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気がついたら、目の前にリズさんの顔がありました。
「アリス様、気がつかれたのですね」
リズさんの目は赤くなっていました。泣いていたのでしょう。私は何が何だかわからず、とりあえず起きあがろうとしました。
「ダメです」
リズさんに肩を抑えられ、私はまた横たわりました。喉がカラカラで声を出そうとしたのですが、出ませんでした。リズさんが水を飲ませてくれます。
「あれから1週間経ったのですよ」
私は1週間眠っていたのだそうです。私はお布団の中で手足を伸ばしました。少し動かしづらい感じです。
リズさんはあの後のことを教えてくれました。クラント様は私と同時に倒れ、まるで老人のように一気にしわくちゃになったそうです。そしてみんなが見ている間にゆっくり消えてしまったそうです。
「マグヌス様は悲しんでいらっしゃったでしょう」
マグヌス様にとってはずっと支えてくれていた方です。いなくなったことを残念に思ったのではないでしょうか。
「最初はそうだったかもしれませんが」
リズさんはそう言いながら、私ににっこり笑いかけました。
「フローラ様がいらっしゃるので平気なようです」
マグヌス様は新しい領地にもうじき向かいます。落ち着いたらフローラ様とご結婚されるとのことです。
「あのお二人、なかなかお似合いなのですよ」
リズさんが楽しそうに笑っているので、私も良かったと思いました。
「アリス様がお目覚めになったこと、お知らせしてきますね」
私がずっと目を覚まさなかったので、皆様は心配されていたとのことです。心配してくださる方がいることは、私は幸せだなと思います。
リズさんが部屋を出ていき、私は部屋に1人になりました。ベッドの中でゆっくり深呼吸します。
『目覚めたのか』
フルル様の声が聞こえましたが、姿は見えません。
『我とは離れていても話ができるのだ』
さすがフルル様です。私は心の中で、もう元気だと伝えました。
『それは良かった』
安心したような声で私もほっとしました。
『ところで、隣の魔獣の国のことだが』
隣の魔獣の国とは、おそらくインディアルのことのようです。
『あの時の瘴気は全て隣に吸収された』
私は瘴気を消すつもりで浄化のエネルギーを送っていました。瘴気は消えたと思ったのですが、むしろ瘴気を追い出す形になったようです。そして行き場のなくなった瘴気はインディアルに吸収され、ますますインディアルは瘴気の濃い国になってしまいました。
『それで少々マズイことになっている』
ただでさえ瘴気に満ちて魔獣が集まっていたのに、また瘴気が集まったので魔獣たちはパワーアップしてしまったそうです。そしてその王者になっているのが魔獣に変化したアマンダと王妃様だそうです。
『あいつらは元人間だから、ただの魔獣ではない。知能も優れている。こっちの国を憎んでいるから、何かしでかすつもりだろう』
私が倒れるくらいに浄化のエネルギーを送り、国には強固な幕を張ったはずなのですが、油断できないそうです。
その時ドアの外から声が聞こえました。エディ様です。私はとてもうれしくなり、起き上がってエディ様のところへ行こうかと思いました。でもその瞬間、インディアルのことを考えて暗い気持ちになったのでした。
「アリス様、気がつかれたのですね」
リズさんの目は赤くなっていました。泣いていたのでしょう。私は何が何だかわからず、とりあえず起きあがろうとしました。
「ダメです」
リズさんに肩を抑えられ、私はまた横たわりました。喉がカラカラで声を出そうとしたのですが、出ませんでした。リズさんが水を飲ませてくれます。
「あれから1週間経ったのですよ」
私は1週間眠っていたのだそうです。私はお布団の中で手足を伸ばしました。少し動かしづらい感じです。
リズさんはあの後のことを教えてくれました。クラント様は私と同時に倒れ、まるで老人のように一気にしわくちゃになったそうです。そしてみんなが見ている間にゆっくり消えてしまったそうです。
「マグヌス様は悲しんでいらっしゃったでしょう」
マグヌス様にとってはずっと支えてくれていた方です。いなくなったことを残念に思ったのではないでしょうか。
「最初はそうだったかもしれませんが」
リズさんはそう言いながら、私ににっこり笑いかけました。
「フローラ様がいらっしゃるので平気なようです」
マグヌス様は新しい領地にもうじき向かいます。落ち着いたらフローラ様とご結婚されるとのことです。
「あのお二人、なかなかお似合いなのですよ」
リズさんが楽しそうに笑っているので、私も良かったと思いました。
「アリス様がお目覚めになったこと、お知らせしてきますね」
私がずっと目を覚まさなかったので、皆様は心配されていたとのことです。心配してくださる方がいることは、私は幸せだなと思います。
リズさんが部屋を出ていき、私は部屋に1人になりました。ベッドの中でゆっくり深呼吸します。
『目覚めたのか』
フルル様の声が聞こえましたが、姿は見えません。
『我とは離れていても話ができるのだ』
さすがフルル様です。私は心の中で、もう元気だと伝えました。
『それは良かった』
安心したような声で私もほっとしました。
『ところで、隣の魔獣の国のことだが』
隣の魔獣の国とは、おそらくインディアルのことのようです。
『あの時の瘴気は全て隣に吸収された』
私は瘴気を消すつもりで浄化のエネルギーを送っていました。瘴気は消えたと思ったのですが、むしろ瘴気を追い出す形になったようです。そして行き場のなくなった瘴気はインディアルに吸収され、ますますインディアルは瘴気の濃い国になってしまいました。
『それで少々マズイことになっている』
ただでさえ瘴気に満ちて魔獣が集まっていたのに、また瘴気が集まったので魔獣たちはパワーアップしてしまったそうです。そしてその王者になっているのが魔獣に変化したアマンダと王妃様だそうです。
『あいつらは元人間だから、ただの魔獣ではない。知能も優れている。こっちの国を憎んでいるから、何かしでかすつもりだろう』
私が倒れるくらいに浄化のエネルギーを送り、国には強固な幕を張ったはずなのですが、油断できないそうです。
その時ドアの外から声が聞こえました。エディ様です。私はとてもうれしくなり、起き上がってエディ様のところへ行こうかと思いました。でもその瞬間、インディアルのことを考えて暗い気持ちになったのでした。
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