ルビーの帰る場所［完結］

33

ノックは火を起こせていないルビーに気がついた。
火を起こすのに手をかざすだけでは火は起こせない。
ノックはルビーに言う。
「普通の火の起こし方をしなさい。」
ルビーはノックに言う。
「ノックと同じやり方をしてみたい。」

ノックはずっと黙ったままであった。
ルビーは普通の火の起こし方で火をつけた。
ルビーは薪をどんどんと足していく。
火の光は眺めていて飽きない。
落ち着く色。
温かい。
ルビーは釣り竿のところに戻ると竿の先が動いていた。
釣れたのは手のひらほどの大きさの川魚。
ノックの方はその川魚がたくさん釣れていた。
ルビーは言った。
「何故そんなに釣れるの？」
「長年の経験だ。さあ、焼いて食べよう。」
魚を串に刺して焼く。それだけでは足りないので山で採っていたキノコ、山菜などを鍋にした。
ノックの山菜鍋を食べるルビー。
ルビーは懐かしい感じがする。
「ルビー。お前が幼い時はよくこうして食べさせていたのを思い出すな。」
ノックは笑みを浮かべて火の調整をした。