Defense 完結 2期へ続く

パンチマン

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ハーグスの死闘

俺は誰だ

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「立て!」


その一声で輸送機内の全ての隊員が立った。


「上森、気を抜いて行け。」


「はい!」


空挺団員の上森は無意識のうちに89式を力強く握っていて目はいつも以上に開いていた。


「降下3分前ー!」


列を詰めてフックをかけた。後部のハッチが開かれ、中に強い風が吹き込んで来た。上森は窓から下の戦場を見下ろした。そこの部分だけ地形が変わり禍々しく感じられる。


「降下よーい!」


その言葉の直後に機内のランプが緑に変わった。


「降下!降下!」


一斉に隊員がハッチから降りて行く。上森も駆け出して機体のハッチから勢い良く飛び出した。すぐにパラシュートが開き降りて行く。それに気づいた敵は空に向けて迎撃射撃を開始した。上の輸送機付近に硝煙が立ち込め、体のすぐ近くを弾丸がかすめて飛んで行った。降下途中で撃ち抜かれてグッタリとしたまま降下している者や反対にメインパラシュートを撃たれ、更に予備のパラシュートも撃たれて叫びながら落ちて行く者もいた。地面まではまだ距離があるように感じられた。上森は降下中にもかかわらず89式を取り出して単発で片手で狙いをつけて撃ち返した。それに同調するように他の隊員らも撃ち始めた。その様子は地上からも見て取れた。


「裏だ。裏側に回り込むように着地しろ」


敵弾をかわしながら修正した。やがて地表に近づき発砲音も大きくなっていった。


空挺部隊が降下していくのがハッキリと見える。敵の大半はすっかり空挺団に釘付けになって俺たちを警戒している奴らは少なかった。
 空挺隊員が敵陣の裏側にたどり着いたその瞬間、あの笛が一斉に鳴り渡った。俺は拳銃とナイフを両手に持って一気に、狙い定めていた正面の敵に襲いかかった。必死に抵抗する敵兵の上に乗り首元目掛けて一突きした。瞬く間に動かなくなって何かをボソボソとその兵士は言っていた気がしたが次の瞬間には俺は頭を撃っていた。味方部隊は損失なく近づいていたため、春よりも激しい白兵戦となった。気がつく頃にはナイフは暗褐色の血で塗られ、グリップには肉片まで付いていた。


「助けてくれ!」


俺の右側でナイフを刺されそうになっている味方兵士がいた。


「アンディ!行け!」


敵の首を絞めながらケインが俺に言った。俺は全力で走って後ろ側から敵兵の後頭部を蹴り、うつ伏せに倒れた敵を押さえつけた。その衝撃で兵士のヘルメットが転がり、俺は後頭部にゼロ距離で発砲した。ピストルに返り血が散った。思考する間も無く、本能のまま戦い続けた。そんな中、一瞬だけ我に返った。照明弾が打ち上げられ、ハッキリと周りが見えた。すぐ目の前で倒された兵士に大きめの岩を用いて殴り続ける光景や、胸ぐらを掴み顎や首元に何発も撃ち続ける兵士。まさに地獄だった。
 正面を見ると俺よりも年下っぽい若い青年兵士が震えながら俺と対峙していた。その兵士は叫びながらナイフを突き出して俺に突進してきた。

俺は多分俺の知る俺じゃなかった。

その青年の右に出て突進を交わして振り向いてきたその隙に左手でその兵士の頰にナイフを突き刺していた。急に血の気が引く感じがしてそのまま俺は左手を離した。悲鳴をあげながら顔を抑えてのたうち回る青年が俺の足元に居た。顔全体が真っ赤に染め上がった青年は俺を見ながら殺さないでくれと目で訴えかけて来ていた。体が震えて来た。俺は頰だけなら死なないだろうと思い、最初はその青年兵を見逃そうと思った。だが、そう思った直後に戦争で死んだ戦友やあの少女の顔が浮かんで来た。そう思うと自尊心が許さなかった。俺は仰向けの姿勢で顔を抑え怯えながら後ずさりして行く青年兵の左肩を足で強く押さえつけた。言葉にならない叫びで俺の左足を彼は掴んだ。俺は足を掴んでいる彼の手をピストルで撃ち抜いた。力の入ってない彼の手はただただ痙攣していた。恐怖が最高潮に達したその兵士は涙を流していた。辛かった。ここまで来ても尚、俺の理性はまともだった。俺は叫びながら何発も彼に向かって撃ち続けた。弾が切れるまで何度も何度も。憎しみがあった訳ではない。だが言葉にならない感情がそうさせたのかもしれない。弾が切れたのに引き金を引き続けていて気がついたのは彼の光を失った目を見てからだった。俺はその兵士の頰に刺さったナイフを引き抜いて辺りを見回した。まだ白兵戦は続けられている。


