最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝3話 助け

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「……は?」

驚く俺を置いて、謎の2人は話し合う。

「とりあえず、コイツは倒しても良さそうですか?」

爪の当たった背中を痛そうに抑えながらケインという名の少女はロマンスグレーに問う。

「だ、大丈夫でしょう……それよりケインさんこそ大丈夫でしたか?」

「ん?ああ、平気平気。もう治りました」

ケインはドラゴンを一目見ると腰の剣に手を添えた。
ドラゴンは一瞬で警戒モードに入り、口から何かを吐こうとしていた(多分炎)。

「……遅いよ。もうお前は死んでいる」

ドラゴンはその言葉と同時に全身がバラバラになって崩れ落ちた。
自分如きには見えないくらいの早さで切ったのだろうか……
巨大なドラゴンがバラバラになったことで、辺り一面に血の雨が降った。

「う、うぇぇ……」

何が何だか分からないが、兎に角助けて貰ったぽいのでお礼を言わないといけない。

「あ、あの……危ない所を助けていただき、ありがとうございます!」

深々と頭を下げる。
絶対に怒らせてはいけない。
ドラゴンに勝てない俺が、この人達に勝てるわけない。勝負にもならないだろう。

「ん?…ああ、いえ、別に……偶々助けただけですからお気になさらず…」

すると、ロマンスグレーの方が質問をして来た。

「ちょっと少年、名はなんと言うのですか?」

「あ、俺は…神宮寺恭弥です」

正直、怪しい人に名前を教えるのには少し抵抗があったが、ここで教えないのも失礼だろう。

「ふむ……恭弥くんですか。君に質問があるのですが良いですか?」

「はい。俺に答えられることなら」

「じゃあ初めに……ここは地球ですか?」

「え、当たり前じゃないですか?」

「そう…その中でも日本?」

「まぁ、そうです」

「今は西暦何年?」

「西暦3060年ですよ」

当たり前の事ばかり質問してくる男に、神宮寺は少し……いや、かなり違和感を覚えていた。
ひょっとして彼等は……

「じゃあ、ここは東京で合ってますか?」

「いいえ、ここは岐阜……もっと言えば岐阜県各務ヶ原市です」

「……まぁ、これくらいはズレますか。ケインさん、どうやら私達は無事に辿り着けたようです」

「本当ですか!?良かったです。流石に成功する確信が無かったので……」

そこで神宮寺は、躊躇いながらも勇気を出して質問をした。

「あの……俺からも質問いいですか?……貴方達は一体何者なんですか?あの化け物は一体何なんですか!?」

「何者……と言われてもなぁ……」

「私は東京都足立区出身の田中というものです。こちらの子は……ケインさんです」

ケイン?隣の女の子は外国の人だろうか……
それにしても可愛い、モロ俺のタイプだな。

「日本語ペラペラですね」

「にほ……んご?」

「?」

日本語という言葉は知らないのだろうか?

「ケインさん…その事はまた後で話します。岐阜についてはあまり知らないのですが、まぁ、東京に戻れば家もあるでしょうし。アメリカの別荘に帰ってもいいのですが、多分ケインさんには日本の方が住みやすいでしょう」

「?はぁ……」

「ともかく、一度東京に行きますか」

「あの……タナカさんが僕達の星に来てから60年ほど経ってるんですよね?」

「はい……あっ!?」

「そうなんです……ひょっとしたらタナカさんって既に……」

「死亡扱い……でしょうね。これは困りました……お金もありませんし、どうやって寝泊まりしましょうか……」

この時、神宮寺は何となくだが状況が掴めてきた。
否、完全に分かったわけではないのだが、この2人のうちタナカさんは昔日本の東京にいた。ケインさんは初めて日本……もしくはこの星に来た。
そして、昔の家に戻ろうとしているが、残念ながら今は多分ないという事だろう。
この2人の正体が何なのかは正確には掴めてないが、今の情報だけでこれだけ分かったのだから充分だろう。
ならば、この人達のために出来る事は一つだろう?

「…あの、も、もしよろしければ……その……」

「?はい」

「なんでしょう?」

「う、家に泊まりますか?」


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