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「サントス」
王妃様は再び総団長の名を呼んだ。
「ここにいる男は騎士で間違いない?」
王妃様の問いにサントス様は小さくうなづいている。
「騎士の本分は何?」
先ほどとは打って変わって厳しい物言いである。サントス様は王妃様の質問に答えた。
「国を護り、人を護るものであります!」
「我が国の教えはそうよね」
王妃様は小さくうなづいた。
「ここにいるアイザックス。聞けば親を裏切り、婚約者を裏切っている。そんな身近な人を簡単に裏切れるのであれば、陛下や私も裏切るのでは?」
え?私は今聞いた言葉が信じられなかった。見るとレナード様は青ざめて目を大きく見開いている。
「そのような者は本当に騎士なの?」
王妃様の再びの問い。
「ち、違うと存じます」
サントス様の言葉にレナード様が震え出した。
「ここにアイザックス当主はいる?」
王妃様が室内を見渡した。人の中から伯爵様が出てくる。来月にはお義父様となる方だったが、そのお義父様は黙って見ていたのだ。何もせずに、私が公衆の面前で罵倒されるのを黙って見ていたのだ。そう思うと許せない気持ちになるが、相手は伯爵。文句を言うことはできない。
「この者はそなたの息子で間違いない?」
お義父様はチラリとレナード様を見た。レナード様は救いを求める子犬のような目で見返している。
「違います」
は?耳を疑ってしまい、まじまじと伯爵様を見た。周囲ではざわめきが起きていたし、レナード様は「父上・・・」と泣きそうな声を出している。
「このような者は我が息子ではありません。確かに今朝までは息子でありましたが、先ほど継承権を外しました。戸籍も変えるつもりです」
顔色ひとつ変えず彼は言い切った。怖い、と密かに思った。お義父様にならなくてよかったかもしれないとさえ思った。
「そう・・・」
王妃様は満面の笑みでレナード様を見た。
「騎士でもなく伯爵家でもなくなったけど愛がある。そうよね?」
うわっ、なんというか王妃様、怖い。レナード様は呆然としている。先ほどまでの私のようだ。
「ところで、メリア」
王妃様は今度はメリア様の方を向いた。メリア様も今のことが信じられずにぼんやりしている。
「勇気があるわねぇ」
言われたことについて行かないのだろう。メリア様は曖昧に返事をした。
「お相手は婚約者がいたのでしょう?それなのに愛しあうなんて。男性と2人きりになってはいけないって、私は子どもの頃から厳しく言われてきたしどこのご家庭でもそういう教えをするって思っていたわ」
そこで一度言葉を止めた。周囲を見渡すと令嬢たちにニコリと微笑む。
「あなた方はそういうふうに教わらなかった?」
「は、はい」
「私も両親やメイドからもそう言われて・・・」
聞かれた令嬢たちは慌てて答えている。先ほどまで私を侮辱していた人たちだ。
「あらぁ?じゃあ、リオンヌ家は斬新な教育方法なのねぇ」
王妃様はまたもや首を傾げた。今やその仕草は恐怖に感じる。
「確か王子たちの教育係の1人にリオンヌ家の人いたわよね」
メリア様の義兄のレオフォルト様のことだ。メリア様の姉君と結婚している。
「困ったわぁ、そんな方に教育をお任せできないし。仕方ないからお辞めいただくわね」
慌てたようにレオフォルト様が飛び出てきた。え?いたんだ。ということは私がレナード様に婚約破棄を告げられたこと。その横に義妹のメリア様がいらしたこともご存じだったのだ。どんな気持ちでいたのだろうか。
「お、王妃様、そんな・・・」
「あらぁ、だって。私と教育方針が合わないんですもの。仕方ないじゃない?」
「メリアは一族でも手を焼いておりました。何度注意しても生活を改めることもなく・・・」
「義妹を教育できない方に王子を任せられないわ」
