オッドアイ

本城 智咲

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第18話 帰還

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船に揺られて一日がたった。
黄昏れる千聖に皆は距離を置いて話しかけることはしなかった。
早朝船は出港した港に戻ってきた。
船から降りる準備をしてから、陸に降りて、広いところに出ると、拳銃を構えた、スーツ集団が待ち構えて取り囲んだ。
「出港の許可が出ていないのに、勝手な行動を取るとは、まぁいい、その男を確保した事は礼を言おう。さぁ、その男をこちらに渡せ!!そいつは国で管理する」
「断る、本作戦は通達したはず、それに管理するとしても、国も、英雄の血が欲しいだけでしょう、自己防衛の為に」
「な...ちがう!!、今や指名手配犯になっている男だ、そんなやつを民間人の前に出してはならん!!それに...」
「?それに、なんだ。」
「そ、それにお前たち全員がオッドアイ能力者の集まりか関係者だろう、害悪の貴様らを見逃すほど慈悲深くもないのでなぁ、皆男以外は差程の脅威はない殺しても構わん、捕えろ!!」
スーツ男たちは構えていた拳銃の引き金を引く。しかし、銃弾が放たれることは無かった。カチ カチ、弾詰まりが起きた時の音が全員の銃からしていた。
何故かというと、その時千聖の両目が輝きを放っていた。
「ど、どうしたというのか!?」
混乱している国の偉い人
「俺の事を狙うのなら、みんなを殺すのは違うだろう?オッドアイ能力者も人だ。人権ももっている。国のトップに立っている人間だからといって言っていいこと悪いことがあるぞ、富義議長。」
「ふ、たとえ能力を使ったとしても変わらんぞ、衰退した身体で何が出来るというのかね?」
「確かに今の俺は弱い。だが無力化させることは可能だ。」
言葉と共に右手を前に出す
「議長、貴方は痛覚するべきだ、あんたらがやってきた、オッドアイ能力者に対する虐殺を。」
開いた手を閉じると共に議長の脳裏に自分が虐殺させる映像が流し込まれる。
頭を抱え、発狂し最後には泡を吹いて気絶した。
「千聖、君は一体何を知っている?」
「...先代の全ての記憶が俺の中に集約された。どれも悲惨な記憶ばかり、それをこいつらに埋め込んだ。」
「へ!?なんで!?」
「これは、後で確かめればならないの」
「どういうこと?」
「今、言えることはあれはチサじゃ無い!」
「厳密には、主の意識と先代の意識がごちゃ混ぜになっている状態と言った方がただしいがの」
「ちさ、本当なの?」
「さぁーな、実感は無い」
「なんだろう、以前より無関心差が増したような気がする。」
みんなが状況を理解しようとその場に立ち尽くしていると、1人のしっかりとした顔立ちのおじいさんが駆け寄ってきた
「これはこれは、国を救った英雄に会えるとは光栄ですな。」
元総理大臣、現在議長、一之瀬和久
「叔父上ではないですか。この人たちは叔父上の差し金ですか?」
「まさか?彼らが自分の身のためにやった行いですよ。...謝罪いたします。国としては関わらないとお約束していたはずなのですが、血に迷った行動を取らせてご迷惑をかけたこと申し訳ございません。」
頭を下げてくる一之瀬議長。
「いいえ、議長。我らは気にしていないので、頭を上げてください。ですが、国の見解を教えては貰えませんか?」
「···そうですね、数日前のあの天候さえ変えてしまうほどの突風。高熱の光を放った光線。それらが民主の目に入りました。そして危険と判断した議長らは、直ぐに出港禁止にし、そこにいる城ヶ崎千聖君の確保を企てました。その理由はこれまでのテロリストの行いの擦り付けです。」
「つまり、オッドアイ能力者を襲ったテロリストの行動は全て千聖の指示の元で動いていたように仕向けたかったということか」
「?でも、そうだとしても国に取ってどんな影響があるのでしょうか?」
