49 / 50
第49話 リーキヤ公爵
しおりを挟む
ソウタの住んでいる国は、ヤイムラ王国と言う。
周りを他の国に囲まれている小国で、その中の幾つかの国と戦争中だ。
ヤコイケ印ので回復薬が、上品質で薬効が優れていることが知られると、国軍でも正式に採用された。
優れた回復薬により、無理が利く様になると戦線が拡大した。
その為、ヤコイケ印の回復薬は更に売り上げを伸ばす。
その為、ヤコイケとビーカルは空前の好景気に湧いていた。
その様子を見て面白く無いのは、隣の領地の領主であるリーキヤ・ドバ公爵だ。
「冒険者上がりのビーカルめが……、ダンジョンの素材だけじゃ無く、回復薬にも手を出しおって、しかも大儲けじゃないか……」
側近のメアサ・ダアがリーキヤ公爵に話し掛ける。
「リーキヤ公爵、ビーカルはどこの派閥にも入っていない、平民上がりの田舎領主、やりようは幾らでもあります。ビーカル領を奪い取りましょう。イッヒッヒ」
「お、メアサ、何か良い手があるのか?」
「良い案があります、イッヒッヒ」
「よし、ビーカルの領地が手に入った暁には、お主も男爵に叙爵してやろう。ぐははは」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
数ヶ月後、ソウタにビーカル伯爵から火急の用事で召喚の要請があり、居城を訪れたソウタとコエザ。
「ビーカル伯爵、火急の用事とは、如何されましたのじゃ?」
コエザがビーカル伯爵に尋ねる。
「おう、リーキヤ公爵に嵌められたよ。転封を命じられた……」
「テンポウ?」
ソウタは意味が分からず首を傾げる。
「領地替えの事じゃよ」
「え! 領地替え! そんな事があるの?」
(うはっ、折角領地を発展させたのに、領地替えを命じられたら、元も子もないじゃん)
「どうして、その様な事になったのじゃ?」
「形の上ではダンジョンの運営と、採取士ギルドの設立に伴う、上質の回復薬の開発と流通に対する褒美だが、裏を感じるな」
「で、どこに転封になったのじゃ」
「スギンビだ」
「辺境だのう」
「辺境さ、ダンジョンの運営のノウハウを活かして、辺境のモンスターから王国を守護すると共に、素材の採取で王国の発展に寄与してくれだとよ。領地の大きさは増えたが、ダンジョンと違って、防衛にも力を入れる必要がある厄介極まりないよ」
「ふむ、断れなかったのかのう」
「国王は良かれと思っているから、始末に負えんよ。褒美のつもりだからな。叙爵付きの転封だ。断れる訳が無い」
「叙爵? 侯爵にでもなったか?」
「辺境伯だとよ。叙爵になるのか良く分からん王国初の爵位だ。侯爵相当と言ってるが、実質は侯爵と伯爵の間だろう。今とあまり変わらんよ」
「ふむ、現ビーカル領は誰の物になるのじゃ?」
「リーキヤ公爵だ。恐らくはリーキヤ公爵が裏で手を回したんだろうな」
「はぁ、王家にコネが無いと貴族は厳しいのう」
「全くだ、やってられん」
ソウタは、ビーカルとコエザの話を聞いているだけだったが、裏で色々政争があるんだろうと思うと、『貴族って面倒くせぇ』と思うのであった。
周りを他の国に囲まれている小国で、その中の幾つかの国と戦争中だ。
ヤコイケ印ので回復薬が、上品質で薬効が優れていることが知られると、国軍でも正式に採用された。
優れた回復薬により、無理が利く様になると戦線が拡大した。
その為、ヤコイケ印の回復薬は更に売り上げを伸ばす。
その為、ヤコイケとビーカルは空前の好景気に湧いていた。
その様子を見て面白く無いのは、隣の領地の領主であるリーキヤ・ドバ公爵だ。
「冒険者上がりのビーカルめが……、ダンジョンの素材だけじゃ無く、回復薬にも手を出しおって、しかも大儲けじゃないか……」
側近のメアサ・ダアがリーキヤ公爵に話し掛ける。
「リーキヤ公爵、ビーカルはどこの派閥にも入っていない、平民上がりの田舎領主、やりようは幾らでもあります。ビーカル領を奪い取りましょう。イッヒッヒ」
「お、メアサ、何か良い手があるのか?」
「良い案があります、イッヒッヒ」
「よし、ビーカルの領地が手に入った暁には、お主も男爵に叙爵してやろう。ぐははは」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
数ヶ月後、ソウタにビーカル伯爵から火急の用事で召喚の要請があり、居城を訪れたソウタとコエザ。
「ビーカル伯爵、火急の用事とは、如何されましたのじゃ?」
コエザがビーカル伯爵に尋ねる。
「おう、リーキヤ公爵に嵌められたよ。転封を命じられた……」
「テンポウ?」
ソウタは意味が分からず首を傾げる。
「領地替えの事じゃよ」
「え! 領地替え! そんな事があるの?」
(うはっ、折角領地を発展させたのに、領地替えを命じられたら、元も子もないじゃん)
「どうして、その様な事になったのじゃ?」
「形の上ではダンジョンの運営と、採取士ギルドの設立に伴う、上質の回復薬の開発と流通に対する褒美だが、裏を感じるな」
「で、どこに転封になったのじゃ」
「スギンビだ」
「辺境だのう」
「辺境さ、ダンジョンの運営のノウハウを活かして、辺境のモンスターから王国を守護すると共に、素材の採取で王国の発展に寄与してくれだとよ。領地の大きさは増えたが、ダンジョンと違って、防衛にも力を入れる必要がある厄介極まりないよ」
「ふむ、断れなかったのかのう」
「国王は良かれと思っているから、始末に負えんよ。褒美のつもりだからな。叙爵付きの転封だ。断れる訳が無い」
「叙爵? 侯爵にでもなったか?」
「辺境伯だとよ。叙爵になるのか良く分からん王国初の爵位だ。侯爵相当と言ってるが、実質は侯爵と伯爵の間だろう。今とあまり変わらんよ」
「ふむ、現ビーカル領は誰の物になるのじゃ?」
「リーキヤ公爵だ。恐らくはリーキヤ公爵が裏で手を回したんだろうな」
「はぁ、王家にコネが無いと貴族は厳しいのう」
「全くだ、やってられん」
ソウタは、ビーカルとコエザの話を聞いているだけだったが、裏で色々政争があるんだろうと思うと、『貴族って面倒くせぇ』と思うのであった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる