鍵の勇者と錠の聖女

文字の大きさ
9 / 19

8日目 晴れやかモーニング

しおりを挟む
 昨日私は泣き疲れてしまって、そのままソファに寝ていたと思ったらベットに移動していた。
 彼が運んでくれたのだろう。

 朝起きいつも通りフレッシュハーブティーを作った。
 この家が好きだがいつもよりこの家が好きになった。
 朝露が輝き、時々魚が跳ねる音がした。
 今度地下に畑を作ろうと決めた。

 朝ごはんはシンプルにナマズのムニエルと、じゃがいものポタージュ、トマトソースとチーズだけのピザ風パンに、サラダ2種。
 湖の外を見ると丸太になった木が積まれている。
 枝なんかもきって仕分けされている…、というか誰かが仕分けをしていた。
 急いでその者の元に向かうと、タカヒコだった。



「おはようよく寝れたかな?」

「はい、とっても…ですが、これは?」

「もう少しで終わるので、やってしまおうかと思いまして…」

「もう少しで終わるようには思えませんが…」

「あれ?そうですか?…本当だ…」

「ふふふ、変な人、ご飯出来ましたよ?」

「直ぐに行きます。」
 


 机を拭いて料理を用意して、ホットハーブティを入れて机に持っていくと同時にタカヒコは席に着いた。
 ふとタカヒコの手が見えると手は真っ赤に擦りむけていた。



「これ!?木で?」

「見つかってしまいましたか、」

「見えてください。」



 タカヒコの両手を優しく持ち魔力を高めて、治癒のイメージをする。
 こんなことになるなら、頼まなきゃ良かったかな?私自身が淡く光だし、魔力が高まったので「ヒール」を使う。



「なんだこれ?」

「ヒールですけど?」

「いや違う。ヒールの上位互換だね、これは。ヒールとなにかの効果がある。」

「とりあえず、ご飯にしましょう?」

「そう、だな。」



 私は聖女だ。
 聖女とは治癒の技で穢れを払い勇者に力を与える存在。
 彼がヒールの上位互換と言ったということは彼は勇者だということ、彼には魔王を倒すという使命があるはず。
 この家から連れ出されてしまうかもしれない…。
 食事をとるにも、とても重い空気で、その重い空気を破ったのはタカヒコだった。



「シュリーさんは聖女様なんですね。」

「………えぇ。」

「俺は幸せですね。」

「え?」

「シュリーさんを幸せにできるなんて。」

「どういうこと?」

「俺は運命というのもは『魔王』だと思っています。俺はそれを殺します。そうすれば貴方が俺と結婚してくれると言うなら。俺はそれを必ず果たします。今までの繰り返しの人生で魔王を倒したことは無かったんじゃないですか?」

「そういえば、……そうですね。」

「なら俺があなたの呪縛を解きますから結婚してください。」

「わかったわ。期待してるわ。」

「大船に乗ったつもりでいてください。俺のお姫様。」

「お姫様って…大袈裟ね。」

 
 
 ご飯を食べて昨日の途中だった橋を完成させて、
 木を丸太にしていたらあっという間に時間はすぎて夜になった。
 
 タカヒコが言っていた肉じゃがというものを作ってみた。
 醤油というち調味料がないので、似た豆を発酵させて作った調味料で作ってみたらとても喜んで食べてくれた。
 いつかはもっと美味しく作ると言ったらこの肉じゃががいいと言ってくれた。
 とてもいい日だった。



「明後日から1週間程でかけることにする。」

「わかったわ。」



 寂しいななんて口に出来ないけど、俯くと頬を撫でられた。
 私か首を傾げると、今度は頭を撫でてくれた。



「そんな悲しい顔しないで?大丈夫だ。ここから2日程ののダンジョンで、魔王の手がかりが見つかった。俺が行かないといけないんだ。」

「わかってる。サリマのダンジョンだよね。私もできる限りのものを渡すわ。何度も同じ人生の繰り返しをしているの。大体どこに何があるかなんてわかるから。」
 
「ありがとう。………え?じゃあ魔王の手がかりがどこにあるか全部知っているのか?」

「ええ知っているわよ?」



 タカヒコは頭を抱えてしまった。
 あ、そっか、魔王の手がかりの場所全部教えてあげればいいのよね?よぉし頑張っちゃうぞ!
 


残り1089日
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

聖女の力に目覚めた私の、八年越しのただいま

藤 ゆみ子
恋愛
ある日、聖女の力に目覚めたローズは、勇者パーティーの一員として魔王討伐に行くことが決まる。 婚約者のエリオットからお守りにとペンダントを貰い、待っているからと言われるが、出発の前日に婚約を破棄するという書簡が届く。 エリオットへの想いに蓋をして魔王討伐へ行くが、ペンダントには秘密があった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...