「国にはありません、あるのは自己個人その男は政府の人間であり、テロリストとも流通していた男なので、倒せなかった千聖君を法で捌きたかったのでしょう。まぁ、呆気なく返り討ちにあったようですが、政府の見解ですが、私らは国を救った英雄に何も手は出しません。」
「むしろ、ガレムに潜むテロリストの親玉を撃破してくれてありがとうと礼を言いたい。」
「いえ、俺は組織の指示の元。行動を遂行したまでですので、お気になさらず」
「そうですか、では私らはこれで、これからも国を救ってくださると幸福です」
「···」
そう言って、議長たちは帰って行った
そうして、一行は真っ直ぐに帰るべき場所に帰った。
「ふぅー、長かったわね」
「実際5日くらい船の上で揺らされているだけでしたから」
「とりあえず、おかえり、千聖くん」
「...あぁ、ただいま」
「あ、いいたいこと言われました。栞さんちゃっかりねらってましたね!!」
「いやいや、家に帰ってきたら普通は言うでしょ」
「むぅ」
「えぇ、みんなまでそんな目で見られてもなぁ」
と、その時 真希のお腹の虫が鳴った
「あ、ごめん」
「ムードぶち壊したねぇ」
「仕方がないな、さぁ、お昼にしよう直ぐに作る」
「やったぁ、久々の千聖のご飯だァ」
「真希。はしゃぎすぎ、千聖、手伝う」
「あ、じゃ私も手伝うよ」
千聖と美紀と栞の3人でキッチンに並びそれぞれ調理を始める。
そして、品が並べられ黙々とふたりが先に食べ進める一方。
「あぁ、これがチサの料理、美味しいすぎる」
「これが現代の料理と言うやつか、進化しとるのぉ」
2人が、加わったことにより食卓はより一層騒がしいものになった。止まらぬ箸をすすめ、満腹になった時
「うん、食べたご馳走様じゃ、」
「お粗末さま」
「じゃが、そろそろ限界じゃな...主よ覚悟は良いか」
「あぁ、何時でも」
「うむ」
「え、何が起きるって言うんですか?!」
「まぁ、見ているんじゃな」
その言葉と共に、千聖の身体が縮みダボダボの服と化した。
「え!?!?!?」
小さくなった千聖に驚愕する一同
ガラティーンは近づいて千聖を抱き抱える。
「まぁ、これがわしの能力のひとつの縮小じゃの、拡大もできなくは無いが、今は出来ん。」
「ひとつって事は他にもあるの?」
「もうひとつはお主達も見たじゃろ、幻覚じゃよ、まぁ、フランにぶち壊されたがの」
「う...」
フランはみんなの注目に目を反らす
「まぁ、よい。とりあえず、主はこのままじゃ、回復するまではの」
「期間はどのくらいですか?」
「そうじゃのぉ...だいたい2週間くらいじゃの」
「という事は、残りの冬休み丸々か」
「学校が始まる時には間に合いそうですね。」
「?あ、そっか、今学園の先生やってるんだった。」
「さすがに、理事長がどう言うか分からないからね、間に合うならそれでいいと言ったところだよ。」
「おぉ、だったらだったら、早く回復させるにはね、チサをぐっすり眠らせるのが1番なの」
「睡眠最高(。っω-。)ねむい」
「けどね、チサは普段寝ないの。でも今のこの小さい状態ならある条件下で安眠出来ると思う」
「その条件って」
「...抱き抱えて、一緒に寝る!!」
「...つまり、添い寝ですか」
「そうだよ、よく過去を振り返ってみて、栞が膝枕した時寝てたでしょ」
「あ、確かに」
「チサはね、活動限界を迎えた時とスキンシップで、人肌の温かさを感じると眠くなるんだよね。」
「だから、前はあんなに寝たわけかァー」
「?でも待ってくださいよ、私たちが抱きついたとしても全然寝る気配なかったですよ?」
「うーんとね、スキンシップも条件があって、押し倒さないと寝てくれない」
「難儀な体質してる」
「じゃが、今の身体なら、抱っこする程度で寝てくれるからのしばらくは皆で寝かしつけるしかないの」
「なんか、それって、」
「母親みたい?」
真希の言葉と共にその場の全員が顔を赤く染めあげまくる。
「あ、ちょ、いや、まってくれ...」
「ちょっと!何らしくなく戸惑ってんのよ!!」
「これは、驚きと戸惑いがありますよ」
「今まで、世話されてる側だったのに、今度はあやしつける側になるということですか」
「そうなるね」
「じゃあ、どうする?最初は」
