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エレノアの転移術で着く先は、エレノアたちが住む国の王城だという。まずはドラゴン退治に来てくれたことへの感謝を向こうの世界の人たちが示してくれるらしい。まだ倒してもいないのに、感謝されるなんて……なんて思っていたけど、ようは壮行会みたいなものらしい。
「それがハルヒとウヅキが通う学び舎の制服なのですね」
社交の場ということもあって、私たちの服装は学校の制服。えんじ色のブレザーにブラウンのスカートだ。
エレノアに可愛いと褒められながら、エレノアが作ってくれたゲートでいよいよ異世界へと向かう。
「いこう、雨月」
「……うん、晴日」
ドラゴンキラーの包丁はサコッシュに入れて肩から下げている。王城に刃物を持っていくというのがなかなかに緊張感あるけど、向こうの世界じゃ武器を携帯するのが当たり前だというから大丈夫らしい。困ったことになればちゃんと兵士もいるし心配ないそうだ。
一瞬だけ視界がぐらつき、気が付いたら屋外にいた。
「ここが城の中庭です。歓迎会は大広間で行われますが、少し時間がありますのでこちらの世界を見学していってください」
やってきたお城はそれこそテーマパークでしか見ないようなきれいな石造りのお城だった。あちこちに角の折れたドラゴンを模した紋章が描かれているのが印象的だった。
「この紋章はこの国を建てた初代王がやはりドラゴンを討伐したことが由来とされています。歴代のドラゴン討伐者は王家の血筋でして――」
「じゃ、じゃあエレノアって……」
「あ、私は王族じゃないですよ? 一応、貴族ではありますが……私自身がなにか成し遂げたわけではないので、そのままの接し方でお願いします」
先んじてくぎをさされてしまったので、それ以上とやかく言うこともせず私たちは城内とちょっとだけ城下町の雰囲気を楽しむことにした。
「そこまで異世界に来たって感じはしないね。どこかのテーマパークに来たくらいの感じ」
そんな風に思えるのは、実際の中世とは比べ物にならないほど清潔な街並みによるものかもしれない。街を行き交う人の身なりも綺麗だし、空気も澄んでいる。活気があって屋台も出ているし、ドラゴンが現れて荒んでいるかと思っていたから拍子抜けだ。
「……晴日、見られてる」
人からの視線に弱い雨月が私の背にぴったりと張り付く。身なりが綺麗といったって、日本のブレザーみたいな服を着ている人はいない。見られてもしょうがないのだが……実際、視線が刺さるほど向いている。
「あぁ……わたしも目立つ要因かもしれませんね。あなた方の先祖が過ごした街を見ていただきたかったのですが、致し方ありません。そろそろお城へ戻りましょう」
碁盤の目のようにきれいに整備された区画をぐるっと一周して、お城へと戻ることになった。今度はこちら側の世界の服を着てゆっくり周れたらいいんだけど……。
「それがハルヒとウヅキが通う学び舎の制服なのですね」
社交の場ということもあって、私たちの服装は学校の制服。えんじ色のブレザーにブラウンのスカートだ。
エレノアに可愛いと褒められながら、エレノアが作ってくれたゲートでいよいよ異世界へと向かう。
「いこう、雨月」
「……うん、晴日」
ドラゴンキラーの包丁はサコッシュに入れて肩から下げている。王城に刃物を持っていくというのがなかなかに緊張感あるけど、向こうの世界じゃ武器を携帯するのが当たり前だというから大丈夫らしい。困ったことになればちゃんと兵士もいるし心配ないそうだ。
一瞬だけ視界がぐらつき、気が付いたら屋外にいた。
「ここが城の中庭です。歓迎会は大広間で行われますが、少し時間がありますのでこちらの世界を見学していってください」
やってきたお城はそれこそテーマパークでしか見ないようなきれいな石造りのお城だった。あちこちに角の折れたドラゴンを模した紋章が描かれているのが印象的だった。
「この紋章はこの国を建てた初代王がやはりドラゴンを討伐したことが由来とされています。歴代のドラゴン討伐者は王家の血筋でして――」
「じゃ、じゃあエレノアって……」
「あ、私は王族じゃないですよ? 一応、貴族ではありますが……私自身がなにか成し遂げたわけではないので、そのままの接し方でお願いします」
先んじてくぎをさされてしまったので、それ以上とやかく言うこともせず私たちは城内とちょっとだけ城下町の雰囲気を楽しむことにした。
「そこまで異世界に来たって感じはしないね。どこかのテーマパークに来たくらいの感じ」
そんな風に思えるのは、実際の中世とは比べ物にならないほど清潔な街並みによるものかもしれない。街を行き交う人の身なりも綺麗だし、空気も澄んでいる。活気があって屋台も出ているし、ドラゴンが現れて荒んでいるかと思っていたから拍子抜けだ。
「……晴日、見られてる」
人からの視線に弱い雨月が私の背にぴったりと張り付く。身なりが綺麗といったって、日本のブレザーみたいな服を着ている人はいない。見られてもしょうがないのだが……実際、視線が刺さるほど向いている。
「あぁ……わたしも目立つ要因かもしれませんね。あなた方の先祖が過ごした街を見ていただきたかったのですが、致し方ありません。そろそろお城へ戻りましょう」
碁盤の目のようにきれいに整備された区画をぐるっと一周して、お城へと戻ることになった。今度はこちら側の世界の服を着てゆっくり周れたらいいんだけど……。
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