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第1話 起死回生の手

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ギーベル王国は大国ツドイ帝国と大国スフラン王国に挟まれた小国である。

ある日、ギーベル王国の東にあるツドイ帝国がギーベル王国に宣戦布告を行い、戦端が開かれた。

ギーベル王国からはドンギュー将軍が率いる国軍5万と臨時徴兵で招集した民間兵1万の合わせて6万の兵力を持って、10万のツドイ帝国を迎撃する。

「さあ、皆の者!ギーベル魂を見せてやるのだぁ!」
ドンギュー将軍の号令で出撃するギーベル軍。

しかし、ギーベル軍は敗戦に次ぐ敗戦により、ツドイ帝国に侵攻されて行くのであった。

王都ヤショーの王城の謁見の間にて、国王ヤオートがドンギュー将軍の報告を受ける。

「ドンギュー、なんと言う事だ。ツドイ帝国の侵攻は伏せげると、大見得を切った割りに連戦連敗では無いか」

「国王様、全てこの副将軍ウナカの失敗によるものです」
ドンギューは徐に、隣で跪くウナカを睨む。

「え? わ、私?」
慌てるウナカ。

ブシュッ!!

ドンギューは抜剣し、驚き戸惑うウナカの首を刎ねた。

「私には起死回生の手があります。次の戦いでは間違いなく勝利のご報告を致します」

成果は自分の物、失敗は部下の所為と、典型的な嫌いな上司№1である小太りのドンギュー将軍は、国王に跪き誓いながら舌を出す。

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王城の軍の施設にある会議室にて。

ギーベル王国の国教であるヤヨシノ教のヤマツ枢機卿と、会話するドンギュー将軍。

ヤマツ枢機卿とドンギュー将軍は、持ちつ持たれつの仲で、お互いの力でここまでの役職を手に入れた、一蓮托生の仲間である。

「ドンギュー、驚いたよ、起死回生の手があるとはな。頼むぞ、儂も首の皮一枚でなんとか持ち堪えているところなのだ」

「ん? 起死回生の手はお前にあるのだ。ヤマツ」

「はぁ? 何を言っとる。どう言う事だ」

「例の勇者召喚よ」

「最強の勇者を召喚する禁呪のアレか? 今回の敵は魔王ではないぞ。それに研究途中で改変中だ。成功するかは分からんが………」

「ツドイ帝国をぶっ潰して、ついでに更に東の魔王の王国に攻め込めばいいのだ」

「むむ。そう言う事かぁ。勇者召喚が成功して、勇者に上手く隷属の腕輪さえ付ける事が出来れば、何とかなるのかも知れんな」

「俺も首の皮一枚で辛うじて生き残っている状況だ。もう後が無いのよ」

「仕方あるまい。やるか!」

予てから研究していたヤマツ枢機卿と、4人の聖職者達は、鉄筋コンクリートで覆われた王城地下の大ホールで禁断の勇者召喚の儀式を行った。

巨大な魔方陣から巻き起こり拡散する黒い魔力が、魔方陣の中央に巻き戻り人型に姿を変えた。
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