「ふむ、ここは、ここに住むのが最近の人から順番というのはどうだろうか?残りの休みの日数は、全員回ることが出来るからこの順番なら平等だとおもうのだが、どうだろう」
「わしはいいと思うぞ、争いは無い方がきちじゃからなのう、じゃが、そこにわしは入れなくていい。」
「私もいいよ、みんなで愛でてあげて」
「となると、ソディーとラテを除くとなると最初は?」
恵那の急な発言にきょとんとする一同。
「今なんて言いました?」
愛美の問いかけに対して
「ガラティーンって長いし呼びづらいじゃないですか?だから尊敬を込めて可愛いくそして、呼びやすい『ラテ』て呼ぼうかと」
「まぁ、呼び方は人それぞれじゃから良いぞ」
「そうですか、話逸れましたけど凪紗さんの提案だと最初は?」
「美希じゃない?」
「私?」
「では、任せる。常に抱き抱えてくれ決して起こしてはならんぞ、どうなるかわしもわからんからの」
「うん、わかった」
「とりあえず、のんびりしよっか」
「そうだな、朝から色々あったからね。整理する時間ほしい」
閑話休題、
それから各々生活をして、皆で食卓を囲んでいるがここで愛美が1人いないことに気づき、ため息を着いたあと、リビングを出て舞夜の部屋をノックなしに勢いよく開ける
「!!!」
「なに丸くなってるんですか?」
「いえ、なんでもありません」
「なんでもない人が、そんな落ち込んでいる様子を出すとは思わないんですけど」
「...」
舞夜は苦い表情で語り出す
「あの幼い千聖様をみるとトラウマが脳裏に写ってしまうのです。」
「それは、千聖先輩の身体の傷のことですか?」
「...私もあの傷をつけた1人ですから」
「だから、それを負い目感じていると?」
「...はい」
「でも、千聖先輩は気にしてないと思いますよ。それに負い目にかんじているから今の千聖先輩に尽くしている。それが変わらないんだったら別にいいじゃないですか、落ち込んでいる方がよっぽど迷惑だと思いますよ、この家に住んでいるみんなも当人の先輩も」
「!!!」
「そう...ですね、過去は変わらないそう思ったから、それをかせにしていたのに、やはり私は弱い人ですね。ありがとうございます。...戻りましょう、お昼になるから呼びに来たのでしょう?」
「それもありますけど、落ち込んでたら励まそうかと思っただけですよ。」
「意外とお優しいところありますね」
「余計なお世話です...」
そうして、美希に抱えられ安眠している千聖をそのまま抱いたまま昼食を取って
その後は皆で千聖をツンツンと肌の感覚を確かめていた。その間も千聖は安眠している。順番は美希で始まり真希、凪紗、恵那、シア、愛美、舞夜、栞、眠華、フラン、真白の順番に1日交代で冬休みを終える計算となった。 ラテとソディーが来て、1週間たったある日のことソディーから
「ねぇねぇ、チサの生い立ち知りたい人いる?」
「突然ね、」
「うん、やることないし、ぐうたらしているのもなんし、チサはみんなに自分語りなんてしないだろうから」
「まぁ、確かに知りたいと思っても、質問した事しか話してはくれませんでしたもんね。」
「だから、唐突に言ってみたのだ」
「...私は知りたい。」
 「私も聞いておくわ、千聖の生き様がどれほどのものかわかっておきたいもの」
フランとシアの言葉に賛同する皆。しかし、
「わ、私は遠慮しておきます」
舞夜がリビングから出ようとする所を
「こらこら、過去から逃げないでください、向き合いましょうよ、」
「ですが...」
「ちなみに言っておくけど、舞夜が知らない空白の3年間私は全て知ってるよ」
ソディーの言葉に、態度を変え
「それなら、話は変わります、一からあったことを、聞かせてください」
手をひらを返した舞夜だった。
そこから、ソディーの千聖語りが始まった。
「チサの生誕は知ってると思うから省いて、そこから五歳までの説明も船でしているから省いちゃうね。じゃ、6歳からか...チサはイセリア王国第一王女に拷問されて見るも無惨な傷を大量に負ったあと、当時の育て親のつてであの時は陸軍だったかな。そこで毎日毎日訓練を受けていました。身体の傷の痛みがあるはずなのに平然とした表情で周りの軍人と同じように受けていました。訓練を繰り返して2年が経過して、チサはテロリストが絡む任務に赴くようになりました。その最初の任務であったのが、舞夜だよ。」
