モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~

ボルトコボルト

文字の大きさ
3 / 50

第3話 勇者1

しおりを挟む
転生前に20歳だったソウタが、近所の女の子から「あーそーぼー」と誘われて、ソウタの家の庭でおままごとをしていた。

ソウタは、小学生まではそれなりに友達もいたし、幼児となら緊張せず普通に接する事が出来る。

子供に合わせて遊んであげてる感覚だ。お母さんが用事があって出掛ける事があり、保育所的な感じで遊んでいる。

女の子の名前はナナミだ。ソウタより一つ歳が下。

「ただいまぁ」
自宅へ帰るお父さんの演技のソウタ。

「あなた、お帰りなさい。あら、お願いしていた食材は買って来なかったのね。夕飯を作るのに一品少なくなるわよ」
お母さんの演技のナナミ。

「買い物しようと町まで出掛けたが、財布を忘れてしまった様だ。愉快だろう。みんなも小犬も笑ってたよー」

(ルールルルルー♪ 今日も良い天気ー……♪)

心の中で歌い出すソウタ。

「ナニソレ?」
不思議そうな顔のナナミ。

その時、ソウタはイヤな感じがして、背後を見ると、隣の家との仕切りの塀の隙間からジッとこちらを見ている奴がいた。

(勇者だ! 確か俺と同じ年で、名前はユウキだったかな?)

「ユウキくん、そんなところで見ていないで、こっちに来たらどうだい。一緒におままごとをしようぜ」

ソウタはユウキに呼びかけた。

この世界では同じ年齢とはいえ、転生前は20歳だったソウタは、勇者ユウキを幼児としか認識出来ない。

「はぁ? てめぇ、何で上から目線なんだぁ。俺を舐めてんのかぁ」

木剣を右手に持ってソウタの家の庭に入って来た勇者ユウキ。

(随分態度が悪いなぁ。このガキ)

「まあ、良いじゃないか。それより俺達を見てた様だけど、おままごとに交ざりたいんじゃないの?」

「誰がそんな女の遊びをするかぁ! お前も男なら剣の練習をしろ」

(青い猫型ロボットのマンガに出て来る、ジャイ〇ンの隠れ趣味も、おままごとなんだけどなぁ)

「剣の練習はやりたくないなぁ。戦うのは苦手なんだ。何よりも今はナナミと遊んでいるしね」

「はぁ? そんなガキ放っておけよ! 俺が特別に剣の使い方を教えてやる」

ユウキは俺に木剣を一つ投げてきた。

「だから、やらないってば」

ソウタは木剣をキャッチするが、直ぐにユウキに投げ返した。

ソウタとユウキのやり取りを見ていたナナミが、ソウタとユウキの間に割り込んできた。

「ちょっとぉ、アタシがソウタと遊んでいるんだから邪魔をしないでよ」

「はぁ? 退け!」
「きゃあ!」

ユウキはナナミの肩を押すと、ナナミは倒れた。

「えーん、えーん」
泣き出すナナミ。

「うるせい!」
ユウキはナナミに向かって木剣を振り上げた。

「危ない!」

ソウタは透かさずナナミを庇って前に出た。

ガツン!

ユウキの木剣がソウタの額に当たり、ソウタの額が割れ血が飛び散って倒れた。

「ちっ、寸止めだったのに、急に出て来るから当たっちまったじゃねぇか。俺は悪くねえからな。NPC・・・の癖に生意気なんだよ。」

ソウタは薄れ行く意識の中で、ユウキの捨て台詞を聞いた。

「ソウタ! 大丈夫? しっかりしてぇ。えーん、えーん」

泣きながらソウタを抱き締めるナナミ、顔をしかめて自分の家に戻るユウキ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

処理中です...