最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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外伝38話 縮地先

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ケインは縮地で当てもなくモノクロの世界を見て回っていた。
別に面白いものがあったわけでは無いが、この苛立ちを何処かにやりたくて闇雲に縮地を発動していたのだ。
何度かそれを繰り返すうちに、目の前には全く知らない光景が広がっていた。

「そういえば……ここどこだ?」

戻ろうにも戻り方が分からない。
見知らぬ世界でむやみやたらに縮地をしたのは流石に迂闊であった。
いくらケインでもこの星の何処に行けば恭弥達のいた場所に戻れるかなど分からない。

「参ったな……」

考えられる解決法としては、この星の上空に縮地をして、そこから移動し続け、人の気配を探す……といったところだろうか?
若しくは、この世界は地球と似た形をしているので街のある場所に当たるまで何度も縮地をし続けても良い。

だが、どちらも闇雲に探すのと大差ない。

考え続けた結果、非常に不本意だが神鈴木に対して適当な石を投擲しホーミング機能について行けば元いた場所に戻れるのではないか?
という案だった。
これもまた、投擲が正しく機能してくれるか分からないから大分不安ではあるが……

やるだけやってみるかと思い適当に石を投げようとしたその時、上空から殺気を感じて思わずそこに縮地してしまった。

縮地先には見たことも無いくらい巨大なドラゴンが空を飛んでおり、僕が突然いなくなったことで少し戸惑っていた。

「なんだ……コイツ?ジムダでもこんなでかいドラゴンは見たことないぞ……?」

少し上から見下ろしていた僕の気配を察知して、ドラゴンはこっちを振り向いた。

「ギャイイイイイイ」

「独特な鳴き方だな……まあ敵なら倒すだけだ」

腰の剣を抜き、ドラゴンに向かって振り下ろす……が、あまり大きなダメージは無さそうだ。

「まじか……結構強くなった筈なんだが……」

しかし、痛い事は痛かったようでドラゴンは何かを叫びはじめた。

「グギャア!」

「なんだ……?まさかこの感じ」 

次の瞬間、ドラゴンは魔法陣を展開して僕に向かって無数の氷の剣を飛ばしてきた。

避けるのは容易い……が、何かおかしい。
あえて喰らってみることにした。

「グッ、……強い」

威力的には一つ一つがガルドのベンタブラックを少し下回るくらいだ。
まあ、スピードも数も圧倒的に劣るからベンタブラックほど強いわけでないのだが。

それでも、今の僕にダメージを与えるというのは只者ではない。

もう少し観察したかったが、ここらが潮時か……
あまり悠長にしていると普通に負けてしまう。

「悪いが、これで終わりだ。『ファイヤーレイ』!」

特大の魔法陣を展開し、ドラゴンに向ける。
魔法陣から火属性の光線が飛び出して、その巨大な体を貫いていった。

「よし」

僕は勝ちを確信した……が、体中を貫かれたドラゴンはすぐにその身を再生し、構わず突進してくる。

「おいおい、嘘だろ?最大とまではいかないが結構力使った筈」

「グアア!」

「チッ、仕方ない『縮地』!」

突進してきたドラゴンの攻撃を受けるのは流石に危ない。
縮地で避けた……のだが、

「グルアアア!!!」

「えっ!?」

縮地先を予想したのか、ドラゴンは縮地先に追いついてきて、歯を剥き出しにし、噛み砕こうとしている。

「マジかよ……『縮地』!」

迷う事なく縮地をした……が、やはりドラゴンは僕の縮地先を予想して追いついてくる。

「グルアアア!!!」

「『縮地』!」

「ガァァァ!!!」

「『縮地』!」

「フゴォォォ!!!」

「『縮地』!」

「ギャイイイイ!!!」

ダメだ、埒が開かない。
一旦この場から逃げようと思い、かなり遠くまで縮地を発動した。

「『縮地』!!!」


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