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第28話 公開裁判4
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「さて、『狂鬼』の終身鉱山奴隷の代金に、受付嬢カマルカと冒険者達の罰金でも損害額には届かねえだろう。冒険者ギルドにも損害額を負担して貰おう」
領主ビーカル伯爵の言葉に、冒険者ギルドのギルド長コヤマザが応える。
「承知しました。職員の監督不行届があった事は否めません。甘んじてその罰を受けます」
「うむ、宜しい。そしてソウタ!」
「ひゃ、ひゃい?」
もう自分が無実だった事が明確になって、自分はもう関係ないと思ってたソウタは、急に自分の名前を呼ばれて驚く。
「こんな騒動になるまで、この都市の経済に貢献した人物を、把握出来ていなくて済まなかった。しかし、個人に任せるには大き過ぎる内容だ。先ずは2度とこの様な事が起きぬ様、ソウタを男爵に叙爵する」
「えっ?……」
ソウタ驚き声が出ない。
(男爵? 貴族になるって事?)
「恐悦至極に存じます」
とコエザがソウタの耳元で囁く。
「キョーエツシゴクに存じます」
辛うじて、言葉に出したソウタ。
「男爵!」
「マジかよぉ!」
「あの『草毟り』が男爵なんて……」
「おい、『草毟り』なんて言ったら不敬罪じゃねえか?」
「あっ! そ、そうだな。ソウタ男爵様と呼ばなくちゃ……」
ザワザワとざわめく観衆。
領主ビーカル伯爵は、続きを話す。
「うむ、男爵になればお主に粗相する輩も滅多には現れまい。領地無しの男爵だが、屋敷と報酬を後で渡すから、文官に詳細を確認するが良い。その上でな、これは俺からのお願いなのだが、お主と同じ採取士を育ててくれないか?」
「は、はぁ……」
「1人の男に任せるには、あまりにも影響が大き過ぎた。お主だって、旅行したり、病気になる事もあるだろう。お主が不在の時も、ある程度は経済に影響が無い様にしたい。初期費用は俺が持とうと思ってるが、商人ギルドや錬金術ギルドも一口噛みたいと思ってるだろう? なぁ?」
「おお! 勿論で御座います。我々に機会を与えていただき、感謝を申し上げます。是非商人ギルドも採取士……、採取士ギルド設立に協力させてください」
商人ギルド長ニーオヤが賛同すると。
「錬金術ギルドもソウタ殿……、ソウタ男爵様のお手伝いをさせてください」
錬金術ギルド長ヒンマルも同意する。
「ソウタ男爵様、採取士ギルド設立に関して、是非冒険者ギルドにも協力させてください」
冒険者ギルド長コヤマザも協力を申し出た。
「ふぇ? 採取士ギルド……」
(何だか、いきなり大袈裟になってんだけど? 俺にギルドなんて作れないよ)
こうして、ソウタは男爵になると共に、採取士ギルド設立を任されてしまったのであった。
「し、ししょー……」
コエザに涙目で訴えるソウタ。
(俺の手に余りるよー。コエザさん、手伝ってぇ)
コエザはボンブルの師匠で、ソウタの師匠では無いんだけどね。
「ははは、分かったのじゃ。手伝ってやるのじゃ」
コエザは優しい目でソウタを見る。
「えーとっ、私も採取士ギルドに移ろうかなぁー」
カモリナは小声で呟く。
領主ビーカル伯爵の言葉に、冒険者ギルドのギルド長コヤマザが応える。
「承知しました。職員の監督不行届があった事は否めません。甘んじてその罰を受けます」
「うむ、宜しい。そしてソウタ!」
「ひゃ、ひゃい?」
もう自分が無実だった事が明確になって、自分はもう関係ないと思ってたソウタは、急に自分の名前を呼ばれて驚く。
「こんな騒動になるまで、この都市の経済に貢献した人物を、把握出来ていなくて済まなかった。しかし、個人に任せるには大き過ぎる内容だ。先ずは2度とこの様な事が起きぬ様、ソウタを男爵に叙爵する」
「えっ?……」
ソウタ驚き声が出ない。
(男爵? 貴族になるって事?)
「恐悦至極に存じます」
とコエザがソウタの耳元で囁く。
「キョーエツシゴクに存じます」
辛うじて、言葉に出したソウタ。
「男爵!」
「マジかよぉ!」
「あの『草毟り』が男爵なんて……」
「おい、『草毟り』なんて言ったら不敬罪じゃねえか?」
「あっ! そ、そうだな。ソウタ男爵様と呼ばなくちゃ……」
ザワザワとざわめく観衆。
領主ビーカル伯爵は、続きを話す。
「うむ、男爵になればお主に粗相する輩も滅多には現れまい。領地無しの男爵だが、屋敷と報酬を後で渡すから、文官に詳細を確認するが良い。その上でな、これは俺からのお願いなのだが、お主と同じ採取士を育ててくれないか?」
「は、はぁ……」
「1人の男に任せるには、あまりにも影響が大き過ぎた。お主だって、旅行したり、病気になる事もあるだろう。お主が不在の時も、ある程度は経済に影響が無い様にしたい。初期費用は俺が持とうと思ってるが、商人ギルドや錬金術ギルドも一口噛みたいと思ってるだろう? なぁ?」
「おお! 勿論で御座います。我々に機会を与えていただき、感謝を申し上げます。是非商人ギルドも採取士……、採取士ギルド設立に協力させてください」
商人ギルド長ニーオヤが賛同すると。
「錬金術ギルドもソウタ殿……、ソウタ男爵様のお手伝いをさせてください」
錬金術ギルド長ヒンマルも同意する。
「ソウタ男爵様、採取士ギルド設立に関して、是非冒険者ギルドにも協力させてください」
冒険者ギルド長コヤマザも協力を申し出た。
「ふぇ? 採取士ギルド……」
(何だか、いきなり大袈裟になってんだけど? 俺にギルドなんて作れないよ)
こうして、ソウタは男爵になると共に、採取士ギルド設立を任されてしまったのであった。
「し、ししょー……」
コエザに涙目で訴えるソウタ。
(俺の手に余りるよー。コエザさん、手伝ってぇ)
コエザはボンブルの師匠で、ソウタの師匠では無いんだけどね。
「ははは、分かったのじゃ。手伝ってやるのじゃ」
コエザは優しい目でソウタを見る。
「えーとっ、私も採取士ギルドに移ろうかなぁー」
カモリナは小声で呟く。
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