最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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第百十三話 取り調べ

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「君は今少女誘拐事件の容疑者として疑われている。支部に来てもらおう」

「ええ!な、なんでですか!?というか少女誘拐事件って何?僕悪い事してないですよ?」

反論するとクウガさんの隣にいた人物が腕を掴んで押さえてきた。

「おい!貴様隊長に向かってなんて口の聞き方をしてるんだ!場合によってはお前のような犯罪者、即刻牢屋にぶち込んでも良いんだぞ!」

……まずい、これは本当に何かあったんだ。
ここで変に反抗すると後々面倒なことになりそうだ。仕方がない、大人しくついて行くとするか……



………………………………
………………
……



騎士団支部の取調室について僕は暫く一人で待った。数十分後にクウガさんが入ってくる。
今度は他に誰もいないので遠慮なく聞く。

「クウガさん、一から説明して欲しいんですけど」

「そうだね、さっきは手荒な事をして申し訳なかった。ただ立場上ああするしかなかったんだ」

「構いませんよ。それよりなぜ僕はここに連れてこられたんですか?」

「まず、君は一年半前に勇者パーティーを追放された。正確に言えばエルナ様とクリフも追放されたから今勇者パーティーに残っているのは第一王子のリヒト様たけだ」

「そうですね……」

「事の始まりは半年前になる。お金もなくなり、唯一残っていたほんの少しの手持ちもギャンブルで使い更に借金をしてしまったリヒト様。底辺冒険者として日銭を稼いでいたらしいが、ある時一人の少女を見つけたそうだ」

「その少女とは?」

「赤髪で高身長…き、巨乳で釣り上がった目をしていた女の子だ。なんとなくイメージする人がいないか?」

巨乳を言いづらそうにしているクウガさんに微笑みながら話を続ける。

「エルナに似てますね」

「ああ、どうやらリヒト様はこれまであまり民衆に素顔を見せた事がなかったようだ。だから自分が王子だと名乗っても誰も信じなかったみたいだが、エルナ様とケインは違う。四天王のネドリアを倒した際にパレードを開いたろ?あの時に顔を覚えた人が沢山いたみたいだ」

「……まさか」

「そう、勇者エルナ様には逃げられたが、勇者パーティーであることに変わりはない。そこでリヒトはそのそっくりさんに自分の仲間にならないか?と誘ったらしい。初めは渋った彼女も金儲けの話を聞くとそれに応えた」

「ちょっと待ってください、エルナが居ないのに勇者パーティーとして成立してしまうのですか?」

「ああ、勇者パーティーの証明書類はリヒトの付き人が持っていたみたいだからね」

「おかしいでしょ、そんな大事な物を勇者本人に渡さないなんて……」

「それが現実なんだよ。結局いくら強かろうが僕達は権力には敵わないんだ」

「そんな……という事は、そこからエルナ以外にも僕やクリフのそっくりさんを探して仲間にし、再び勇者パーティーとして活動し始めたって所ですか?」

「ああ、それで大体合ってる。問題はここからだ。3ヶ月前に勇者パーティーに宿に誘われた女の子が帰って来なかったそうだ。調査してみた結果その女の子は今奴隷として働いている。どうやらリヒト様はホテルに誘った女の子をむちゃくちゃにした後、奴隷商や金持ちに売っていたようだ」

「酷い…………」

「そして昨日この事が露見した。当然被害者の家族が今まで帰ってこない娘の捜索願いを出していたが、見つかっていなかった。きっと無事だと信じて3ヶ月も待っていたのに、帰ってきた娘は最後に見た時とは変わり果てた姿だったよ」

「ならとっくにリヒトは捕まっていますよね?それ相応の罰を受けましたよね?」

「ああ、捕まえたことは捕まえたんだが、リヒト様の仲間である偽エルナとクリフとケインは捕まってない」

「……」

「そこで、民衆は何も知らないから本物の勇者パーティーがやったと思い込み、被害者からケイン達に訴えたんだ」

「そんな……まさかそれで捕まるんですか?」

「いや、此方も人違いだと理解している。いくらなんでも証拠不十分で無罪だ」

「ほっ…よかった」

「いや、良くはない。まだ大勢の人間が君達がやったと思っている。今街に出るのは危険だよ」

「…そんな、僕達は何も」

「当然騎士団からもそうやって公表するつもりだ。だが既にいくつかのメディアが勇者パーティーを批判した記事を書いてる。世の中にとっては真実よりも面白い事の方が重要なんだ。まぁ、とりあえず今日はもう帰ってもらって結構だよ。時間を取らせてすまない。僕は君達が魔王を討伐してくれると祈っているよ」

こうして取調室は終わり宿に帰ることになった。
クリフとエルナも話をしていたらしく、魔王討伐はまたおりを見てと言うことになった。





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