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本編
25 露店、初体験
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夜が白み始め、異世界プラネタリウムも終わりに近づくと、流石にやることもなく、辺りの人通りもまばらになり、俺は、そのまま肘枕をつきながら軽く眠ることにした。
眠ったり起きたりの浅い眠りを繰り返していると、次第に、また商業街の通りに活気が戻り始めてくる。
どうやら、この街の朝は早いようだ。
色々な装備をした男達が、出かける前の準備をするためなのか、商業街の店をせわしなく出入りしている。
ふむ、朝も繁盛時間のひとつっぽいな。
まだ夜が明けたぐらいだから、ピークはもう少し後ぐらいにやってきそうな気もする。
と、すれば、ちょうど良い、繁盛時間に合わせて露店をやってみるか。
俺はベンチからひょいと立ち上がると、近くの店に入り、空き瓶を10個、手の平サイズの小さな黒板、白チョーク1つを仕入れる。
配給店では魔素水を空き瓶と水筒に充填して、昨日から利用している路地工房(人通りが少ないだけの、ただの路地)で腰を下ろすと、ポーションを作りまくった。
F級ポーション、、、5個
E級ポーション、、、5個
とりあえず、バランス良く一般的そうな等級ポーションを半々で作ってみる。
俺は、それらを腕に抱えると、そのまま商業街の大通りへと向かい、道端の空いているスペースに腰を下ろした。
えーと、確か販売価格が、F級が銅貨1枚、E級が銅貨5枚、だったな。
俺は手の平サイズの小さな黒板に、白チョークで書き込む。
異世界言語チートのおかげで、日本語を扱うように異世界文字も扱えた。
F級ポーション、、、銅貨1枚
E級ポーション、、、銅貨5枚
小さな立て看板を完成させた俺は、ずらりと並べたポーション達の前に置いて、生まれて初めての露店を開始した。
予想通り、人通りは徐々に増え始め、露店の数も増えていく。
ただ、周りの露店には、明らかに客がいるのだが、俺の前は皆、ほぼ素通りだった。
……なんでなんやで。
……分からん。
俺は、周りの露店を観察してみることにした。
すると、1つあることに気がついた。
露天商と客が、親しい感じで朝の挨拶を交わしていることが多い。
つまり、「顔見知り」であるということだ。
……なるほど、客がいる露店というのは、一定のお客さんから既に信用を得ているということか。
そりゃ、同じ値段ならば、ポッと出の見知らぬ露店から買うよりも、顔なじみの店から買った方が、安心安全だよな。
分かる。
でも、露店の新人だからとはいえ、誰かに買ってもらわなければ、その信頼関係も始まらないわけでして。
俺は、あぐらをかきつつ、顎先を右手で掴みながら首を傾げた。
ふーむ。
となれば、まずは、顔を売ることから始めてみるか。
俺は、元の世界に居た時、真夜中に寝苦しくて目が覚めた時などに、気を紛らわせるために見ていた深夜テレビの通販番組を思い返した。
少しばかり過剰な演出ではあったが、あれが大好きというファンもいるらしいし、売上も大したものらしい。
きっと、大事な要素が詰まっているのだろう、色々とマネしてみるか。
俺は黒板を手元に戻すと、書き換えた。
************************
E級ポーション、、、銅貨4枚!!
更にF級を【1本サービス!!】
************************
これでも、店に卸すよりかは、1本につき銅貨1枚が余分に儲かる。
そして、その効果たるや、バツグンだった。
俺の露店前に、一気に6名ほどの客が足を止めた。
一人の軽装備な青年が声をかけてくる。
「なあ、露店の兄さん。この看板に書いてあることは本当かい?」
「本当ですよ」
軽装備な青年は膝を折ると、俺の手作りE級ポーションとF級ポーションを、手に持っては全ての色味を確認していった。
「悪くない……というか、むしろ良いな。どれも安定感のある色味をしている。しかも、E級は相場より銅貨1枚お得で、更にF級まで付けてくれるとなると、実質、銅貨2枚の得か。兄さん、良いのかい、こんな大盤振る舞いで」
「かまいやしませんよ。ただ、露店を始めたばかりでして、今後ともごひいきにしてもらえると助かります」
「ああ……なるほど、そういうことかい。なら、試しに買わせてもらおうか」
軽装備の青年は、手持ちのギルドカードから銅貨4枚を取り出すと、俺に渡してくれる。
「まいどー」
俺が、E級1本と、おまけのF級1本を付けて、軽装備の青年に手渡した瞬間、場が少しだけざわついた。
「おいおい、本当みたいだな」
「なにか、裏があるかと思ったんだが……」
「E級を買うには高いが、F級も付いてくるし、そもそも、E級自体が相場よりも激安だし、うーん、先のことを考えて、ここで買って保険のために置いておくのもありか?」
通販番組を見て悩んでいるような視聴者みたいに、皆がソワソワし始めたので、俺は声をかけることにした。
もちろん、通販番組らしい台詞で。
「今朝のみ限定の、大特価E級ポーションですよー。販売相場、銅貨5枚の所を、何と今だけ4枚でお売りしていますよ! しかも、1つお買い上げにつき、F級をおひとつプレゼント! 限定販売なので、残りはあと4本ですよー!」
俺のかけ声に、露店前の客達の目つきが鋭いものへと変わると、俺の販売商品達は一瞬で完売となったのだった。