レオフォルト様は膝から崩れ落ちた。ショックを受けるとああいうふうになるのか、私はならなくてよかった。と、人ごとのように呑気に考えた。もう私に注目している人はいない。
王妃様は再び総団長の名を呼んだ。
「ここにいる男は騎士で間違いない?」
王妃様の問いにサントス様は小さくうなづいている。
「騎士の本分は何?」
先ほどとは打って変わって厳しい物言いである。サントス様は王妃様の質問に答えた。
「国を護り、人を護るものであります!」
「我が国の教えはそうよね」
王妃様は小さくうなづいた。
「ここにいるアイザックス。聞けば親を裏切り、婚約者を裏切っている。そんな身近な人を簡単に裏切れるのであれば、陛下や私も裏切るのでは?」
え?私は今聞いた言葉が信じられなかった。見るとレナード様は青ざめて目を大きく見開いている。
「そのような者は本当に騎士なの?」
王妃様の再びの問い。
「ち、違うと存じます」
サントス様の言葉にレナード様が震え出した。
「ここにアイザックス当主はいる?」
王妃様が室内を見渡した。人の中から伯爵様が出てくる。来月にはお義父様となる方だったが、そのお義父様は黙って見ていたのだ。何もせずに、私が公衆の面前で罵倒されるのを黙って見ていたのだ。そう思うと許せない気持ちになるが、相手は伯爵。文句を言うことはできない。
「この者はそなたの息子で間違いない?」
お義父様はチラリとレナード様を見た。レナード様は救いを求める子犬のような目で見返している。
「違います」
は?耳を疑ってしまい、まじまじと伯爵様を見た。周囲ではざわめきが起きていたし、レナード様は「父上・・・」と泣きそうな声を出している。
「このような者は我が息子ではありません。確かに今朝までは息子でありましたが、先ほど継承権を外しました。戸籍も変えるつもりです」
顔色ひとつ変えず彼は言い切った。怖い、と密かに思った。お義父様にならなくてよかったかもしれないとさえ思った。
「そう・・・」
王妃様は満面の笑みでレナード様を見た。
「騎士でもなく伯爵家でもなくなったけど愛がある。そうよね?」
うわっ、なんというか王妃様、怖い。レナード様は呆然としている。先ほどまでの私のようだ。
「ところで、メリア」
王妃様は今度はメリア様の方を向いた。メリア様も今のことが信じられずにぼんやりしている。
「勇気があるわねぇ」
言われたことについて行かないのだろう。メリア様は曖昧に返事をした。
「お相手は婚約者がいたのでしょう?それなのに愛しあうなんて。男性と2人きりになってはいけないって、私は子どもの頃から厳しく言われてきたしどこのご家庭でもそういう教えをするって思っていたわ」
そこで一度言葉を止めた。周囲を見渡すと令嬢たちにニコリと微笑む。
「あなた方はそういうふうに教わらなかった?」
「は、はい」
「私も両親やメイドからもそう言われて・・・」
聞かれた令嬢たちは慌てて答えている。先ほどまで私を侮辱していた人たちだ。
「あらぁ?じゃあ、リオンヌ家は斬新な教育方法なのねぇ」
王妃様はまたもや首を傾げた。今やその仕草は恐怖に感じる。
「確か王子たちの教育係の1人にリオンヌ家の人いたわよね」
メリア様の義兄のレオフォルト様のことだ。メリア様の姉君と結婚している。
「困ったわぁ、そんな方に教育をお任せできないし。仕方ないからお辞めいただくわね」
慌てたようにレオフォルト様が飛び出てきた。え?いたんだ。ということは私がレナード様に婚約破棄を告げられたこと。その横に義妹のメリア様がいらしたこともご存じだったのだ。どんな気持ちでいたのだろうか。
「お、王妃様、そんな・・・」
「あらぁ、だって。私と教育方針が合わないんですもの。仕方ないじゃない?」
「メリアは一族でも手を焼いておりました。何度注意しても生活を改めることもなく・・・」
「義妹を教育できない方に王子を任せられないわ」
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