「リスト爆薬を仕掛けろ!行け!」


ケインの指示でリストが1人で敵塹壕内に入って行くのが見えた。俺はリストと合流して塹壕内を指定された場所に向かって走った。


「ここだ。守ってくれ!」


リストが大砲陣地の弾薬庫に爆薬を仕掛け始めた。前線からそう遠くない場所だ。付近には沢山の死体や出血に苦しみ倒れた兵士が沢山いた。その中で俺の目の前の足場に倒れ、腹部を抑える兵士がいた。その兵士を見ていると不意に目があった。その兵士は呻きながら俺をじっと見ている。すると突然死角から不意に敵の衛生兵が飛び出してきた。


「大丈夫だ。もう心配するな。」


衛生兵はそう言いながら治療を始めた。刺そうと思うものなら一突きで行ける距離だった。だが中々手が出せなかった。


「後少しだ。」


後ろからある男の声がした。

そうだ。俺はリストを守らなければならない。俺は俺は

悩んだ末、俺は後ろからその兵士を刺した。衛生兵はそのまま倒れて動かなくなった。


「完了だ!行くぞ!」


リストが駆け出そうとしていたが俺は動くことが出来ず、自分が殺した人間のもつ不思議な引力に引きつけられていた。


「何やってんだ!行くぞ!」


リストがそう言うと俺の腕を引っ張りながらきた道を引き返し始めた。


「お前たち行くな!」


正面からケインとツバルが激しく息を切らしながらやって来た。後ろから2人の日国兵士もやって来た。彼らの戦闘服も血で汚れていた。


「前線は壊滅だ。我々は孤立してる」


「上森!後ろを守れ。」


そう言われるとその日国兵士は最初から塗装されていたかのように赤くなった彼らの銃を構えた。着剣されていた銃剣は折れていた。


「奴ら追って来ています!」


俺たちは敵に追い詰められ始めた。さっき来た道をまた戻り始める。


「分隊長!弾薬庫に近いです!爆発に巻き込まれます!」


リストがケインに言った。決断の余地は無かった。敵の声や足音が近くに聞こえ始めて来た。ジリジリと下がって行く。
 その瞬間、後ろからもの凄い轟音と熱風が俺たちを襲った。勢いよく飛ばされ俺は壁に打ち付けられた。視界がボンヤリとするなかで、あの衛生兵が見えた。俺たちを発見した敵兵士の声が聞こえて来た。何か無線らしき物をいじりながら喋り日国の兵士の手の当たりで何かしている。その兵士が俺の元にもやって来た。手荒にうつ伏せにされ、手を後ろに組まされて結束バンドらしきもので手を括られた。戦闘服の首元を掴まれて強引に立たされた。まだ視界が晴れない。塹壕の奥へ奥へと向かわされ、塹壕を抜けたら夜が徐々に明け始め、空が明るくなってきたのがうっすらと分かった。銃床で押されながらそこから更に歩かされ、トラックが停められているのが見えた。視界は治っていた。
 トラックの後ろ側に座らされた。処刑されるのだろうなと覚悟した。


「私はお前らをここで撃ち殺して土に埋めてやりたい気分だ。だが上層部の命令でそれは禁じられている。だからこうして収容所に送っているのだ」


低い声の敵兵が俺たちの後ろからそれだけ言ってきて、そのしばらく後に立たされた。敵兵士数人が俺たちの近くに来た。すると勢いよく顔を殴ってきたのだ。頭がクラクラした。だが容赦なく兵士は俺たちを殴り続けた。しまいには俺は多分気を失っていた。



そして目が覚めると俺は収容所の檻の中に収監されていた。










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