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第7話 勇者5
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オークの斧が勇者ユウキを襲う。
獣とソウタに気を取られていたユウキは、オークの攻撃を躱すのが遅れた為、普通は余裕で躱せる攻撃を必死に避けた事から、体勢を崩し転がる様に躱す事になった。
「ちっ、ソウタぁ! 覚えてろぉ!」
オークはここぞとばかりに斧を何度も振り下ろし、払い、斬り上げる。
ソウタはユウキとオークが戦ってる隙に逃げ出した。無我夢中で村に向かって走るソウタ。
ガサガサ……。
その足音に誘われたのか、ゴブリンが横から現れる。
「ギギギ、グガァ!」
ゴブリンは錆びたショートソードを持っており、ソウタを襲う。スライムにさえ負けるソウタはゴブリンを倒す事は出来ない。
(ヤバい!)
必死にゴブリンの攻撃を躱すソウタ。
その時、ソウタの背後から獣がゴブリンの首に食らいついた。首から血が飛び散り倒れるゴブリン。
(ユウキから助けてくれた獣だ!)
「助けてくれたんだね。ありがとう」
獣はソウタの言葉が分かるのか、ソウタを見て微笑んだ様だ。
ソウタは獣と一緒に村に戻った。
そして、錬金術師のおばばの元へ行き、低ランクの回復薬を貰って、獣に振り掛けると、獣の血は止まり多少元気になった様だ。
錬金術師のおばばに今日の出来事を話すと、錬金術師のおばばは村長に報告した方が良いと言うので、ソウタはおばばと一緒に村長の家に行った。
ソウタはユウキとの一部始終を村長に報告した。母親の替わりに働く真面目なソウタの話を村長は信じる。しかも相手は自分の秘蔵の剣を盗んだ、村中の鼻つまみ者のユウキだ。
村長は村中にユウキとソウタの出来事を周知するとともに、オークがユウキを殺して村を襲う最悪の自体を想定し、村の成人男子に武器を準備させて、村の入口で待ち構えた。
そこに血まみれのユウキが現れた。息を切らせて、疲れた様子だが、目は鋭い。
「ユウキ、オークを倒したのか?」
村長がユウキに問い掛ける。
「倒したぞ」
ポケットから血塗れのオークの魔石を出して掲げる、自慢気のユウキ。
ユウキは村を襲うであろう災害と言うべきオークを倒した事により、英雄として村のみんなから称賛をもって、迎え入れられると思い込んでいた。オークは、大人だって1人では倒せないモンスターなのだ。
「ふむう、オークを倒してくれたのは有難いが、ソウタを無理矢理連れて行って、囮にしようとしたらしいじゃないか?」
村人達が思ってた反応と違う事に戸惑うユウキ。
「はぁ? オークを倒す為だぜ。囮で1人くらい犠牲になってもしょうがねえだろう!」
「それが、お主の考えか?」
「そうだ! この弱肉強食の世界で村が生き残る為には、犠牲は必要なんだよぉ!」
「進んで囮になる者は良いが、戦えず嫌がる少年を無理矢理囮にして殺そうとする事は看過出来ん」
「はぁ? じゃあてめえがオークを倒してみろよ!」
パン!
ユウキの父がユウキの頬を、泣きながら平手打ちした。
「俺はユウキにそんな事を教えていないぞ! いつからお前はそ、そんな考えになっちまったんだ……。」
いつもユウキの為に、村のみんなに謝ってくれた両親が泣きながら、しかし決意の表情をしているのを見て、ユウキは目を見開き言葉をなくす。
「ユウキ、お主を村から追放する。出て行け!」
村長の叫びにユウキは一瞬両親を見るが、両親がユウキを庇う様子が微塵も無い事を察し、あきらめの表情で背中を向けた。
「ちっ、村から出るイベントだったか、想定よりちょっと早いがしょうがねえ」
ぶつぶつ独り言を言いながら歩く、ユウキの頬には涙が流れていた。
獣とソウタに気を取られていたユウキは、オークの攻撃を躱すのが遅れた為、普通は余裕で躱せる攻撃を必死に避けた事から、体勢を崩し転がる様に躱す事になった。
「ちっ、ソウタぁ! 覚えてろぉ!」
オークはここぞとばかりに斧を何度も振り下ろし、払い、斬り上げる。
ソウタはユウキとオークが戦ってる隙に逃げ出した。無我夢中で村に向かって走るソウタ。
ガサガサ……。
その足音に誘われたのか、ゴブリンが横から現れる。
「ギギギ、グガァ!」
ゴブリンは錆びたショートソードを持っており、ソウタを襲う。スライムにさえ負けるソウタはゴブリンを倒す事は出来ない。
(ヤバい!)
必死にゴブリンの攻撃を躱すソウタ。
その時、ソウタの背後から獣がゴブリンの首に食らいついた。首から血が飛び散り倒れるゴブリン。
(ユウキから助けてくれた獣だ!)
「助けてくれたんだね。ありがとう」
獣はソウタの言葉が分かるのか、ソウタを見て微笑んだ様だ。
ソウタは獣と一緒に村に戻った。
そして、錬金術師のおばばの元へ行き、低ランクの回復薬を貰って、獣に振り掛けると、獣の血は止まり多少元気になった様だ。
錬金術師のおばばに今日の出来事を話すと、錬金術師のおばばは村長に報告した方が良いと言うので、ソウタはおばばと一緒に村長の家に行った。
ソウタはユウキとの一部始終を村長に報告した。母親の替わりに働く真面目なソウタの話を村長は信じる。しかも相手は自分の秘蔵の剣を盗んだ、村中の鼻つまみ者のユウキだ。
村長は村中にユウキとソウタの出来事を周知するとともに、オークがユウキを殺して村を襲う最悪の自体を想定し、村の成人男子に武器を準備させて、村の入口で待ち構えた。
そこに血まみれのユウキが現れた。息を切らせて、疲れた様子だが、目は鋭い。
「ユウキ、オークを倒したのか?」
村長がユウキに問い掛ける。
「倒したぞ」
ポケットから血塗れのオークの魔石を出して掲げる、自慢気のユウキ。
ユウキは村を襲うであろう災害と言うべきオークを倒した事により、英雄として村のみんなから称賛をもって、迎え入れられると思い込んでいた。オークは、大人だって1人では倒せないモンスターなのだ。
「ふむう、オークを倒してくれたのは有難いが、ソウタを無理矢理連れて行って、囮にしようとしたらしいじゃないか?」
村人達が思ってた反応と違う事に戸惑うユウキ。
「はぁ? オークを倒す為だぜ。囮で1人くらい犠牲になってもしょうがねえだろう!」
「それが、お主の考えか?」
「そうだ! この弱肉強食の世界で村が生き残る為には、犠牲は必要なんだよぉ!」
「進んで囮になる者は良いが、戦えず嫌がる少年を無理矢理囮にして殺そうとする事は看過出来ん」
「はぁ? じゃあてめえがオークを倒してみろよ!」
パン!
ユウキの父がユウキの頬を、泣きながら平手打ちした。
「俺はユウキにそんな事を教えていないぞ! いつからお前はそ、そんな考えになっちまったんだ……。」
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「ユウキ、お主を村から追放する。出て行け!」
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ぶつぶつ独り言を言いながら歩く、ユウキの頬には涙が流れていた。
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