「あの日の夜の1件が最初の任務だったのですか!?...つまりあの燃え盛る火の中に恐怖に省みることなく飛び込んだと!?」
「そうだよ、あの時のチサは舞夜を助けることしか考えてなかったから。」
「そう...だったのですね」
舞夜が安堵していると
「まぁ、その後にまた傷負ったけど」
「蒸し返さないで頂けると助かったのですが」
「隠さず言わないと分からないから
ここからは舞夜の方が詳しいから話して度々補足して加えるから」
「あ、はい了解いたしました」
「では、ここからは私が説明いたします。当時私と千聖様が8歳の頃も訓練の毎日でした、時々任務で出立する時もありましたけど、そう言った変わらぬ日々を送っていました。しかし、訓練の途中で、これ以上実らないと感じた千聖様は能力の制御の為に、ソディーの力を身につけました」
「うんうん、あってるあってる、それが私の装甲、本来私のも能力を促進されるものなんだけど、チサが拒んだせいで逆の力が働いちゃったんだよね。それからは何があっても装着してて、ものすごく重いはずなのに、平然としていたんだ」
「装着したての頃は苦戦されていましたけどね、そして、そこからの3年、正確には4年ほどですが、私は黒咲流の習得の為にイセリア王国に飛んでしまったので、4年ほど千聖様とはあってはいないのです。」
「そこが、舞夜でも知らない空白の3年間?」
「はい」
「え、まって、舞夜あなたイセリアに来てたの!?」
「えぇ、そうですよ。ただ私が行っていたのはお城の方なので、宮殿の方には足を向けてはいませんので、知らなくて当然かと思われます。」
「て、ことわよ、もしかして第一王女とはあったわけ?」
「はい、お話したことはございませんがなんどかお見えになったことはございます。」
「そうだったのね」
「知らなかった」
「そりゃ、知るわけないでしょう、閉じこもっているのだから、」
「閉じ込めたの、シアじゃん。」
「いや、王宮のみんなよ言い出したのは」
「それ、変わらなく無いですか」
「聞いている感じは変わらない気がする」
「···」
少しの静寂が、場を包む
「まぁ、そこの3年間、本当だったらチサもイセリアの王宮で執事の仕事をするはずだったの、お世話相手はフランのはずだった。けどなにかの手違いで、チサはクラーク王国に派遣された。」
「クラーク王国に!!」
「あの、もしかしてそれってクラークで大規模のテロがあった時ですか、」
「え!?そうだけど、よく知ってるね」
「まぁ、私出身そのクラーク王国ですから」
「え?...」
「あれ、そんな驚きます?」
「いや、初耳だから、皆驚きを隠せないのだろう?」
「うん、その通り(*’ー’)」
「あの時はテロリストが突然繁華街を襲撃してきて、街の中心は火の嵐となったんですけど、じゃ、あれが千聖先輩だったわけですね。」
「???」
「あぁ、えっとその火の中に1人単身で乗り込んだ少年がいたんです。その人はテロリスト達を切り倒して行って、半日でテロを止めました。翌日、その少年は国を救った英雄として称えられることになりましたってことしか知りません」
「じゃ、それが、千聖くんなんだ」 「そうだよ、チサが全てやった、そしてあらかた愛美に取られた」
「いやいや、私はこれくらいしか知りませんから、それにその襲撃のあと、直ぐにガレムに引っ越しましたし。と、とりあえず、その先はソディーがお願いします。私も気になりますので」
「おーけー、いいよぉー...英雄になったチサだけど、本来の目的はクラーク王国第一王女の執事として、使える事その第一王女のお世話をして3年経過して、クラークからガレムに来る時に、今の学園の理事長を助けたら、学園に編入することになって、組織からオッドアイ能力者の保護を命じられてなんやら間やらで今に至る」
「...なんか、最後の大雑把なんですね」
「クラーク行ってからテロ止めたこと以外毎日変わらなかったから。」
「理事長を助けたと言ったが、どう行った状況だったんだい。」
