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男子は春次さんの運転する車に乗り、女子は水上先輩の家の車で遊園地へ向かう。国道を東に一時間程走らせると百合咲市を出て奥川市へ入る。遊園地は奥川市にあり、ひどい渋滞に巻き込まれることもなく到着した。車の入場ゲートから太陽をモチーフにしているその遊園地の名前はソルライトランド。
団体客として入場券を春次さんが購入し、私達に分けてくれた。
何年振りに遊園地に来たのだろうか。
「行きましょう一志先輩!!」
いくら地方の遊園地とはいえ、ゴールデンウィークということだけあって来場者は多い。真っ先に向かったのはソルライトランド名物のジェットコースターだが、人混みの中を進むのは大変だ。
「笠原さん、手を出して。このままじゃはぐれそうだ」
言われるがままに一志先輩の手を取ると、思ったより大きくてドキッとした
振り返りざまの笑顔が爽やかすぎて思わず俯いてしまった……。今のはちょと感じがよくないなぁ私……。
順番待ちの間は去年の生徒会の話をしてもらった。春次さんは先代の生徒会長で、春次さんの行った改革は汐波会長にも引き継がれているらしい。
順番が近付いてくる度に一志先輩はソワソワしだした。何も考えずにジェットコースターを選んでしまったけど…ひょっとして苦手だったかな……。
搭乗した時に遅いと思いつつも訊いてみた。
「あの……一志先輩って絶叫系が苦手ですか?」
一志先輩は首を横に振っているが震えているようにしか見えないのだが……
震えながらも一志先輩はこう言った
「そ、それでも僕は君をエスコートするから……だいじょ―――――わっ!!」
最後まで言う前にコースターは動き始めた。舌を噛んでいないと良いのだけれど……。
ジェットコースターから降りる時には一志先輩はかなりのグロッキー状態だった。取り敢えず近くのベンチに座り落ち着く。
「すみません…何も考えずにジェットコースターに向かってしまって……」
とにかく謝ったのだが、一志先輩は平気だがらの一点張り。十分もすると落ち着いたので移動することにした。
ここソルライトランドのもう一つの名物、輪廻の戦慄迷宮へと。
ホラーは平気だと一志先輩は言っていたが微妙に顔は蒼白い……。無理させてしまっているのだろうか……。一志先輩は真面目で優しい人だから、多少の無理を押してでも私に付き合ってくれる。これが終わったら、きちんと休憩にしよう。
輪廻の戦慄迷宮はお化け屋敷と迷路を組み合わせたアトラクションで日本最大級の規模を誇るらしい。順番待ちの時間はひたすら一志先輩のメンタルケアに励んだ。これでホラーも本当に苦手だったらどうしよう……。
「次の方。ゆっくりとお進みくださーい」
来た!! 建物の外観は古い洋館のようになっていて、入り口は大きな扉になっている。
扉を開けるとエントランスホールになっていて、そこではこのお化け屋敷のシナリオを映像で見せられる。一志先輩は楽しそうにしているので、本当に平気なのだろう。正直に言えば私の方が普段は入らないのでお化け屋敷に耐性がない……。
……大丈夫、あっちはお仕事でやっているプロだ。危害は加えられない。絶対に……。
「笠原さん? 大丈夫? 進むよ?」
団体客として入場券を春次さんが購入し、私達に分けてくれた。
何年振りに遊園地に来たのだろうか。
「行きましょう一志先輩!!」
いくら地方の遊園地とはいえ、ゴールデンウィークということだけあって来場者は多い。真っ先に向かったのはソルライトランド名物のジェットコースターだが、人混みの中を進むのは大変だ。
「笠原さん、手を出して。このままじゃはぐれそうだ」
言われるがままに一志先輩の手を取ると、思ったより大きくてドキッとした
振り返りざまの笑顔が爽やかすぎて思わず俯いてしまった……。今のはちょと感じがよくないなぁ私……。
順番待ちの間は去年の生徒会の話をしてもらった。春次さんは先代の生徒会長で、春次さんの行った改革は汐波会長にも引き継がれているらしい。
順番が近付いてくる度に一志先輩はソワソワしだした。何も考えずにジェットコースターを選んでしまったけど…ひょっとして苦手だったかな……。
搭乗した時に遅いと思いつつも訊いてみた。
「あの……一志先輩って絶叫系が苦手ですか?」
一志先輩は首を横に振っているが震えているようにしか見えないのだが……
震えながらも一志先輩はこう言った
「そ、それでも僕は君をエスコートするから……だいじょ―――――わっ!!」
最後まで言う前にコースターは動き始めた。舌を噛んでいないと良いのだけれど……。
ジェットコースターから降りる時には一志先輩はかなりのグロッキー状態だった。取り敢えず近くのベンチに座り落ち着く。
「すみません…何も考えずにジェットコースターに向かってしまって……」
とにかく謝ったのだが、一志先輩は平気だがらの一点張り。十分もすると落ち着いたので移動することにした。
ここソルライトランドのもう一つの名物、輪廻の戦慄迷宮へと。
ホラーは平気だと一志先輩は言っていたが微妙に顔は蒼白い……。無理させてしまっているのだろうか……。一志先輩は真面目で優しい人だから、多少の無理を押してでも私に付き合ってくれる。これが終わったら、きちんと休憩にしよう。
輪廻の戦慄迷宮はお化け屋敷と迷路を組み合わせたアトラクションで日本最大級の規模を誇るらしい。順番待ちの時間はひたすら一志先輩のメンタルケアに励んだ。これでホラーも本当に苦手だったらどうしよう……。
「次の方。ゆっくりとお進みくださーい」
来た!! 建物の外観は古い洋館のようになっていて、入り口は大きな扉になっている。
扉を開けるとエントランスホールになっていて、そこではこのお化け屋敷のシナリオを映像で見せられる。一志先輩は楽しそうにしているので、本当に平気なのだろう。正直に言えば私の方が普段は入らないのでお化け屋敷に耐性がない……。
……大丈夫、あっちはお仕事でやっているプロだ。危害は加えられない。絶対に……。
「笠原さん? 大丈夫? 進むよ?」
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