Defense 完結 2期へ続く

パンチマン

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トヨの戦い

エンペラー.2

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ロレーヌ
とある喫茶店にて


アレアは昼の余った時間を利用して、コッソリと宮殿を抜け出して幼い頃から良く行っていた喫茶店に訪れた。裏路地にポツンと構えるこの店はいつも閑散としていて、その閑散ぶりといえば、お客さんは日中は誰もいない程だ。
中に入るとレトロなクラシックが一人流れている。
アレアはカウンターの席に腰掛けた。


「すみませーん」


すると奥の方から杖をつきながら店主らしき高齢の婆さんが出てきた。


「ハイハイ、注文はどうなされますか。コーヒーは一杯安めに提供してますよ。」


婆さんはアレアの顔も見ずに、ヨレヨレの声で棒読みした。


「ビットリオさん。私よ。アレア。」


老婆の名はビットリオ。後数年経てば90を迎える。


「ああ、アレアね。」


それを聞いてビットリオは微笑んだ。
ビットリオは目を悪くしていて丸い老眼鏡をしていた。


「アレア、こんな昼間にどうしたんだい。」


ビットリオは国王であるアレアに最もな質問をした。


「実はね、おばさまに相談したい事があって」


「私でよければ乗ってあげるよ。」


ビットリオはシワシワの顔に笑みを浮かべて嬉しそうに答えた。


「おばさま、誰にも言わない?」


「もちろんよ。」


「簡単に言うとね、私、国王になったの。」


この時アレアが国王になった事など世界はおろか、自国民でさえ知られていなかった。


「そうかい。」


アレアの予想を反してビットリオの反応はとても平然としていた。


「驚かないの?」


アレアがそう聞くと、ビットリオは声高に笑った。


「何を驚く事があるかい、私はいずれあなたが国王になる事くらい予測できていたわ。」


「ど、どういうこと?」


笑うビットリオに連られて笑いながらアレアは、また尋ねた。


「それはね、あなたのお爺さんがそう言っていたからよ。」


アレアは不思議におもった。


「あなたのお爺さんは、ずっと言ってたのよ。アレアは周りから愛される子だ。その分周りから色んな事を教われるから良い国王になる素質があるって。」


ビットリオはふつうに喋っているが、アレアにはさっぱり理解できなかった。


「で、でもおばさま。私の祖父はいま病で倒れて、父上や母上は今、日国にいるの。だから私はあくまでも臨時の国王なの。それに世界は私が国王になった事も知らないし、このセグワの人々も知らないのよ?」


「臨時の国王でも、そうで無くても今の国王はあなたよ。」


ビットリオはアレアの手を握り、優しく声を掛けた。


「時が時だし、不安に思う事もあるでしょ?」


ビットリオは優しく語りかけるようにアレアに話しかける。


「おばさま....」


「さぁ、早く相談事してちょうだい。」


ビットリオは先程とはまた違う笑みを浮かべた。


「あのね、今、この国は大国と戦争してるでしょ?それで兵隊さん私は動かさなきゃいけないの。私は会議室の椅子に座って兵隊さんに命令を出したらそれで済むんだけど、その兵隊さんは私の命令に従って戦うのよ。その兵隊さんにも家族とか親友とかも、きっといるわ。今も私の命令に従って戦い、戦死していく兵隊さんの事を考えると、辛くて辛くて....私、人殺しをしているんじゃないのかって思うの。おばさま、私に国王だった祖父の代わりが務まるのかしら。」


ビットリオは手を優しく握ったまま穏やかにアレアの話を聞いていた。アレアが話し終えるとそっと肩に手をやった。


「いい?アレア。このセグワは遥か古来より何度も他国の攻撃を受けて来たのよ。でもその度にこの国は団結して他国を追い払って来たの。あなたの祖父も今のあなたと同じような境遇で戦っていたんでしょう。でもその中でもあなたの祖父は素晴らしい国王だったと思うわ。
 今でも忘れない。私がまだ15だった時、世界は今と同じような戦争下にあったの。私がね父と港に行って海釣りをしてたら漂流物がたくさん流れて来たの。それは何だったと思う?」


ビットリオは目を閉じて思い出しつつアレアに聞いた。


「分からないわおばさま。」


「人よ。」


「人って....」


「もちろん生きた人ではないわ、それにセグワ人でもない。死んだ人。遺体よ。それも、当時セグワを攻撃していた国の。私はその光景を今でも覚えてる。でもね、私はその事よりもその後の事の方がより鮮明に覚えているわ。」


ビットリオは天を見上げて続けた。


「その港には水兵さんがたくさんいたの。もちろんその水兵さんたちもその遺体を見つけていたわ。すると彼らは遺体を一つ残らず引き上げたの。数十分したら沢山の棺桶が積まれたトラックがやって来て、綺麗な制服をきた兵隊さんが、その遺体を棺桶に一つ一つ詰めて行っていたの。それも敬礼しながら。あとで聞いたのだけど、当時の国王がそのようにするよう命令したらしいの。」


「その国王って?」


「それが貴方のお爺さんよ。当時の戦時中のセグワは今と同じで中立国であって、何度も何度も他国から攻撃を受けていたの。けれども攻撃してくる国の兵隊さんの亡骸に対してそういう行動をとった。あなたのお爺さんは本当に素晴らしいわ。その行動は世界的にも評価されたしね。」


アレアは驚きを隠せ無かった。
ビットリオは続ける


「あなたにもその血が流れている。人に対する情。国に対する情。そして死者に対する情。時代が時代、まさにその通りよ。不安に思わない人なんていない。でもねアレア、貴方は一人なんかじゃない。辛い時は周りを見てごらんなさい。」


アレアの目からは自然と涙が出ていた。


「おばさま...でも、敵の国の力はとても強くて、私たちセグワだけでは歯が立たないの。いたずらに兵隊さんを死なすのは私、嫌なの。」


「言いそびれだけど、アレア、セグワは孤独じゃない。南には仲良しの日国がいるし、東にも一国。西にも北にも一国ずつ。それらの国は、セグワと同じような運命を辿ってきたのよ。大丈夫。あなたが必死に訴えかければ必ず助けてくれる。国民も必ず団結してあなたに力を貸してくれる。だからアレア、自分を信じて。」


「本当に?」


ビットリオは涙をこぼすアレアをじっと見つめた。


ずっと、ずっと、ずっと。

そして一言。

「逆境にある者こそ、世間は救おうとしてくれるわ。」


アレアは涙を拭い、ビットリオの手を握り返した。


「おばさま。ありがとう。私頑張るわ。絶対、この国を守るから!約束よ。」


アレアは充血した目をしていたが笑った。
ビットリオはニッコリと笑みを浮かべて玄関へと向かう。


「じゃあ!おばさま。スッキリしたわ!また来るかもしれないけど...今日はありがとうございました!」


アレアはペコリと一礼した。
ビットリオは、アレアが角を曲がり見えなくなるまで手を振っていた。


「若いっていいね~」


























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