無色な私のカラフルな恋

楠富 つかさ

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 そのお店というのがご当地ハンバーガーのお店で、午後二時という遅い時間だったためか並んでいる人影はなかった。注文を済ませ、近くのテーブルで食べる。
 さっきのお化け屋敷の話をしたり、次はどうしようかなんてことを話していた。すると、先輩がおもむろに、

「あ、これ真ん中辺りが一番美味しい!! 笠原さんも少し食べてみてよ!」

 そう言ってハンバーガーを突きだして来たのだ。地元のブランド牛のお肉を使ったハンバーガーで美味しそうな匂いに、つい一口頂いてしまった。すごっい美味しい!! 柔らかい……。それに、脂っこくもない。

「美味しいですね! あ、先輩、私のもどうぞ。こっちも美味しいですから」

 私のハンバーガーは地元野菜で彩り豊かなハンバーガーだ。頬張る一志先輩についニッコリ。

「さっぱり感もいいね! なんだか野菜の甘さがするよ」

 二人で賑やかに過ごしていると、

「そろそろ気付いてくれよ……。いくら何でも、なぁ?」

 テーブルに雪崩れ込むように現れたの栗崎先輩だった。いつからいたんだろう……。

「あんたらがハンバーガーをわけあう時点でもういたんですけど……」
「「………あ、その…ごめん(なさい)」」

 またナチュラルに心を読まれてしまった。
 それから、このごめんなさいには気付かなかった栗崎先輩に対してでもあり、か…かんせ…間接キスをしてしまった一志先輩に対してでも……あうぅ
 顔は真っ赤になっているんだろうな……恥ずかしい。

「「あ、えっと」」

 気まずくなって口を開くと、私と一志先輩の声がピッタリ合う。思わず笑ってしまった。

「だから俺を忘れるなよ!! 会長が観覧車の前で待ってたの!! なんでメールに気付かないんだよ!? あまりにも遅いからエントランスに移動したよ」

 栗崎先輩の言葉に慌ててケータイを取り出す。しまった……お化け屋敷に入るからって電源を切ったんだ……。

「食べ終えたらすぐに行きますから、もう少し待ってください」

 一志先輩が栗崎先輩に言うと、一志先輩はジュース一本を栗崎先輩に奢ることになった。三人とも動く仕度をし会長たちの所へ向かう。


 エントランスゲートに集まると皆は待ってましたよといった表情をしていた。少し申し訳ない気持ちになった。

「遅かったじゃない……まあ、怪我をしたとかじゃなくて良かったわ」

 心配そうな声を漏らしたのは水上先輩だった。

「なんか天気が崩れてきちゃったからねぇ……。雨が降る前に帰ろうか」

 そう言った汐波会長の言葉でようやく空を見上げた。確かに、来た時よりも雲はどんよりとしていて、青空が見える範囲も狭くなっていた。
 確かに肌寒くなってきた気はしていたけれど、全然気付かなかった。非常に残念だけれども、仕方がない……。また来ようと言った汐波会長に続いて、私たちはソルライトランドをあとにするのだった。 
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