【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~

次元謄一

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第2話 スキル【千里眼】1

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その2、それは【千里眼】の能力。

転生した時、謎の神様とか創造主とかに

「こっちのミスだから好きなスキルどーぞ」とか

「この能力でもう一度やり直せ」とか

別に言われたわけではない。

というか謎の神様も創造主も登場しなかった。

ただ、生まれて目が見えるようになってから気が付いただけだ。


能力の使い方……目に少し力を入れる。

能力の効果

遠くの物や風景を見ることが出来る。(ズーム)

障害物を透かして見ることが出来る。(シースルー)

暗闇でも昼のように見ることが出来る。(ナイトビジョン)

熱源を見ることが出来る。(サーモ)

魔力を見ることが出来る。(マジック)

五秒前の映像を保存出来る。(リプレイ)


俺が出来るのはこんなところだ。

しかし、初めから全て使いこなせたわけじゃない。

(ズーム)は焦点を合わせるのが難しかった。

少し拡大したいだけなのに、思う所にピントが合わない。

イライラしたし、気持ち悪かった。が、頑張った。

コツはスマホの画面操作する指の動きを、

頭の中でイメージすることだ。

二本の指を広げれば拡大、閉じれば縮小。

スワイプすれば視点はヌルっと動く。

要はイメージだ。

だから俺が窓際で(ズーム)してる時、

無意識に指をクパクパしてるかもしれないけど、

「何コイツ、きんも」とか言わないでくれよな。

あ、思うだけなら自由だからいいけど。

決して口に出さないでくれよな。傷付くから!

(シースルー)も扱いが難しかった。

もちろんこの能力に気付いた時には狂喜乱舞した。

あの可愛くて巨乳の世話係、

サユちゃん(当時20歳)の服を脳内で脱がせるのだから。

当時1歳に満たない赤ちゃんの俺は嬉しくて寝ながらツイストを踊った。

多分、赤ちゃんがしない顔をしていたのだろう、

現場を見られた施設長の奥さんの表情を、俺は一生忘れない。

しかし、これも使いこなすには努力が必要。

壁や天井などは比較的簡単に成功した。

だが人となると、動いているうえに数枚の服が厄介だった。

視点の調節がうまくいかないとすぐ内臓にいってしまうのだ。

何度「おえっ」と言ったことか。あまりに「おえっ」としたもんだから、

心配されて医者を呼ばれたこともあった。

あの時は皆に要らぬ心配をかけてしまった。ごめんなさい。

ハイハイが出来るようになった頃、

俺の、血の滲む(滲んでない)努力がようやく実った。
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