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At Night
第五夜 如何様博打
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カラン、コロン。
見慣れぬ夜道を誰かと並んで歩いている。
木塀の並ぶ細い砂利道。
街灯はなく、灯は手元の提灯のみ。
隣の同行者の顔はわからないが、着流しに羽織という出で立ちだ。
しばらく歩いて行くと、一軒の質素な武家屋敷の門前に着いた。
連れ立っていた者の後に続いて中に入る。
式台を上がり、廊下を進んで行くにつれ、賑やかな声が聞こえてくる。
灯の漏れる襖を開ける。
タンッ
「半か丁か!」
「ヨイチの半!」
「ゴゾロの丁!」
「ピンゾロの丁!」
「サブロクの半!」
賭場だ。
壺振りは片肌脱いだ着物の麗人。
男女合わせて八人程の客がいる。
「勝負!グイチの丁!」
張り詰めた空気が一瞬にして歓落の声に包まれる。
同行者はいつの間にか端の空いている席に座し、次の場を待っている。
とりあえず同行者の向かいの空席に座る。
麗人が再び壺を振る。
タンッ
「半か丁か!」
単純だが面白い賭け事だ。
和製ルーレットと言えるのではないか。
とするとやはりあの麗人は思うがままに目を出すことができるのだろうか。
それにしても本当に綺麗な人だなぁ。
色白の肌に黒い切れ長の目。
目を伏せると長い睫毛がよくわかる。
艶のある黒髪を芸者らしい日本髪に結ってある。
「イチニの半!」
同行者が声を上げる。
あ、とりあえずベットするか。
いや、張る、か。
サンゾロの丁!
次々と他の客も張っていく。
「勝負!」
麗人が開帳する。
途端、賭場全体が困惑の静寂に包まれる。
麗人も何も言わない。
何だ?
少し身を乗り出して賽の目をのぞき込む。
え?
三、三、…三?
二つしかないはずの賽が三つになっている。
これは…
見慣れぬ夜道を誰かと並んで歩いている。
木塀の並ぶ細い砂利道。
街灯はなく、灯は手元の提灯のみ。
隣の同行者の顔はわからないが、着流しに羽織という出で立ちだ。
しばらく歩いて行くと、一軒の質素な武家屋敷の門前に着いた。
連れ立っていた者の後に続いて中に入る。
式台を上がり、廊下を進んで行くにつれ、賑やかな声が聞こえてくる。
灯の漏れる襖を開ける。
タンッ
「半か丁か!」
「ヨイチの半!」
「ゴゾロの丁!」
「ピンゾロの丁!」
「サブロクの半!」
賭場だ。
壺振りは片肌脱いだ着物の麗人。
男女合わせて八人程の客がいる。
「勝負!グイチの丁!」
張り詰めた空気が一瞬にして歓落の声に包まれる。
同行者はいつの間にか端の空いている席に座し、次の場を待っている。
とりあえず同行者の向かいの空席に座る。
麗人が再び壺を振る。
タンッ
「半か丁か!」
単純だが面白い賭け事だ。
和製ルーレットと言えるのではないか。
とするとやはりあの麗人は思うがままに目を出すことができるのだろうか。
それにしても本当に綺麗な人だなぁ。
色白の肌に黒い切れ長の目。
目を伏せると長い睫毛がよくわかる。
艶のある黒髪を芸者らしい日本髪に結ってある。
「イチニの半!」
同行者が声を上げる。
あ、とりあえずベットするか。
いや、張る、か。
サンゾロの丁!
次々と他の客も張っていく。
「勝負!」
麗人が開帳する。
途端、賭場全体が困惑の静寂に包まれる。
麗人も何も言わない。
何だ?
少し身を乗り出して賽の目をのぞき込む。
え?
三、三、…三?
二つしかないはずの賽が三つになっている。
これは…
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