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第七章 俺様、南方へ行く
15、熊よ、貴様も大概チートだが俺だって負けてはいない
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「リージェ様!」
エミーリオが短く叫ぶと同時にドゴ、と一瞬にして熊の足元に大きく深い穴が開く。熊は吸い込まれるようにその穴へと落ちていった。
示し合わせた通り、エミーリオが最大出力の土魔法を放ったのだ。
『熊が足を止めたら、その足元に全力で大穴を開けろ』
という俺の指示を見事に実行してくれたエミーリオは、MP切れで片膝をついてしまっている。
落ちていく熊は苦し紛れに例の黒いモヤモヤを飛ばしてきたが、バランスを崩しながら放ったそれは避けるまでもなく明後日の方向へと飛んで行った。
『良くやったエミーリオ!』
卑怯? 何とでも言え。これは試合ではなく生きるか死ぬかの殺し合いだ。
穴は相当に大きく深いが、先の方は細くなっているみたいで穴の底で熊が身動き取れずにもがいている。
奴が穴から登って来る前に、とどめを刺す!
「喰らえ、天空からの鉄槌を!!」
俺は少し高度を上げ、そこから身体を丸めて防御姿勢を取りつつ身体を回転させながら一気に穴の底にいる熊へと落下する。
何かが刺さる感触がして腰に激痛が走るが構わずにそのまま体重をかけて回転をすると、バキッと何かが折れる音がした。
そのまま更にギュルギュルと回転して体重をかけると、ほんの少しの抵抗とともにグシャ、と潰れる感触が全身に伝わった。
「反転せよ」
俺は再び自分の体を全回復させる。
熊よ、貴様も大概チートだが俺だって負けてはいない。
熊の体には小さな穴も俺には余裕で翼を広げられる空間があった。
熊の反撃が来る前に穴から飛び出し、再び空高くへと舞い上がる。
「もういっちょ! 喰らえ、天空からの鉄槌を!」
奴が身動き取れない今がチャンスと畳みかける。
翼を畳み身体を丸めて防御姿勢になり、回転と高さで威力を上げて熊を目掛けて落下する。
ぐしゃ、と音がして体が軋む。潰れているのは俺か、熊か。
即座に回復をかけて再び空へと退避する。どんなにダメージを喰らっても即座に回復できるって最強だな! 即死しない限り何度でもゾンビアタックできる。
今なら負ける気がしねぇ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【レ・オルソ・モルテネーロ】
レベル : 76
HP : 6191/88860
MP : 935/38935
Atk : 83675
Def : 28325
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
よし、だいぶ削れてる! ってあれ? あいつ角どうした?
ミンチ状態になった熊のステータスを再度確認して小さくガッツポーズ後、首を傾げる。
いや、気にしている場合じゃないな。MPの残りが若干気になるが、消費具合からしてもうあの黒いもやは出せないだろう。
回復系のスキルを持っていたら厄介だ。
「これで最後だ! 我が劫火に焼かれよ!」
ゴウ、と穴の壁に沿って渦を巻きながら炎が熊を呑み込んでいく。
深い穴はそのまま竈のように高温になっているようで、熱気が跳ね返ってくる。
念のためMPが切れるまでブレスを吐き続けようとしたら酸欠になった。
『――≪リージェ≫が≪レ・オルソ・モルテネーロ≫を倒しました。経験値13125を獲得しました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪喰らえ、天空の鉄槌を≫がLv.2になりました――』
地面に降りてぜはぜはと息を整えていたらそんな声が頭の中に響く。
よっしゃ! 俺は長く苦しい戦いに勝ったんだ!
っていうかさぁ、経験値低くね? あんな苦戦したんだし、こう、ねぇ。もうちょっとボーナスとかあっても良くない?
そもそもレベルアップに必要な経験値多すぎなんだよ、と毒づいていたらルシアちゃんが結界を解いて駆け寄ってきた。
「リージェ様! 大丈夫ですか?!」
『あ、ああ。見ての通りだ』
「リージェ様、お尻にでっかい熊の角刺さってますよ」
な、何?! だからずっと痛かったのか!
