鍵の勇者と錠の聖女

文字の大きさ
7 / 19

6日目 涙色の優しさ

しおりを挟む
 今日はまた村から夫婦が来るようで男がいて心配だから来るようだ。
 桟橋に行くと湖の向こうで色々と準備しているように見えるので手を振った。
 タカヒコは今日狩りに行ってついでに街まで降りて馬を買うそうだ。
 外の仕事もあるからと言っていたが、冒険者で馬を持つ人はかなり少ない。
 維持費がかかったり宿に馬が預けられることが少ないから、預けられる宿があったとしても割高になったりするので冒険者は馬車を活用することが多い。
 街からここまでは歩いて1日かかるだろう。
 


「あの男はどこなんですか?!図々しいわ!まだいるなんて!」

「私がいていいよって言ったのよ。」

「あの男シュリーの優しさに漬け込んで!本当嫌よまたシュリーちゃんが傷付くのは見たくないのよ。私……」

「ティアラさん……」



 ティアラは私のことが心配で泣き始めてしまった。
 私はティアラを抱きしめて頭を撫でる。

 数年前。
 聖女の血は不老不死の薬を作るのに必須だと、私の母が賊に殺されてしまった。
 私はそれから2年近く部屋にこもってしまって、その時に助けてくれたのがティアラのバーナのふたりだった。
 毎日どちらかが家まで様子を見に来て、暖かいお茶を出してくれた。
 その時の私は相当酷かったよう。
 そして、ティアラは私の事を愛してくれている。   

 なので、あの男がその賊と同じ人種で、私のことを殺そうとしているんではなかろうか?と心配でないてしまっているのだろう。
 優しい人だな。
 それに今は結界も貼ってあるので、私に害なそうとしているものには認識阻害が掛けられているので、見つけることはできないだろう。
 


「大丈夫です。もし私に害を及ぼそうとする人ならここが目えないようになっていますから。」

「え?どういうことですか??」

「これは3人だけの秘密ですからね?ここには特別な結界を貼ったんです。私の最近開発した秘術なので、そう何回も貼ることは出来ないので村に貼って欲しいと頼まれてもできません。おふたりは信用してますので教えるんですよ?」

「それなら安心だね!よかった……」



 秘術というのは嘘だ。
 この世には結界魔法という魔法も存在しないが、便宜上そう呼んでいるフシがある。
 そもそも、この世界には火水土風空と、聖の6の属性の魔法をいかに上手く組み合わせ混ぜるかでまた、どの魔素をどのくらい持っているかで、魔法使いの価値が決まる。
 例えば魔法て雷を起こすとしたら、水と風と空の魔素を使いたい分同じ量を持っていないと、魔法を発現させることが出来ない。
 雨を降らすとしたら空と水の魔法をある程度使えないと天気は操れない。
 


「補充分のお野菜だよ。」
 
「いつもありがとう。しかもこんなに沢山……2人の負担になってない?」

「何言ってるのよ。家族みたいなものなんだから。それに私たちはシュリーちゃんに助けられてるんだから……。」

「そうですか……」



 彼女達は大きく手を振って村に帰って行った。
 彼が帰ってくるのも早くても明日だろうとタカをくくっていた。
 まさかの今晩帰ってくるなんて。

 ナマズを捌いて皮をはいで塩をまぶしある程度抜き水分を抜いて燻しながら干す保存食を作る。
 できたものを屋根裏部屋に干していると、湖の向こうに馬ともう見なれた青年が立っていた。
 干し終わったので、急いで下に降りるとびちゃびちゃになりながら馬と泳いで渡っていた。
 それがおかしくて、急いで男の服を脱がして乾かしてあげる。
 この辺りは冷える。
 
 あたりはもう真っ暗になっていて、彼が荷物の中から酒を取り出す。
 葡萄酒だと聞いたので、キノコと捌いたナマズのアヒージョとナマズの腹の部分はムニエルに、ナマズの皮を唐揚げにして、あとはきゅうりとニンジンとポリポリサラダを作って合間にオーブンに入れたフランスパンを取り出したら完成!


「ナマズのフルコースですね!」

「こんなに早く帰ってくるなんて思いませんでしたよ。転移魔法でも使いましたか?」

「いえ。気合いで走りました。」

「……ぷっ。根性論は久しぶりに聞きました。お馬さんも増えたということで、明日向こう岸に橋をかけようと思います。手伝ってくれますか?」

「もちろんです!大船にのったつもりで頼ってください!」



 馬はよく食べるので湖の外のをもう少し広げ馬用の草を植えないとなと思った。
 明日は忙しくなりそうだ。



残り1091日
 


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

聖女の力に目覚めた私の、八年越しのただいま

藤 ゆみ子
恋愛
ある日、聖女の力に目覚めたローズは、勇者パーティーの一員として魔王討伐に行くことが決まる。 婚約者のエリオットからお守りにとペンダントを貰い、待っているからと言われるが、出発の前日に婚約を破棄するという書簡が届く。 エリオットへの想いに蓋をして魔王討伐へ行くが、ペンダントには秘密があった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...