「車の走行中に銃撃をうけて、横転する所を助けて、殲滅したらお礼に学園に編入しませんかってなって、チサも学園生活をしてみたいっていったから、学園に入ってみんなと出会ったって感じかな」
「聞いている感じだと、ものすごい出会いをしたんですね、」
「学園に入ってからも凄い出会いの数だったけどね、」
「最初って誰と会ったんですか?」 
「えっとねぇ、最初はー、...眠華だね
チサ、律儀すぎて世話になる先生片ぱしから挨拶にいったから、」
「あぁ、なんとなくわかっちゃった、もしかして、最初にあった場所って保健室前だよね、」
「そうだよ、廊下で寝てた眠華を起こした時に初めて会った」
「前も変わらなかったわけね」
「???┌(._.♡)┐アリガタヤー」
「呑気ね」
「でも、であった時から眠華ちゃん授業受けるようになったから良かったんだよ」
「そんなにだったの?」
「うん、入学してすぐ遅刻とか欠席したりもしてたし来ても大抵は寝ていたから」
「ほえぇ、容易に想像できちゃうね」
「仲良く見えるかもだけど、一度喧嘩したことあるm(_ _)m」
「え、そうなの!!!」
「うん、千聖の優しさに漬け込みすぎたと感じた時に、嫌になって反論してしまった。(*’ー’)」
「千聖くんは気配り凄いからね。それが裏めに出ちゃったんだね」
「でも、そうでもなく仲良くなっているのでしょう。どうやって仲直りしたわけ?」
「千聖から謝ってきた、私が一方的に言ってしまったのに("'._.)」
「それは、あれじゃないですか、千聖さんは鈍感ですけど、鈍感だからこそ怒らせてしまった理由は自分にあるって思ってしまったりとか?」
「あぁ、千聖ならありうるだろうね。...栞は去年の千聖の話はなにか無いのかい?同じクラスだったんだろう?」
「え、わ、私!?...えっと、そうだなぁ。編入して、クラスに来た時は圧が強いひとって印象が強かったかな。堅苦しい印象があったよ。エマ君が足を引っ掛けた時なんてバク宙してたし。」
「え、一体どう言う状況下でそうなったんですか?」
「あの時のエマ君はひねくれててね。不良みたいな感じでいたんだ、けど千聖君がきてから、千聖君に酷いちょっかいを出してたの、毎日。けど表情一つ変えずに千聖君は動いていた。自分の事は省みてないだなって思ったんだよね。物静かな人なのに、手伝ってくれるし。気遣ってくれるから、最初の堅苦しさは感じなくなった。」
「九条家の家系は今は良好のようだが昨年は崩壊仕掛けていたそうだ。」
「またまた、どう行った状況でそんなことに」
「九条家の両親が子育てを一切せず仕事に熱中していたことにより、残された長男と長女は耐えきれずに愚行に走ったと聞いた。だが、去年の夏、ビルの爆破テロが起きた時、襲われたビルが九条家が運営するビルだったそうで、そこを誰かがものの数分で殲滅させたの聞いたが...ソディー、この話も知っているのかい?」
「うん、知ってるよ、止めたのチサだもん」
「···予想はしていたがやはりか」
「あれの主犯は、エマ君の近くにいた不良たちと繋がってたテロリストが企てたもの」
「ややこしいですね」
「目的は身代金だったかな?」
「間違って居ないよ、その不良グループはお金欲しさに九条家の長男を騙して海岸沿いのコンテナに格納していたからね」
「その2人を助けつつ、ビルの方も同時に助けたから」
「千聖先輩って、幼い頃から忙しいですね」
「そうだよ、だから今こうやってのんびりしているのが、ほっこりする。」
「···あのぉー、生い立ちってこれで終わりですか?」
「うん、あとはこの家に入ってきたみんなの話だから」
「では、ここからは各々話していこうか、重い話もあるだろうし、話せる人だけで結構だ」
「真白ちゃんは難しいだろうし、眠華ちゃん言える?」
「···おばあちゃんが、歳で引き取り手を探してた。それで引き取ったのが千聖」
「フランは千聖に会いたくて宮殿を飛び出した、私はそれを追いかけた」
準々に千聖の家に来た経緯を簡単に言っていく。
「私の場合、借金肩代わりされたので」
「私はアイドルを休止したので、帰る場所がありません!!」