エミーリオがよいしょ、という掛け声と共に俺の背中からズル、と何かが抜ける。
かなり痛かったが即座にルシアちゃんが回復魔法をかけてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれた。役得役得。
「本当に、ご無事で良かったです」
久々に苦戦したせいで相当心配させてしまったようだ。
ポロポロ泣くルシアちゃんに謝りながら宥める。
その間、エミーリオがまだ若干熱気の籠る穴に降りて熊の死骸を調べてきてくれた。
「リージェ様、欠片です……ってあれ? さきほど抜いた角はどうされました?」
戻ってきたエミーリオが熊の体内から抜き取ってきた欠片を俺に渡しつつ、首を傾げる。
渡された欠片はいつもの如く俺の中に溶けるように吸い込まれて消えた。と同時に体の奥から力が湧くような万能感が湧きたつ。
『む、あの角も暗黒破壊神の欠片だったようでな。エミーリオが抜いたあとすぐに崩れてしまったよ』
まさか空気に触れた途端俺の中に吸い込まれたなんて言えない。
いや、さんざん目の前で見てるしいくら純粋なエミーリオでもそろそろ気付いているかもしれない。
今までずっと俺の体内に刺さっていたくせに吸収されなかったことで、欠片の力を取り込んだ持ち主が死んで初めて吸収されるらしいことがわかったのも収穫といえば収穫だろう。
「そうですか……いえ、暗黒破壊神のもとに集まらなければ良いのですから、崩れてしまったのは残念ですが目的は達せられましたね」
騙された~!? あほの子だった!
あれだけ俺に吸い込まれるとこ見てまだ俺がアイテムボックス的な異空間にしまっていると思い込んでる?! どうしよう、何かすごく罪悪感で胸が苦しい。
『ま、まぁ、これで町長からの依頼は達せられたし、町に帰ろう』
「「はい!」」
まだ熊が遠巻きに見ているが、角つきを倒したことで怯えてくれたのか襲ってくる様子はない。
俺もエミーリオもMPがすっからかんで正直助かった。
残った熊は冒険者達でも何とか倒せるだろ。そんなことを思いながら、疲れで重くなった足取りで勇者たちの待つ町へと帰ったのだった。
エミーリオが短く叫ぶと同時にドゴ、と一瞬にして熊の足元に大きく深い穴が開く。熊は吸い込まれるようにその穴へと落ちていった。
示し合わせた通り、エミーリオが最大出力の土魔法を放ったのだ。
『熊が足を止めたら、その足元に全力で大穴を開けろ』
という俺の指示を見事に実行してくれたエミーリオは、MP切れで片膝をついてしまっている。
落ちていく熊は苦し紛れに例の黒いモヤモヤを飛ばしてきたが、バランスを崩しながら放ったそれは避けるまでもなく明後日の方向へと飛んで行った。
『良くやったエミーリオ!』
卑怯? 何とでも言え。これは試合ではなく生きるか死ぬかの殺し合いだ。
穴は相当に大きく深いが、先の方は細くなっているみたいで穴の底で熊が身動き取れずにもがいている。
奴が穴から登って来る前に、とどめを刺す!
「喰らえ、天空からの鉄槌を!!」
俺は少し高度を上げ、そこから身体を丸めて防御姿勢を取りつつ身体を回転させながら一気に穴の底にいる熊へと落下する。
何かが刺さる感触がして腰に激痛が走るが構わずにそのまま体重をかけて回転をすると、バキッと何かが折れる音がした。
そのまま更にギュルギュルと回転して体重をかけると、ほんの少しの抵抗とともにグシャ、と潰れる感触が全身に伝わった。
「反転せよ」
俺は再び自分の体を全回復させる。
熊よ、貴様も大概チートだが俺だって負けてはいない。
熊の体には小さな穴も俺には余裕で翼を広げられる空間があった。
熊の反撃が来る前に穴から飛び出し、再び空高くへと舞い上がる。
「もういっちょ! 喰らえ、天空からの鉄槌を!」
奴が身動き取れない今がチャンスと畳みかける。
翼を畳み身体を丸めて防御姿勢になり、回転と高さで威力を上げて熊を目掛けて落下する。
ぐしゃ、と音がして体が軋む。潰れているのは俺か、熊か。
即座に回復をかけて再び空へと退避する。どんなにダメージを喰らっても即座に回復できるって最強だな! 即死しない限り何度でもゾンビアタックできる。
今なら負ける気がしねぇ。
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【レ・オルソ・モルテネーロ】
レベル : 76
HP : 6191/88860
MP : 935/38935
Atk : 83675
Def : 28325
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よし、だいぶ削れてる! ってあれ? あいつ角どうした?