……通販番組すごい。
あと、露店って、お客さんと直接、会話して触れ合えて、なんか楽しいな。
俺は、こうして、銅貨20枚を一瞬で手に入れることに成功したのだった。
眠ったり起きたりの浅い眠りを繰り返していると、次第に、また商業街の通りに活気が戻り始めてくる。
どうやら、この街の朝は早いようだ。
色々な装備をした男達が、出かける前の準備をするためなのか、商業街の店をせわしなく出入りしている。
ふむ、朝も繁盛時間のひとつっぽいな。
まだ夜が明けたぐらいだから、ピークはもう少し後ぐらいにやってきそうな気もする。
と、すれば、ちょうど良い、繁盛時間に合わせて露店をやってみるか。
俺はベンチからひょいと立ち上がると、近くの店に入り、空き瓶を10個、手の平サイズの小さな黒板、白チョーク1つを仕入れる。
配給店では魔素水を空き瓶と水筒に充填して、昨日から利用している路地工房(人通りが少ないだけの、ただの路地)で腰を下ろすと、ポーションを作りまくった。
F級ポーション、、、5個
E級ポーション、、、5個
とりあえず、バランス良く一般的そうな等級ポーションを半々で作ってみる。
俺は、それらを腕に抱えると、そのまま商業街の大通りへと向かい、道端の空いているスペースに腰を下ろした。
えーと、確か販売価格が、F級が銅貨1枚、E級が銅貨5枚、だったな。
俺は手の平サイズの小さな黒板に、白チョークで書き込む。
異世界言語チートのおかげで、日本語を扱うように異世界文字も扱えた。
F級ポーション、、、銅貨1枚
E級ポーション、、、銅貨5枚
小さな立て看板を完成させた俺は、ずらりと並べたポーション達の前に置いて、生まれて初めての露店を開始した。
予想通り、人通りは徐々に増え始め、露店の数も増えていく。
ただ、周りの露店には、明らかに客がいるのだが、俺の前は皆、ほぼ素通りだった。
……なんでなんやで。
……分からん。
俺は、周りの露店を観察してみることにした。
すると、1つあることに気がついた。
露天商と客が、親しい感じで朝の挨拶を交わしていることが多い。
つまり、「顔見知り」であるということだ。
……なるほど、客がいる露店というのは、一定のお客さんから既に信用を得ているということか。
そりゃ、同じ値段ならば、ポッと出の見知らぬ露店から買うよりも、顔なじみの店から買った方が、安心安全だよな。
分かる。
でも、露店の新人だからとはいえ、誰かに買ってもらわなければ、その信頼関係も始まらないわけでして。
俺は、あぐらをかきつつ、顎先を右手で掴みながら首を傾げた。
ふーむ。
となれば、まずは、顔を売ることから始めてみるか。
俺は、元の世界に居た時、真夜中に寝苦しくて目が覚めた時などに、気を紛らわせるために見ていた深夜テレビの通販番組を思い返した。
少しばかり過剰な演出ではあったが、あれが大好きというファンもいるらしいし、売上も大したものらしい。
きっと、大事な要素が詰まっているのだろう、色々とマネしてみるか。
俺は黒板を手元に戻すと、書き換えた。
************************
E級ポーション、、、銅貨4枚!!
更にF級を【1本サービス!!】
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これでも、店に卸すよりかは、1本につき銅貨1枚が余分に儲かる。
そして、その効果たるや、バツグンだった。
俺の露店前に、一気に6名ほどの客が足を止めた。
一人の軽装備な青年が声をかけてくる。
「なあ、露店の兄さん。この看板に書いてあることは本当かい?」
「本当ですよ」
軽装備な青年は膝を折ると、俺の手作りE級ポーションとF級ポーションを、手に持っては全ての色味を確認していった。
「悪くない……というか、むしろ良いな。どれも安定感のある色味をしている。しかも、E級は相場より銅貨1枚お得で、更にF級まで付けてくれるとなると、実質、銅貨2枚の得か。兄さん、良いのかい、こんな大盤振る舞いで」
「かまいやしませんよ。ただ、露店を始めたばかりでして、今後ともごひいきにしてもらえると助かります」
「ああ……なるほど、そういうことかい。なら、試しに買わせてもらおうか」
軽装備の青年は、手持ちのギルドカードから銅貨4枚を取り出すと、俺に渡してくれる。
「まいどー」
俺が、E級1本と、おまけのF級1本を付けて、軽装備の青年に手渡した瞬間、場が少しだけざわついた。
「おいおい、本当みたいだな」
「なにか、裏があるかと思ったんだが……」
「E級を買うには高いが、F級も付いてくるし、そもそも、E級自体が相場よりも激安だし、うーん、先のことを考えて、ここで買って保険のために置いておくのもありか?」
通販番組を見て悩んでいるような視聴者みたいに、皆がソワソワし始めたので、俺は声をかけることにした。
もちろん、通販番組らしい台詞で。
「今朝のみ限定の、大特価E級ポーションですよー。販売相場、銅貨5枚の所を、何と今だけ4枚でお売りしていますよ! しかも、1つお買い上げにつき、F級をおひとつプレゼント! 限定販売なので、残りはあと4本ですよー!」
俺のかけ声に、露店前の客達の目つきが鋭いものへと変わると、俺の販売商品達は一瞬で完売となったのだった。
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