「千聖には助けられてばかりだからね共に一夜を過ごしたいと思ったら行動に出ていた」
「私たち姉妹は政略結婚を強制。」
「離れ離れになるところを助けていただきました。」
「私は家族が事故にあって、拠り所がなくなって、千聖くんの選択にのった。」
「色々あるのぉー」
「それだけ、チサは愛されているのだ。まぁ、あと一人いるけど」
「え、、、」
「?あぁ、そっか、リスト見たの私だけだぁ、ネタバレしちゃった。」
「いや、そんな重要な情報、あっさり言いますか?普通?」
「それを言っちゃうのが、私なのだ。」
万遍の笑みでそう言い放つソディー。
「ところで、その1人は誰なんだい?」
「リストしか見たことない、チサ、1回も会っていない人。街でも学校でも顔すら見てないよ」
「となると、学園の生徒なのは間違いないが、不登校になっている現状なのかな。」
「学年は?」
「確かぁー、2年って書いてあった」
「ということは、私たちと一緒?」
「そうなるな、ちょうどいい、ここにいる2年生はクラスがバラけている。欠席が多い生徒がいたら、教えて欲しい。」
「...」
「···」
「・・・?」
「どうしたんですか?真希さん?」
「え、とぉ、心当たりがあって···C組の如月ってひと」 
「その子だァー!!!」
「···如月?···!如月焔か!」
「誰?」
「学園一の問題児さ、授業は出席しないし、遅刻は当たり前、外ではいざこざを起こす。全くもって困った生徒だよ」
「担任の田中先生も頭抱えた」
「そんな問題児を本当にこの家に迎える気かい?舞夜?」
「どうでしょう···聞いている感じでは現状迎えることはないと思います。組織の方針が少々変わってしまったので」
「???」
「今までは、リストにあって、オッドアイ能力者としての予兆または覚醒した人は迎えるようにしていましたが、今では覚醒して、身寄りがない人だけを向かえると教官から指示されていますので難しいと思われます。」
「そうか、ならいいのだが」
「どうして、凪紗さんがほっとしているんですか?」
「彼女には少々トラウマがあってね。当時の話聞きたいかい?」
「いえ、結構です」
「そこは、聞くとこでは無いのかい?」
「今聞くのはどうかと思ったので」
「そ、そうか」
しゅんとなる凪紗。
「なぁなぁ、そろそろあれ教えてよ
千聖がわたしと舞夜の能力使えないって話」
「あ、そうだった。では説明しよう。何故、舞夜と真希の能力が使えないかは、初代が持ってなかったってのは話したよね?」
「はい、後々話すとの事で先にその話は口にされました。」
「なら、オッドアイ能力者がどうやって生まれるかは組織はどう知ってる?」
「遺伝子が相対した時に能力者が生まれると言われています」
「?どいうこと?」
「つまり、子は親の血を受け継ぐ他に遺伝子も同様。表情が父親に似てるとか母親に似ているとかよく言われるやつ。だから、父親と母親の遺伝子が平等に受け継ぐとオッドアイ能力者になるって説明でいい?」
「はい、十分なくらいです。補足ありがとうございます。」
「ふーん、そう言った考えしてるんだ」
「!?本来は違うのですか?」
「うん、能力者が生まれるのは、その前の世代で生まれた能力の魂が乗り移ると能力が受け継がれる。」
「能力者の魂?」
「みんなもその能力者の魂で能力を持っているの。その魂は言わば怨念、若くしてなくなっていった能力者達がまだ生きていたいていう想いが魂となって母体の赤ちゃんに取り付く。そうやって生まれるの。」
「だけど、それになんの因果関係があるの?」
「能力が世代によってバラけた為に様々な進化をとげた。そして、何処かで突然変異が起きた。それが2人の生成の能力」
「つまり、受け継がれる度に変化が起きて、最終的に今の形になったということですね」
「うん!そう言った解釈でいいよぉ!」
「···あらかた、しゃべったかの」
「うん!」
「なら、もう夕飯にせんか、背と腹がくっつきそうじゃ」
か細い声をラテは上げ、急いで夕飯の準備を始め、その1日は過ぎていった。
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