいなもんだよ、途中泊まったところでリンを見つけた」
「あなた達が…! なんとお礼を言ったらいいか」
「そんなのいいですよ~、助けないわけにもいきませんでしたし」
メグリが頭を撫でながら答える。
「そうだ、ここにいい薬があるんです! 是非飲んでみませんか?」
「なんの薬ですか?」
「ニンジンとかレモン、タマネギが含まれた薬らしくって…、ぐっすり眠れるって評判なんです!」
「それはすごいですね!」
「すごいのか? …って」
…ニンジン、レモン、タマネギ…、そしてぐっすり眠れる…。
「なあそれ媚薬じゃ……って遅かったか」
ゴクゴクとメグリは飲み始めた。
多分「ぐっすり眠れる」ってのはズッコンバッコンしていい運動をしたから眠れるっていう下ネタだ。
「うーん…少し温まってきた気がします。寝る前に飲んだ方が良かったですかね?」
「なあクルト、ニンジンタマネギレモンの量はどれくらいだ?」
「えっと、全体のうちの10パーセント程度ですね。後は全て秘密の素材らしくて…」
「その残りの90パーセントが怪しすぎる。絶対媚薬だろ…」
「び、媚薬!? 大丈夫なんでしょうか?」
「さあな」
メグリは体温が上がって顔が赤くなっている。
不思議そうに頬に手をあて、「暑いですね…」と言う。
「効果はどれくらいで出るって?」
「はい…大体1時間後です。それまでも少し効果は現れるみたいですが」
「理性が吹っ飛ぶようなものじゃないよな? とりあえず見張っとく」
「え、ツバキさんじゃないほうがいいのでは?」
「なんで?」
「男じゃないですか」
「…それが?」
「分かりませんか?」
「…ああ、大丈夫だろメグリだし」
「そうですかね…?」
メグリは首を傾げ、水の入ったコップを頬に当てる。息遣いも荒くなってるような気がする。
「あのツバキさん、暑いのですがこれって薬間違えてませんよね?」
「間違えてはいない」
「そうですか…、なんか変です。暑くって」
「濡れタオルでも持ってくるか?」
「お願いします」
「あ、私が取ってきます」
そう言ってクルトが立ち上がり、洗面所へ向かう。
まあ、もしメグリが襲ってきても拘束すればいい話だし、問題はない。
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