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外伝34話 正体というほどでも無いけれど
しおりを挟むケインが彼に驚かされているのを見て、ルーナは考えた。
(やはり……人間としてはかなり強いですが、彼女にあの件を頼むのは少し酷な気がします……)
だが、ルーナはそれを口には出さず、代わりに鈴木の元に行き頬を軽く叩いた。
「鈴木様、起きて下さい」
「えー……眠い……」
「起きてるじゃ無いですか。早くそこから移動して下さい。今もう地球時間で10時ですよ」
「ここの時間じゃ102時だよ……昨日遅くまで1人麻雀やってたから眠いんだ……あと10時間だけ……」
「ふざけないで下さい。さっさと起きて」
「仕方ないなぁ………あれ?そこの彼女は?」
「貴方が呼んだんですよ、鈴木様」
「ん?んん…!ああ!そうだそうだ。アタシが呼んだんだった!」
「鈴木様、本当に彼女に例の件をお願いするのですか?」
「ああ、アタシやルーナじゃ無理だ。アスタルテやスクリット辺りと組んでもらってアレを倒してもらおう」
「鈴木様、アスタルテ達亜神は私を除いて全員裏切ったので始末しておきましたよ」
「あれ?そうだっけ?」
「つい数百時間前に貴方が頼んだ事のはずなんですが?」
「ごめんごめん、最近忘れっぽくて」
「いつもでしょう」
ルーナは少し怒った様子で話を続けた。
「それでは、私はこれにて退室しますね。あとはケインと鈴木様のお2人で」
「はい……」
「よろしくね、ケイン……ちゃんが良い?さんが良い?」
「お好きな方でどうぞ」
「オッケ!じゃあケインッチで!行こう」
どっちでも無いのかよ。
「それで良いです。あの、早速本題に入りたいんですけど」
「そうだった、君はどう?」
「どうと言われても……何が?」
「何か質問はある?って事。なんてたってアタシは神様だからね。大抵の事は答えられるよ」
マジか。
こっちから質問させてもらえるとは予想外だ。
なら1番気になっている事を……
「貴方は、一体……何者なんですか?それに、あの星を作ったのは何故ですか?」
鈴木は口元をニヤリとさせてこちらを見つめてきた。
そして、数秒の沈黙の後に出された返答は……
「さあ?」
「え?」
「アタシが何者かなんてアタシ自身が1番分からないよ。神と名乗ってはいるけど、ぶっちゃけこの世界を作ったわけじゃ無くて、あの星の神様ってだけだからね」
「じゃ、じゃあどこから生まれたんですか?気づいたらそこにいた……とか?」
「いや、普通にお母さんのお腹から生まれてきたよ。普通に生まれて普通に成長した。地球でね」
「………」
「アタシが他と違ったのは、アタシが生まれた1000年前、まだ誰もスキルも魔術も知らなかった時期に、何故かアタシだけがそれを使えたって事くらいかな」
「それだけ……ですか?」
「うん、それだけ。まあ、アタシの出自についてはこれくらいしか言えないけど、あの星の件ならもっと細かい事まで言えるよ」
彼は語り出す。惑星ジムダ、ケイン達が住む星を作った訳を……
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