ミンチ状態になった熊のステータスを再度確認して小さくガッツポーズ後、首を傾げる。
いや、気にしている場合じゃないな。MPの残りが若干気になるが、消費具合からしてもうあの黒いもやは出せないだろう。
回復系のスキルを持っていたら厄介だ。
「これで最後だ! 我が劫火に焼かれよ!」
ゴウ、と穴の壁に沿って渦を巻きながら炎が熊を呑み込んでいく。
深い穴はそのまま竈のように高温になっているようで、熱気が跳ね返ってくる。
念のためMPが切れるまでブレスを吐き続けようとしたら酸欠になった。
『――≪リージェ≫が≪レ・オルソ・モルテネーロ≫を倒しました。経験値13125を獲得しました――』
『――≪リージェ≫のスキル≪喰らえ、天空の鉄槌を≫がLv.2になりました――』
地面に降りてぜはぜはと息を整えていたらそんな声が頭の中に響く。
よっしゃ! 俺は長く苦しい戦いに勝ったんだ!
っていうかさぁ、経験値低くね? あんな苦戦したんだし、こう、ねぇ。もうちょっとボーナスとかあっても良くない?
そもそもレベルアップに必要な経験値多すぎなんだよ、と毒づいていたらルシアちゃんが結界を解いて駆け寄ってきた。
「リージェ様! 大丈夫ですか?!」
『あ、ああ。見ての通りだ』
「リージェ様、お尻にでっかい熊の角刺さってますよ」
な、何?! だからずっと痛かったのか!
エミーリオがよいしょ、という掛け声と共に俺の背中からズル、と何かが抜ける。
かなり痛かったが即座にルシアちゃんが回復魔法をかけてくれて、ぎゅっと抱きしめてくれた。役得役得。
「本当に、ご無事で良かったです」
久々に苦戦したせいで相当心配させてしまったようだ。
ポロポロ泣くルシアちゃんに謝りながら宥める。
その間、エミーリオがまだ若干熱気の籠る穴に降りて熊の死骸を調べてきてくれた。
「リージェ様、欠片です……ってあれ? さきほど抜いた角はどうされました?」
戻ってきたエミーリオが熊の体内から抜き取ってきた欠片を俺に渡しつつ、首を傾げる。
渡された欠片はいつもの如く俺の中に溶けるように吸い込まれて消えた。と同時に体の奥から力が湧くような万能感が湧きたつ。
『む、あの角も暗黒破壊神の欠片だったようでな。エミーリオが抜いたあとすぐに崩れてしまったよ』
まさか空気に触れた途端俺の中に吸い込まれたなんて言えない。
いや、さんざん目の前で見てるしいくら純粋なエミーリオでもそろそろ気付いているかもしれない。
今までずっと俺の体内に刺さっていたくせに吸収されなかったことで、欠片の力を取り込んだ持ち主が死んで初めて吸収されるらしいことがわかったのも収穫といえば収穫だろう。
「そうですか……いえ、暗黒破壊神のもとに集まらなければ良いのですから、崩れてしまったのは残念ですが目的は達せられましたね」
騙された~!? あほの子だった!
あれだけ俺に吸い込まれるとこ見てまだ俺がアイテムボックス的な異空間にしまっていると思い込んでる?! どうしよう、何かすごく罪悪感で胸が苦しい。
『ま、まぁ、これで町長からの依頼は達せられたし、町に帰ろう』
「「はい!」」
まだ熊が遠巻きに見ているが、角つきを倒したことで怯えてくれたのか襲ってくる様子はない。
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